見出し画像

美々に湧きでる水たち

前々回の「美々の不思議な跨線橋」、そして前回の「空から記録されていた美々の跨線橋」に続き、また「美々びび」の話題です。


美々川の源流部および上流域(国土地理院の地図に加筆、黄色は標高25m以上)

新千歳空港からこんな近い場所に、美々川の源流部があります。丸印を付けた西側の源流部と千歳湖の周辺、そして美々川左支川の北側源流部を訪れました。

西側の源流部

ここは新千歳空港に近い源流部。この写真のすぐ左で2か所、地下水がこんこんと湧き出していました。雪融けの時期でもあり、かなりの水量です。冒頭のエアバスA350が映り込んだ写真もこの辺りです。


早春の千歳湖

その湧水は、この千歳湖に入ります。地図の千歳湖には複数の湖面が見えますが、この写真はいちばん大きな池。奥の方にかすかに見えているのは、千歳美々ワールドに建つEPSONの工場です。

間近にいた コゲラ

千歳湖のほとり、ずいぶん低い場所にコゲラを見つけました。

タラの芽も

まだ早いけど、楽しみ。

千歳湖からの出口

千歳湖から流れ出している、これが美々川です。手前が下流。

美々川のミズバショウ

流れ出てすぐに群生地が。水芭蕉が美々川の川面に輝いていました。

-+-+-+-

また別の日、美々川の左支川、北側源流部に足を運びました。川は下流に向かって右・左が決まります。右岸と左岸、本流に合流する支川しせんもそうです。

左支川の北側源流部

北側の斜面には雪が残っていますが、日の光がよく当たるところではフクジュソウが輝いていました。

美々川源流部の起伏図(国土地理院)

地理院地図の等高線で見ると、川面は周囲より15メートルほど深くえぐられているようです。

美々川の水は約9割が湧水だと。千歳湖周辺の湧水群と、左支川源流部の湧水群からなっています。左支川の湧水量は、千歳湖から流れ出る水量の2倍以上もあるとのこと。東を流れる遠浅川とあさがわの水も地下に浸透して美々川左支川に湧き出しているそうです。2005年の調査では、左支川でサケの産卵床が見つかったと。すごいっ!(公益財団法人リバーフロント研究所・平成17年度研究所報告「美々川自然再生計画の取り組みについて」)

また、この付近にはもう一つ注目すべきことがあります。それは「分水界」。美々川源流部のすぐ北側、石勝線が走るラインぐらいに、分水界があるというのです。

分水界(神戸新聞NEXTより)

分水界は、水の流れる方向が分かれる境界のこと。神戸新聞NEXTに分かりやすい図を見つけました。国土地理院の地図では山の尾根のような明確な境界は見えませんが、そういわれると標高20メートルちょっとの東西方向に分水界(分水嶺)が存在しているように思えます。その南側は美々川として太平洋の方へと流れ出し、その北側は支笏湖を源流とする千歳川が、北に向かって日本海へと流れていくのです。

「日本一低い分水界」は新千歳空港付近にあるとされています(標高13.7m、Wikipedia)。ちなみに、空港標点の標高は 69.8ft(=21.3m)ですけど。

遠浅川とホカンカニ川の合流地点(千歳市駒里)

美々川左支川の湧水は、この遠浅川の水も浸透してきていると。

ほころびはじめた ネコヤナギ
美々川の流れ(美々橋付近)

美々川は、新千歳空港北東部の丘陵を源とする湧水が集まって豊かな流れになっています。ほとんどの区間が自然河川で、流路延長20kmにも満たない短い旅を終えるとウトナイ湖に注ぎます。

カヌーで美々川流域の自然を楽しめるツアーなどもありますので、もう少し暖かくなってくれば豊かな自然との共生を楽しんでみるのもアリでは?


※ 写真はすべて、2022年4月、やぶ悟空撮影


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?