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日高進入管制区の 3Dイメージ

ことし令和6年の4月18日から、北海道に「日高ひだか進入管制区」が、東北に「白神しらかみ進入管制区」が新たに設定され、ターミナル・レーダー管制業務が行われています。これら2つの進入管制区を併せて「北日本広域ターミナル」と呼んでいます。

今回はそのうちの「日高進入管制区(Hidaka Approach Control Area)」の空域に着目します。


▲ 日高進入管制区(AIPの図に着色・加筆)

AIPに掲載されている図に色を塗ってみました。北海道の中央部から東の方に拡がる、かなり広い空域が日高進入管制区です。

「FL180」や「13000」などの高度を意味する数字があります。数字の上や下に引かれた横棒は、空域の上限や下限を意味しています。東部の大部分はフライトレベル180(FL180)以下の空域、旭川空港(AWEのあたり)の周辺は高度13,000フィート以下の空域となっています。

そして札幌に近いエリアは細かく分かれていて、例えば「高度7,000ftを越え 13,000ft以下(7,000ftを除く)」など、少し分かりにくいので、次の立体図を描いてみました。


▲ 日高進入管制区の立体視イメージ

この図は、管制区の下限高度を考慮せずに描いてあります。700ft (200m)、1,000ft (300m)、2,000ft (600m) と、場所によって変わります。

日高進入管制区の空域内には、7つの管制圏があります。

  • 旭川空港

  • 旭川飛行場(陸上自衛隊)

  • 帯広空港

  • 十勝飛行場(陸上自衛隊)

  • 釧路空港

  • 中標津空港

  • 女満別空港

 (順不同)

管制圏は各飛行場の標点から半径9km(5nm)の円内です。その上限高度は3,000ftが基本ですが、旭川空港(および札幌飛行場)が4,000ft、十勝飛行場は1,500ftなど、飛行場により異なることがあります。

札幌に近い西側の空域は、平面上だけでなく高度でも分割されているので、隣接する「札幌進入管制区」と一緒に見た方が分かりやすいでしょう。


▲ 札幌進入管制区(AIPの図に着色・加筆)

日高進入管制区の西側には「札幌進入管制区」があります。図のように、比較的シンプルな空域設定です。


▲ 札幌進入管制区(北東部)

その北東部の空域は、上限高度が11,000フィート、8,000フィート、7,000フィートと、旭川空港に近付くにつれて階段状に下がっていきます。


▲ 札幌進入管制区と日高進入管制区の境界部

札幌と日高の進入管制区が重なる部分です。札幌進入管制区の上限7,000フィート空域の上空と、上限8,000フィート空域東部の上空、ともに13,000フィートまでが日高進入管制区となりました。

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そして札幌進入管制区の上空には、さらに「千歳進入管制区」が覆いかぶさっています。


▲ 千歳進入管制区(AIPの図に着色・加筆)

AIPの図にある不要な線(16と17を結ぶ直線)は消しておきました。

上限高度は大部分がフライトレベル200(FL200)。北西部の空域は高度11,000フィート以下が「札幌進入管制区」で、南西部の高度13,000フィート以下は「函館進入管制区」です。そして、上限高度FL160空域の北側が「日高進入管制区」と接しています。


▲ 札幌、日高および千歳の進入管制区の境界部

ごちゃごちゃで分かりにくくなってしまいました。次の平面図も併せてご覧ください。


▲ 3つの進入管制区の境界(地理院地図に加筆)

こんなふうに細かく線引きされたのは何故なのか、それについて考えてみた記事は、こちらで。


<略語>
ACA : Approach Control Area、進入管制区
AIP
: Aeronautical Information Publication、航空路誌
APCH : approach、進入
EFF : effective、有効
EXC : except、~を除いて
FL : Flight Level、フライトレベル
RWY : runway、滑走路



New Chitose Airport, RWY19L APCH


※ 図はすべて、やぶ悟空の解釈により作成したものです。

※ 写真はすべて、2024年5月、やぶ悟空撮影


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