見出し画像

ファイナル横断

F-15戦闘機が千歳飛行場に着陸しようとしています。滑走路18Lへのオーバーヘッドアプローチ。そのとき、新千歳空港の滑走路19Lに進入中のボーイング767は…

▲ ファイナルを横切るF-15J

撮影位置は19L進入灯のそば、滑走路進入端から270メートル手前です。2機がかなり接近しているように見えますが、管制間隔は大丈夫かな?

▲ オーバーヘッド・アプローチ

千歳飛行場の18Lにオーバーヘッド進入すると、大体こんな飛行コースになるようです。767機は ILS電波に乗って19Lに進入しているので、F-15が前を横切ると ILS計器の指示がやや乱れるでしょう。

最接近時の距離はどれくらい? 次の写真から少し考えてみました。

エアドゥ767の前を横切ったF-15戦闘機

写真で分かるのは 767F-15の機体サイズ。それで計算してみます。

  • 767-300ER の全幅:47.6メートル

  • F-15J の全長:19.4メートル

  • F-15J の全幅:13.1メートル

767機は真正面ですが、F15は真横でないので補正が必要です。写真の主翼端の間隔などから機首の方位を求めると、真横から約27°手前を向いていることが分かりました(詳細は省略)。そうすると全長は約0.9倍(cos27°)に短くなります。

写真に写る2機の大きさの比率から2機の距離を求めたいのですが、それだけでは難しいかな。カメラ位置から767までの距離を「100」とすると、F-15までは「約62」となりました。すると2機の間隔は「約38」です。さて、767機までの距離をどうやって求めましょうか?

写真の767はギヤダウンしていないので、おそらく滑走路進入端から 5~6nm(10km)以上は離れているはず。そうすると、2機の間隔は少なくとも 2nm以上 ってことになります。(nm : nautical mile、海里)

1 nm = 1.852 km

▲ AIRDO 767-300ER、JA605A

他の方法はないでしょうか? 画像に記録された撮影時刻からも概算してみましょう。ただし、分単位なので正確には出ませんが…。

この767機がタッチダウンした写真の撮影時刻は、F-15の最接近から3分後でした。その間の進入速度をざっくり150kt(knot、ノット)と仮定すると、3分間で 7.5nm飛行します。カメラ位置から、滑走路上の接地点標識までの距離は700メートル(約0.4nm)です。それを差し引くと、撮影位置から767機までの距離は およそ7nmほどになります。すると2機の間隔は約2.7nm(7×0.38)となりました。最大30秒の誤差(±1.25nm)を考慮すると2機の間隔は1.5nm~4nm。やや幅がありすぎますが、ざっくりで 2nm以上離れている…と見てもいいかな。

1 kt = 1.852 km/h

▲ 滑走路19Lに着陸する767-300ER

推定に推定を重ねているので精度は高くありませんが、2nmだとしたら4km弱。写真から、あるいは現地で見て感じた以上に2機の間隔は離れていた、という結果になりました。

-+-+-+-

ところで、オーバーヘッド・アプローチって、右旋回はしないものなのでしょうか? 滑走路18R/Lへの進入で左旋回すると、今回のように民間機が使用中の滑走路19R/L側にはみ出ることになります。右旋回すれば、新千歳空港側への影響の心配はないはずです。

サイド・バイ・サイドで左席の機長が操縦する場合なら、左旋回する方が視界が広く望ましいでしょうが、単座やタンデム複座の戦闘機なら左右の旋回の差はほぼないように思うのですが。

ただ、個人的なことを言えば、セスナ172の左席でもロビンソンR22の右席でも、視界の広さに関わらず右側への正確な旋回はなぜか苦手でした。右利き/左利き…のようなことも少しは影響するのでしょうかね。


※ 写真はすべて、2021年12月の新千歳空港で、やぶ悟空撮影


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?