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動く翼、変わる翼

単身赴任オヤジの帰省フライトでした。LCCエアバス機の座席が翼の上だったので、フラップやエルロンなどの動きを観察することができました。

10年前の写真から。


▲ フラップ 0(破線と青文字は加筆)

格安料金で新千歳空港に飛ぶフライトは、成田国際空港からの出発でした。

エアバスA320のフラップ・ポジションは 丸を付けた部分で分かります。まだエプロンにいるこの写真では「0」。フラップ・アップの状態です。


▲ フラップ 15(破線は加筆)

フラップが「15」にセットされ、主翼の面積が破線で示したところまで拡がりました。面積に比例する揚力が その分だけ大きくなって、離陸に備えます。


▲ 成田国際空港の滑走路16L/34R(2013年5月)

滑走路34L(A滑走路)から離陸しました。テイクオフ・フラップ「15」。


▲ フラップ 0

上昇しながら機首を北に向けます。フラップはアップされました。

その後、巡航飛行中に AirAsiaのエアバス機とすれ違いました。冒頭の写真がそれです。翼端に取り付けられた赤色の小さな翼は「Wingtip Fence」と言われる整流板。抗力を減らす効果があるようです。


▲ スピードブレーキ展開

降下が始まりました。高度を下げていくと、エンジン推力を絞っても速度が上昇しがちです。高度処理と速度調整のため、片側3枚づつのスピードブレーキ(スポイラー)が少し開かれています。


▲ 北側から新千歳空港へ

ここは滑走路19Lまで約17キロメートルの長沼町上空。下に見えるのは、たまに車で走る道。この辺から進入コースに乗ります。フラップはまだ下ろしていません。


▲ ILS(計器着陸装置)による精密進入

まもなく、アプローチ・フラップ「15」にセットされました。


▲ 滑走路19Lに最終進入

滑走路が近付いてきて、フラップがフルダウンの「40」にセットされました。フラップの角度がグッと深くなって、揚力だけでなく減速効果も大きくなります。


▲ 新千歳空港に着陸

主脚が滑走路に接地したことを感知し、自動的にスポイラーが展開しました。それによって揚力が減少し車輪に加わる荷重が大きくなるので、ホイールブレーキの効きが良くなります。

この機体のフラップは 010152040 の5ポジションですが、フルダウンは 40 ではなく 35 のA320もあるようです。


▲ ジェットスター・ジャパンのエアバスA320、JA09JJ(新千歳空港)

私が搭乗した Jetstar Japanの A320-232、JA06JJ は、この写真の JA09JJと同じ機体です。背後に新千歳空港の気象レーダーと政府専用機の格納庫が見えます。


▲ シャークレット(Jetstar向けAIRBUS資料)

私が搭乗した翌年の2014年、Jetstar Japanの JA06JJ は、主翼端が “Wingtip Fence” から “Sharklet” に改修されました。それにより燃料が最大4%節約できるそうです。

そのシャークレット、2015年12月11日に トーイング中のボーイング767貨物機が接触し、JA06JJ の翼端が破損するという不運に見舞われました。駐機中で乗客はおらず、大事には至りませんでした。

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2020年12月18日、JA06JJ は「航空の用に供さないため」として抹消登録されてしまいました。エアバス社の新造機で2012年10月登録ですから、わずか8年の運航。まだまだ稼げる機体なのに、新型コロナ禍による大幅な減便の影響なのか、手放さざるを得なかったのでしょう。

その後オーストラリアに空輸された同機は VH-YXU として登録され、このJetstar塗装のまま 現在も現役で働いているようです。

それなら良かった。まだまだ元気でご活躍を。


※ 特記のない写真はすべて、2013年5月、やぶ悟空撮影

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