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旭川に米軍機

山々に囲まれた街を呑み込むように たっぷりと溜まった濃霧を 早朝の太陽が徐々に薄らげていきます。ここは10月の旭川空港。

▲ 旭川空港の滑走路34

最初に大雪タワーを呼び込んできたのは、米軍のビーチクラフト。山を避けた西側からアークを描いて最終進入コースを捕捉しました。ILS Z RWY34進入です。

▲ 旭川空港に進入するビーチクラフト機

この機は、横田基地に配属されている輸送機らしい。

▲ Beechcraft C-12J Huron、86-0078

垂直尾翼に登録記号 86-0078 の5桁分「60078」が記してありました。尾部に小さなフィン(ひれ)がたくさん付いています。調べてみよう。

C-12J 尾部のフィン

ドーサル・フィン(背びれ)や ベントラル・フィン(腹びれ)は他の機種でもよく見かけます。でも、小さめの水平安定板らしき STABILON(スタビロン)や、T型水平尾翼両サイド下に取り付けられた TAILET(テイルレット)は珍しいね。

ビーチ「C-12J」という呼び方は軍用で、民間では「1900C」と呼ばれます。短い一時期でしたが 1900D という機種が北海道の空を飛んでいたことを思い出します(C型とD型では胴体の形状が大きく異なります)。ビーチクラフト1900シリーズは、キングエア200の胴体を延長して座席数を増やしたものだそうです。

小さい補助的な水平尾翼「スタビロン」は、胴体延長に伴って重心範囲を拡大したり、ディープストール(deep stall)といわれる失速特性を改善するものらしい。確かにそういった効果が期待できそうです。このフィンは固定されていて、エレベータやトリムのような可動部はないそうです。小さくても防氷ブーツは必要なようで、黒いのが見えています。

下向きに取り付けられた「テイルレット」は、ボルテックス・ジェネレータ(失速速度を低下、干渉抗力を低減)との組み合わせで方向安定性を改善するのだと。ん? ボルテックス・ジェネレータなら主翼上面の前縁寄りに設置されていそうですが、水平尾翼の上面にもあるのかな? いまいち働きがピンときません。縦に取り付けられているので方向安定に関わるのだろうとは想像できます。


C-12J(86-0078)の飛行航跡(Flightradar24)

フライトレーダー24で飛行航跡を確認しておきましょう。朝早くに横田基地を発ったようです。

▲ 旭川空港への進入航跡(Flightradar24)

この赤い飛行機の辺りで撮影しました。“MOJO”は「呪術」や「麻薬」など、良い意味ではないようですが、(声が)若そうなパイロットの無線交信は丁寧で分かりやすい発音でした。

MOJO68 は1時間も経たないうちに旭川空港を離陸して稚内空港へ。後ほど確認した飛行航跡によれば、稚内で5時間ほど過ごした後、その日のうちに横田基地に戻っていました。ミッションは、いったい何だったのでしょう?


朝のエアドゥ便は 737-700で運航


※ 写真はすべて、2022年10月の旭川空港で、やぶ悟空撮影

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