北海道~沖縄、直行
暖かい暖かい と大合唱のこの冬。苫小牧でも確かに暖かい日が多いのですが、最高気温でも氷点下という真冬日が、まだまだ残っています。
そんな中で 暖かそうな南国に思いを馳せていると、ふと「直行化経路」の文字が目に留まりました。対象リストに「ROAH-RJCC」も入っています。これは 那覇空港~新千歳空港 のこと。その間に直行経路ができるの?
となっており、すでに試行運用が始まっています。
那覇空港~新千歳空港 に着目すると、こんなルートになっていました。
これだけでは分かりにくいので、少し書き換えてみました。
もっと分かりにくくなった!って、スイマセン。
「Y〇〇」や「Y〇〇〇」は RNAV5経路 であって「直行経路」ではありません。赤色の破線で示した区間(鹿児島~奄美大島の北)だけが目新しい飛行経路のようです。
地図上に描くと、次のようになります。
緑の破線(最短距離)で示したような、那覇空港と新千歳空港とをダイレクトに結ぶ直行経路を設定したのかと誤解してしまいました(まさかね)。よく見ると「直行経路」ではなく、「直行化経路」と書いてあります。
と定義されているのでピンクのラインは「直行経路」とはいえず、「直行化経路」としたのでしょう。でも、AIP SUP NR218/23 の英語表記では同じ「direct route」を使っていて、「直行経路」と「直行化経路」の区別ができなくなっていますけど…。
それはともかく、地図でピンクの破線で示した 鹿児島より南の付近を拡大してみます。
既存の飛行経路は、
KANAH Y25 BOMAP Y45 HKC
ですから、14度ほど屈折したこの区間を直行飛行できるようにした、ということです。私の試算だと1nm(海里)ちょっとだけ、距離が短縮されそうです。
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このAIP SUPに記載されている「直行化経路」は12本。それぞれ、既存のRNAV経路(や航空路)以外の直行区間は次の通りです。
・フィリピン・マニラ~東京:MAGMA - AZAMA(6nmちょっと短縮)
・フィリピン・マニラ~成田:( 同 上 )
・フィリピン・マニラ~中部:( 同 上 )
・那覇~新千歳:KANAH - HKC(1nmちょっと短縮)
・那覇~小松:( 同 上 )
・那覇~広島:( 同 上 )
・那覇~岡山:( 同 上 )
・那覇~松山・岩国:( 同 上 )
・那覇~北九州:( 同 上 )
・那覇~高松:( 同 上 )
・那覇~新潟:( 同 上 )
・石垣~福岡:YURIX - MOMPA(6.5nm短縮)
12本並べても、結局のところ直行区間は3区間だけ。いずれも飛行距離の短縮効果はさほど大きくはなく、大部分は従来のRNAV経路ですから これ以上の時間短縮効果やそれに伴う燃料削減効果などは あまり期待できないでしょう。(わずかでも、ちりも積もれば山となりますが…)
2024年2月時点で新千歳空港と那覇空港を結ぶ直行便は、Peach Aviation(ピーチ)の1往復、271便/272便だけです。
これが国内では最長路線。日によってはこんなに安いんだ!
一例として、14日の飛行航跡を見てみます。
新千歳空港から那覇空港まで、この日は3時間20分かかっていました。
一方、那覇空港から北海道に向かうフライトは2時間49分。30分ほど早く着きました。飛行方向によって飛行時間が異なるのは良く知られたこと。上空で西からの強い気流の影響を受けるからです。
飛行経路はおおむね「直行化経路」にのっている…ようにも見えるけど、以前からあるRNAV経路を飛行し、周辺のトラフィックによってレーダーベクターでショートカットしているだけ、じゃないのかな。
「試行運用の目的」として、このように記述されています。フリールーティング(free routing)の実現に、何か関係あるのかな? どんなふうに検証しようとしているのだろう?
※ 写真はすべて新千歳空港で、やぶ悟空撮影
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