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着陸失敗? 脚が折れた!

NHKの朝ドラ「舞いあがれ!」、珍しく今回は見ています。特に帯広での飛行訓練シーンは見逃せない!と力が入りました。冒頭の写真は シーラスSR22(JA019C)という、航空大学校帯広分校の訓練機です。

▲ 帯広空港の滑走路に入る SR22、JA013C
▲ 離陸した SR22、JA019C

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」のヒロイン、舞ちゃんが操縦していたのは Cirrus SR20(JA01TC)という、エンジンは異なるものの ほぼ同じ機体。その飛行機 JA01TCが天草飛行場に着陸する際、前脚を損傷してしまいました。12月26日のことです。

▲ JA01TCの飛行航跡、2022年12月26日(flightradar24)

鹿児島空港を離陸したのが10時31分。薩摩川内上空を経由し、天草飛行場への着陸は11時07分ごろでした。滑走路上に停止した写真を見ると、前の車輪がなくなって前のめりになっています。ノーズギヤ・ストラット(前脚支柱)が、車輪を固定するフォークの付近で折れたように見えます。プロペラの先端が曲がっているのは滑走路に当たったせいでしょう。

この件は、

「航空機のプロペラ、回転翼、脚、方向舵、昇降舵、補助翼又はフラップが損傷し、当該航空機の航行が継続できなくなった事態」

(航空法施行規則第166条の4 第9号)

に該当するので 航空重大インシデントとなり、運輸安全委員会が調査を開始しました。

重大インシデント:事故が発生するおそれがあると認められる事態

フライトレーダー24では「JA01TC」が「Civil Aviation College」(航空大学校)となっていますが、これは誤り。株式会社 Japan General Aviation Service(JGAS)が所有者です。JGASはシーラス・エアクラフト社の日本総代理店であり、訓練機として航空大学校にSR22を数十機納入しています。

▲ 航空大学校帯広分校のSR22

この写真のいちばん右に写っているのは JA017C。この機体は、2020年4月17日に帯広空港に着陸した際に前脚を損傷して滑走路上に停止しました。この事態も航空重大インシデントとして調査中(2022年12月31日現在)ですが、経過報告によればオレオ(緩衝装置)の「ピストン部とシリンダー部が分離」と記載されています。

また、その4年前、2016年3月21日にも同様に前脚が破断する事態が鹿児島空港で発生しています。運輸安全委員会の調査報告書によれば、その機体はシーラスSR22(JA01YK)で、破断部分は今回とは異なっており前脚支柱の上部でした。


▲ SR20の前脚構造(Cirrus Service Bulletinを編集)

シーラスのwebサイトにあるサービスブリテン(SB)から見つけた図です。ほほう、こんな構造なのか。ほかにも前脚に関するSBがいろいろ出ていました。もしやウイークポイントなのかな?


▲ 帯広空港から離陸したSR22

ともあれ、ご安全に…。

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2022年も やぶ悟空のnote にアクセスいただき、ありがとうございました。

みなさま、どうぞ良いお年を!


※ 写真はすべて、2021年10月の帯広空港で、やぶ悟空撮影

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