狭小空域、青森にも
前回に続き、また細かな空域のはなし。白神進入管制区の中にある、小さなエリアの話題です。
ことし2024年の4月18日から運用が始まった「白神進入管制区」の北東部に、青森空港があります。そのすぐ東隣りは、F-16やF-35などの戦闘機も飛行する「三沢進入管制区」です。大部分は平面上の境界線で分離されているのですが、青森空港に近いところに扇形のような小さい空域があることに気付きました。
その部分を拡大した図です。AIP(2024年4月18日有効)から、白神進入管制区(ACA)の図の一部を切り出しました。
水色に着色した「変形扇形」エリアの高度9,000フィート未満が、白神ACAに含まれています。こんなところに何故こんな空域が?
こちらは三沢ACAの図。同じ「変形扇形」エリアをピンクに塗りました。その形状が白神ACAの図と違っているようにも見えますが、実際には同じ形です。(点と線の決め方が異なっているが、結果は同じ)
このピンク空域は、実は 白神ACAが設定される以前からあって、三沢ACAは何も変わっていません。このエリアは、高度9,000フィート以上 フライトレベル(FL)200以下が三沢ACAです。高度9,000未満が三沢ACAから除外されていたのは、なぜでしょう?
「変形扇形」空域の周辺をさらに拡大した図。グレーの線が進入管制区の区切りです。
青森空港の滑走路は06/24、北東~南西の向きです。空港の北東から滑走路24に進入する場合の計器進入方式のルート5本を書き加えました。(AIP、2024年4月18日時点)
青森空港の滑走路24への着陸では、視界の悪いときでも滑走路面まで精密進入できる「ILS カテゴリーⅢb」という 計器進入ができます。そのファイナルの直線進入部分を確保するため、三沢ACAの低高度のエリアを除外してあったようです。その空域が このたび白神ACAに組み込まれた、ということなのでしょう。
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この図を描いていて、もうひとつ気になることが湧き上がってきました。
ピンクの線で示した RNP Z RWY24 (AR) アプローチのウェイポイント2か所が、三沢進入管制区の空域に入り込んでいるのです。図の下の方にある「NAMBU」と「SA453」がそれ。
青森空港の管制圏は、標点から半径9km(5nm)で上限高度4,000フィートの円筒状。これら2つのウェイポイントは、ほんのわずかですが管制圏の外側にあり、さらに白神進入管制区ではなく三沢進入管制区の空域に入っています。アプローチ・チャートによれば、「NAMBU」(FAF) の通過高度は3,700フィート、「SA453」では 3,091フィート。これらの地点付近では、地表からの高さ200メートル(高度にしておよそ2,500フィート)以上 FL200以下が三沢進入管制区です。
ということは、RNP Z RWY24 (AR) 進入で着陸するとき、白神アプローチだけでなく、三沢アプローチにもコンタクトしなければならないのかな? FAFを通過し着陸直前の曲線進入に入る場面で、面倒な通信設定をする余裕はないはず。これら二地点を通るRNP AR進入時のわずかな空域通過については、いちいち通信移管をしなくていいような協定か何かを事前に締結しているのかも? 知らんけど…。
いったい、どんな運用してるのだろう? 気になる…
※ 図は、やぶ悟空の解釈で作成したものです。利用の際は十分ご注意ください。
※ 写真はすべて2024年春、新千歳空港で、やぶ悟空撮影
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