百匹目の猿/船井幸雄(1996年)

宮崎県の幸島と言う無人島にニホンザルが生息しており、サツマイモの餌付けをしたそうです。サツマイモは泥まみれのものだったのですが、ある一匹のサルが、その泥まみれのサツマイモを川で洗ったそうです。そうすると、他のサルたちも、真似て洗うようになり、いずれその島のサルたちはみな、餌付けされたサツマイモを洗うようになったようです。さすがサルたち、洗うということを学ぶだけの社会性があるということですね。

これだけだと、ふーん、って話ですが、面白いのがそれをまねるサルが100匹を超えたあたりで、幸島以外のサルたちの間に、イモ洗いが同時多発的にみられるようになったそうです。

このことを科学的に解明しようとした人がいて、イギリスの科学者がいくつかの実験で、同じような結果を得られたといいます。つまり、「ある一定の人(モノ)が同じ考え方・行動を認知した時、時間や場所を隔てたところで同じ考え方・行動をとり始める人(モノ)が増える」と言うことのようです。

私は超科学的なことには懐疑的なので、これが科学で証明されたということを盲目的には信じませんが、かといって、科学で理解出来ないからありえないと否定もしません。(なお、著者はウィキペディアによれば、スピリチュアル系の著作家、オカルティストだそうです。これについても、この方の著作はこの本しか読んだことがないので、この本以外で判断出来る材料はありませんが、それっぽいことはちらほら出てきましたが、最後まで読み進められる程度です。)

この本で私がなるほどねーと思ったのは、「ある一定の人が行動すれば、それが社会全体に伝播する力を持つ」と言うことです。時間を隔てたところで、と言われると、なんか怪しくなるのですが、今の世の中インターネットを介せば、場所を隔てたところでも同じ力が作用するのは当然ですよね。流行なんてものは、まさにこれです。改めて強調するような内容ですらないかもしれません。

で、著者は、このままでは人類は危ないので、個人主義・効率主義をやめて、マクロの善人間にならなければならない。だから皆さん、100匹のサルになろう、皆さんが変われば社会が変わるんです、と言います。

頭からぜーーーーんぶすっ飛ばして、結論だけで十分です。人類が危ない云々、個人主義・効率主義云々、ここもすっ飛ばしていいです。

ひとりが変われば、社会が変わる。ここだけ。

自分が変わっても社会が変わらない。自分ひとりでは社会を変えられないと思っている人は多いと思います。でも、これって日本人が顕著に低いだけで、他の国ではもっと高いんです。

だから皆さん、意識を変えましょう!なんてことを声高に言うつもりはありません。ただ、私は100匹目のサルではなく、1匹目のサルでありたいと思っています。


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