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【考察】エグすぎるコミュ『絆光記』とルカと愛依の話

どうも、ヤバスギ謙信です。

絆光記、読みましたか?

……エグいです、マジで。
シャニアニやってるときにこんなコミュ出していいの!?ってなるし、いやもうシャニアニすぎるだろ!!!
そして何よりシャニマスすぎるし、個人的にはシャニマスのコミュで一番面白いと思いました。

「対話を諦めないこと」が一つのテーマであるシャニマスが語る「言葉」の話。
想いの力は弱いから、言葉を紡がなければいけない。
でも言葉は必ずしも正しく伝わるとは限らない。
これは、言葉を紡ぎ続ける光と闇の物語。

読んでない人は今すぐ読んできてください。
前提コミュはありません。
もちろん読んでた方が楽しめるコミュはいくつかあるけど、そんなの必要ないです。これ単体で完成されてます。

というわけで今回は絆光記、そしてシャニマスのメインストーリー部分(Shiny Stories)であるルカの話なんかも含めて色々語っていこうと思います。
絆光記、バイスパイラル等のコミュのネタバレがあるので注意してください~。


○光と闇の話

絆光記ではいくつかのエピソードが展開されていくが、特にこの話はバイスパイラルで語られた「光と闇の魔法使い」の延長と考えていいだろう。

というかこれはもうバイスパイラルの続編だ。(かといって、必ずしもバイスパを読まないと絆光記を楽しめないわけではない。どちらかというと絆光記を読まないとバイスパの味が深まらないといった方がいいだろうか。)

光と闇について、バイスパでは「光では導けない傷だらけの者たちを闇が救うのだ」(要約)と語られていた。
ここでいう光とは真乃を始めとした283プロのアイドルで、闇とはルカのことを指している。
真乃たちでは救えない人々でも、ルカの悲痛な叫びなら人々の心に届き、寄り添うことが出来る。
それがバイスパイラルで提示された光と闇の話である。

バイスパイラルでは、光と闇の魔法使いのその後は語られない。二人の魔法使いはいつか再会することを誓い、そこで物語は終わってしまう。

絆光記では、バイスパでは語られなかった光と闇の続きを見ることが出来る。
光たるイルミネが、闇である少女やライターを救い、導くお話。
そう、このコミュではバイスパでは成し遂げることの出来なかった光による闇の救済、導きが行われているのだ。

探したのに見つからなくて
見つけたのに伝わらなくて
伝わったのに傷つけて
知っていくと知らないことが増えていって
便利だけど不便で
冷たいけどあたたかい

それが本気で向き合った言葉なら紡いだ人の想いを超えていつか──

光の言葉が全員に行き渡ることはなかった。
それでも、本気で闇に向き合った光に。
光の一番近くで身を焦がした闇は、少しずつ絆されていく。


〇わかってたまるか、光なんかに

「俺の嫌いなあいつは、きっと酷い人間に違いない。」
こんな風に考えたことのある人は少なからずいるのではないだろうか。
その人間のパーソナリティから目を背け、偏見で塗り固められた色眼鏡を外そうともせず。

ライターもその一人だ。
光を光としか捉えず、自身を闇に置くことで闇の住人を救済する。
それこそが作家としてあるべき姿だと断じ、疑わなかった。
しかし、光が必死になって言葉を紡ぐ姿は、闇の住人をも動かし、導いていく。
光は、自分なんかよりもよっぽど闇に寄り添っていたのだ。

暗くて惨めで希望のない言葉が
不愉快で否定的で思いやりのない言葉が
誰かを救ってはいけないのか

そのことを自覚してしまったライターが発した悲痛な叫びだ。
この後、ライターは光に向き合い、自分を見つけることに成功する。
だが、ここでもう一つある事実が明かされる。

けど……俺が目にしてきたどの記事よりもアイドルに真摯に向き合っているように見えて……
彼の本に、ちょっと救われたことがあるんだ
書いた本人は、そんなつもりはなかったかもしれないけど

シャニPは以前、ライターの紡いだ言葉によって救われていたのである
シャニPという光の住人を、闇の魔法使いであったライターは救うことが出来ていたのだ。

光が闇を導き、闇が光を救う。
絆す光の記録、或いは絆される光の記録。
これこそが絆光記の描きたかったバイスパイラルのその後。
光と闇の対話なのではないだろうか。



〇そもそも光と闇とは何なのか?

光だ闇だ、ここまで散々書き連ねてきたが、そもそも光と闇とは何なのか。

この概念が明確に提示されるバイスパイラルでは、光とは283プロのアイドルのようなキラキラした人達。闇とはルカや、甜花の友達のAちゃんのような傷ついた人達であるとされている。

だが本当にそうだろうか?

櫻木真乃は、風野灯織は、八宮めぐるは、283プロのアイドル達は、本当に傷一つない光の魔法使いなのだろうか?

シャニマスに触れてきた皆さんなら、その答えはNOであると知っているはずだ。
彼女たちは時に傷つき、闇を抱えながら歩んできた。
それでも自らの意思で、光の魔法使いとして、アイドルとして闇を照らすことを選んできたのではないか?


そしてこれは、闇たる斑鳩ルカにも当てはまる。

ルカのマイコレにおいて、ルカのキャラクターが所謂履かされた靴であったことが発覚した。
ルカの本質とは、シーズ感謝祭やセヴンスで見せた、美琴と楽しそうに過ごしている時のものだったのである。
要するに斑鳩ルカは、光の住人であったにも関わらず闇の魔法使いであることを選択したアイドルなのだ。

そう、結局のところ光だ闇だというのはライターがやっていたようなラベリングに過ぎない。
そこに大小はあれども、人間とは誰しも光と闇の両方の性質を併せ持つものだ。
283プロのアイドル達に留まらず、それはきっとどんな人間でも、自ら決断し、光であることを選び続けるならば。

その羽はきっと
光の当たり方で色を変える。

それはきっと、光が消えたとしても。


〇絆光記から読み解く斑鳩ルカの今後

つまりバイスパイラルで描かれた光と闇の相容れなさというのは話の過程に過ぎず、本気で向き合い言葉を探し続ければ、光と闇の輪郭は段々とぼやけていくということが示唆されているのではないだろうか。

現にルカはコメティックの2人によって明確に絆されている。
加入当初の棘は鳴りを顰め、段々と光に寄ってきていく様が描かれている。

だが、ここで問題になってくることが一つある。
ぼやけた先に「斑鳩ルカ」はいるのだろうか?

斑鳩ルカとは、前の事務所が生み出した闇の住人のための靴である。
闇の住人は斑鳩ルカを求め、ルカもそれに応えるために靴を履いた。
それこそが『最低何もかも』なのだ。

もしみんなが誰かのために
今みたいなみんなじゃなくなろうとするなら
今のみんなに救われている人達は
どこかでちゃんと救われてくれるだろうか
みんなはみんなであろうとしてくれていい
伝わらなかったみんなの形は周りの人が頑張って伝えていくから

このプロデューサーのセリフ自体は、靴を履くことの否定である。これはめぐるのトワコレ「2人色クレオール」で提示された問いへの明確な回答であり、これこそがシャニマスが説いてきた自己との向き合い方だ。

だが「斑鳩ルカ」という靴を求めていた人はどうすればいいのか?
ルカが今の人気を誇るのは、前の事務所が用意した靴に合わせているからだ。ルカのファンは「斑鳩ルカ」に救いを求め、ルカはそれを受け入れている。
ルカがルカであろうとした時、「斑鳩ルカ」に救われていた人はどうすればいいのか?
ルカが変わってしまったとき、過去として切り捨てられてしまうのはあまりにも酷なのではないか?


しかし実は、シャニマスはこの問いに対して既に答えを出している。

5thライブキービジュアル
当時から示唆されていたのだ

そう、和泉愛依である。

和泉愛依が所属するストレイライトというユニットは、テーマの一つに二面性というものが存在する。
彼女達はそれぞれ二面性を持っており、和泉愛依も例に漏れず「アイドルのクールでミステリアスな愛依サマ」と「陽気な褐色ギャル愛依ちゃん」の二つの顔を使い分けている。

だが、愛依にとって愛依サマを演じることは最初から望んでやっていることではなかった。
デビュー当初、極度のアガリ症だった愛依が何とかステージに立つためにプロデューサーと共に作り上げた「靴」。それこそが愛依サマの顔なのだ。

プロデューサーも天井と同じことをやっていて、しかも成功させてる
和泉愛依、マジで何者?

そう、シャニマスというゲームは斑鳩ルカや七草にちかが登場する二年前の時点で、既に靴の話を一度描いていたのである。


〇和泉愛依の話

クールでミステリアスな愛依サマを演じてきた愛依だったが、アイドルになってから長い月日が経ち、いつしか緊張もしなくなってきた。
いつか仮面を捨て、素の自分でステージに立つ日も近い。そんなことを考えていた時だった。

シャニマスモブの中でも相当邪悪な男

望まぬ形で自身の素顔が公衆に晒されてしまう、という事件が起きる。
当然ファンは困惑する。クールで口数も少ないと思っていた自分の推しが、テンションの高い陽キャギャルだったのだからそりゃそうだろう。

窮地に立たされた愛依は悩み、そして決断をする。

号泣

愛依サマという靴を脱ぎ捨てるのではなく、履きこなす。
自分を信じてくれるファンのために、そして何より今まで歩んできた軌跡を否定しないために。
自身の二面性に向き合い、否定せず、愛して受け入れる。

それが和泉愛依の出した答えであり、そしてそれこそがシャニマスが導き出した、自身の闇との向き合い方なのではないだろうか。


ルカが今後、どのような軌跡を描いていくのかはまだわからない。
けれど、彼女はきっと光に、そして自らの闇に向き合っていく。
それこそが彼女が救われる方法であり、きっとその先には彼女にしか描けない道が広がっている。

ドアは空いているのだ。

〇終わりに

シャニマスもついに6周年を迎え、7年目への第一歩として描かれた絆光記。
コメティック感謝祭など、明確にShiny Storiesの章が始まる中で記されたこの記録は、シャニマスというコンテンツを明確に表した傑作コミュでした。

斑鳩ルカ、八雲なみ、天井努、そしてすべてのアイドル達が紡ぎだすその軌跡の先をこれからも楽しみにしていこう、そう思わせてくれた絆光記に最大限の感謝を示して、この記事を終わろうと思います。

本当にありがとう、絆光記。


追記:絆光記は間違いなくShiny Storysである

この記事を公開した後にシャニオタクと語らう飲みがあったのだが、そこで気がついたことがあまりにも大きかったので追記として語らせていただく。

このコミュには2人のキーパーソンが登場する。
1人は間違いなくライター。闇の言葉を紡ぎ、闇を救おうとする者。
もう1人は、めぐるに憧れるアイドルだ。

彼女はイルミネに、特にめぐるのようなアイドルになりたいと憧れを抱き、アイドルを続けていた。
が、コミュの終盤で夢破れ…、というよりは己と向き合い新しい夢を見つけて、アイドルのマネージャーとして光を支えて行くという道を選んだ。

闇を救うために闇の言葉を紡ぐ者。
光に焦がれ苦しみながら光の道を進む者。

どこかで聞いたことがないだろうか。




言うまでもないだろう。
斑鳩ルカと七草にちかである。

つまり絆光記とは、イルミネーションスターズが斑鳩ルカと七草にちかに光の手を差し伸べるコミュなのだ。
これをShiny Storysと言わず何と言おうか。

もちろん、このにちかというのは正史におけるにちかではない。
言うなればWingで敗退した未来の七草にちかである。

にちかWingをよく思い出して欲しい。
八雲なみという光に囚われ、苦しみ続けたにちかは、優勝しないこと、敗退することこそが幸せへの近道だった。

そして、優勝したにちかはそのショックで倒れてしまうほどに。

つまり、絆光記に出てくるアイドルとは七草にちかであり、にちかが敗退した未来なのだ。
彼女はアイドルの道から敗退したからこそ、幸せそうに光の道を歩むことが出来ている。

そして、だからこそ正史の七草にちかの異常性が際立ってくる。
彼女は持たざる者でありながら、決して諦めない不屈の執着心によってWingという関門を突破してしまった。
自らに向き合わず、合わない靴を履いたまま。
それはバグのようなものであり、それ故に彼女は更なる地獄の苦しみを味わうことになる。

それを裏付けるかのように、彼女は自分自身の力で立ち直っていない。彼女が今ステージに立っているのは、緋田美琴という光の変心によるものだ。
美琴という光がステージに導いたことで、ようやくシーズが始まったのである。

では斑鳩ルカはどうなのか。
彼女の場合はにちかよりもわかりやすい。

何がわかる、影の居場所を無自覚にこそいできた光に

神様は死んだ、って の歌詞
「照らさないでよ 居場所を奪わないで ねぇ」

なんなんだ
なんなんだよ
俺より
俺なんかより
あの子たちの方が
よっぽど━━

斑鳩ルカのセリフ
「なんなんだよ」

上記のように、ライターの発言は明らかにルカを意識したものになっている。
役割としても、再構築された斑鳩ルカと言って過言ではないだろう。

○何故、ルカとにちかなのか?

まず、この2人は明確にシャニマスのメインストーリー、Shiny Storysに関わってくる人物だ。
そして何より、2人とも傷つきながらアイドルの道を歩んできた闇側の人間である。
緋田美琴という強く冷たい炎によって、誰よりも近くで身を焦がし続けた2人。

もし、光がイルミネーションスターズだったなら。

七草にちかに必要な言葉は違った。
異常なまでの執着心という才能を持った持たざる者には、必要なのは炎だった。

なら、斑鳩ルカには?

これは、そういう物語なのかもしれない。



余談:ジエピやにちかwingにおけるプロデューサー
この記事を書きながらシャニPの行動について色々考えていたんですが、シャニPって光を支えることは出来ても闇を導くことは出来ないんじゃないかな、と少し思いました。それはもしかしたらシャニP自身が闇側の人間だからで(ライターの言葉に救われていたのは闇側だったからなのかもしれない)、闇に対する明確な答えを持っていないんじゃないかとも思います。
だから闇ルカ全盛期やにちかwingのシャニPは様子がおかしいんじゃないか、というわけですね。
まあほんの思い付き程度の考察なので根拠とかは特にないですが。

それでは~

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