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32:御厩河岸より両国橋夕陽見(おんまやがしよりりょうごくばしのせきようをみる)


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夕闇が迫る厩の渡し。「富士見の渡し」の別名にふさわしく、両国橋のたもとあたりに富士の姿がはっきりと見える。残照によってシルエットになった遠景を輪郭線のない無線摺で表し、夜のとばりを点ぼかしの黒で、波の陰影を重ねた曲線で表す。日が沈んで次第に色が失われていく時間が見事に表現されている。家路や宿へと向かうために渡し船に乗り込んだ人々は、この美しい光景をほとんど見ることなく押し黙っている。船頭の頭を中心点に橋と舟の弧が点対象となる構図も注目される。


河を渡る

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