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レースログ/館山わかしおトライアスロン

迎えた初レースの朝。05:30起床、よく眠れた。
会場からほど近いペンションに宿泊、オフピークにもかかわらず満室のようだ。周りの部屋は当日受付が多いのか、支度している音が聞こえてくる。
前日までの雨の予報は外れ、しばらく持つみたい。会場までの3キロはバイクだ、雨よけをここで荷物から外せるのは助かったなぁ、と持ち物の最終確認をしつつ、前日の受付で配られたナンバーシールを腕に貼り付ける。 前日に試泳に使ったウェットスーツもすっかり乾いていた。これでクリティカルな忘れ物はないな!

着替えて粉ポカリを準備していたら、朝食の時間になった。パン、ハムエッグ、オレンジとヨーグルトを少しとった。

会場へ。雨の匂いがする重たい空だが、降ってないだけでもありがたい。ここで体力削られてはたまらん、と荷物に注意しつつバイクをノロノロ運転。トランジションオープンの08:00にあわせて出たつもりが、高揚しているのか早く着いてしまった。

既にMCがスタートしていて、小気味よいBGMが掛かっている。このFM感いいな。バイクとヘルメットにナンバーシールを貼る。500ペットの水を1本凍らせておいたが、使わないかもな。今日は気温が高くならなさそうだ。あたりをウロウロしてみると、あちこちでボランティアの方から大きな激励の声。勝手に来てるだけなのに、すごく応援してくれて嬉しい。気持ちが高まってくる。

トランジションオープン。初めての設営。自分の番号から始まる区切りの良いレーンで、左が居ない位置。これはビギナーズ”ラック”?荷物をある程度拡げながら準備できたのはありがたい。ランシューズの上に補給&バイザー、バイクシューズ、靴下、ゼッケンベルト、補給と重ねる。スタート時間から降雨の予想なので、それぞれ濡れないようにジップロックに入れておいた(結局最後にはほぼ全て濡れてしまうのだけれど)。周りの選手とすこし談笑。
ウエットはチャリに引っ掛けてみた。これで完成?まわりの様子をチェックしてみる。Luminaの記事とかで見たことある、バイクシューズがペダルに既にセットされたラックもある。そしてみんな荷物が少ない。トランジションスペースを見ただけで明らかに速そう!自分のを見返すと、1泊旅行の荷物みたいな量。こんなに要るのか、オレ?

08:30、バイクコース試走がはじまる。レース時の動線確認しつつ、バイクシューズでは走りにくくて捻挫しそうだな、と乗車ラインまでは急がないことを決める。バイクにまたがり、サイコンをセット。路面の滑り具合を確かめつつ1周。買ったばかりのサイコンは4.3キロを指していた。これを9周回か。そんなに長距離乗ったことないけど。そもそも混合トレーニングすら、しっかりやったことないけど。
…とトランジションエリアに戻り不安になってきたところで、大学の後輩が声を掛けてくれた。転職の報告してくれたけど、準備でテンパっていてあまり反応出来なかった…改めておめでとう。

1時間くらい間が空く。出走は10:30だから、ストレッチなど軽い刺激に留めつつ、海を見ながらボーッとする。BGMを聞くともなく聞きつつ、時間を見つけながら細々と練習してきたことをつらつら思い出す。それウォーミングアップか?というほどダッシュしているオジサンも居る。ツワモノだらけだ。今回館山は3回目という女性選手と談笑。緊張と不安が混じった表情。みんな楽しんでるな。

10:00、トランジションクローズ。先行するリレーがスタートするので、ウエットを手にビーチへ。ウエット着て、計測ベルトを受け取る。ちょうどリレー選手がスイムアップしにくるところ。岸に戻る最後の200mで結構押し戻されるのか泳ぎにくそうだ。最後の方に力を貯めておかなきゃな、と考えていると、ここでバケツをひっくり返したような降雨。ついに降り出してしまった雨は止む気配がない。どうせあと少しで水の中だ、気にならない。準備運動を同ウエーブのみんなで行ない、試泳に入水。前の日にOWS講習会で習った動作を確認する。もっと緊張するかと思っていたけど、すごく落ち着いてきた。

スタートは岸からだが、10秒ごと10人のウエーブスタート。バトルが少ない?らしく少し安心。「泳力に自信ないし、後ろの方から、」と途中までは思っていたのに、200人くらい?のうち、真ん中少し前でスタートするスタンバイ。こういう時、なぜか前に出たがる感じになっちゃうんだよなぁ。スタート時刻を待つ間、MCの方が選手をイジりながら、場が温まってきたところで、ふとこんな言葉。「ここに集まっているのはみんな大人で、仕事はもちろん、家族がいたり、怪我をしてしまったり、練習の制約が色々ある中でスタートに立っている。まずはここまで来たことが凄いですよ〜。あとは無理をしないこと、出来るベストを尽くすことですよ〜ここまで来たら、練習でやったことしか出来ませんから!」思わずゴーグルがウルっと曇ってしまった。悦に入っている場合じゃないけど、トライアスロンに挑戦するんだ、と言った時から、すごく応援してくれた家族や職場のみんなのことを思い出す。

10:30、いよいよ出走。8列目くらいだったので、先頭ウエーブから1分ちょい後だ。両サイドによろしくお願いします、と声かけする選手もいる。爽やかだな。スタート合図の音と共に小走りで駆け出し、入水。水は冷たすぎず気持ちいいが、雨のせいか先の選手のせいか、昨日とはうって変わって水が濁っている。海底が見えないが、関係ないか。300mほど先の第1ブイ目指してゆっくりと水をかく。前のウエーブにすぐ追いついてしまい、ダンゴ。もっと前からスタートしても良かったかな?と思っていると、わずか200mほどでライフセーバーが慌ただしく動いているのが目に入る。1人トラブルで救出。せっかく来てこりゃ悲惨だよなと思いつつ、スイムの事故は入ってすぐが多いと言われていたのを思い出す。一息ついて、「無事故無違反での完走!」という目標を思い出す。そうこれは自分との戦いだ。リズムよく落ち着いて、意識的に深く呼吸する。8回水をかくのに一回はヘッドアップ。調子が出てきたみたいだ。第2ブイを回り岸に戻るところで、うねりに引き戻される感覚。さっき岸から見ていたのはこれか。ピッチを上げキックして、乗り切ろうとする。ヘッドアップは4回に一回程度。前を行く選手の泳ぎ位置を確認しつつ、進行方向を選んでいく(実際に出来ていたかはさておき、そうしているつもり)。
岸に上がったところでタイムは丁度16分、スタート時間を考えると1周15分。自分としては悪くないペース。2周回目はつい飛ばしたくなる気持ちを抑える。無理をしてここでオーバーペースになると、後工程へのダメージは未知数だ。2周目は少しブイへのラインから外れたりしながらも、何とかペースを守れた。スイムアップしてみれば、あっという間の31:44。ボランティアにポカリを貰い、初トランジションへ。ついつい小走りに。雨脚はすっかり弱まっている。バイクを前に、少しだけ安心材料。

ウエットを脱ぎながら自分のバイクラックへ。まだ周りのバイクは結構残っていて、あれれ結構速いのかなとか余計なことを考えているとウエット脱ぐのに尻餅をついてモタモタヨタヨタ。どんどん後続の選手にトランジットで抜かれていく。ジェルを飲み、靴下を履き、ゼッケンをつけて、ズブズブになったバイクシューズを履く。せっかく防水しておいたが、そもそもバイクラックあたり一面が水たまりになっているではないか!
慌てないで忘れ物チェック。ウエットが他の人の邪魔にならないように適当に畳む。給水してスタート。
ここで誤算。バイク乗車位置までの道端が狭い!ゆっくり焦らず歩いて、と思っていたのに、先を急ぎたい後ろの選手から煽られ、ついついバイクシューズで小走りになりツルっと滑ってしまい、股関節が少し痛む。あーあ。やるまいと思っていたのに。。ほんのすこし不安を抱えていよいよバイクスタート。
周回コースに入るやいなや、「背後から右開けて!」の叫び声。聞くや否や、ゴオオオオオオオという轟音とともに高級バイクに一瞬で抜かれる。同じウエーブと、既に1周回も差が付いている。僕の脚力で10分くらいか。あるいはそれ以上?気にしてもしょうがない。絶対に接触は避けようと誓う。
路面を気にしつつ安全運転は続く。右からすごい速さでグングン抜かれていくが、とにかくペースは上げず、スイムの影響で体に異変がないかを入念にチェック。さっきの股関節も大丈夫そうだ。直線が続くところでボトルから給水。ポカリ美味い。1周回でサイコンを見るとちょうど10分だ。このまま行けば9周回なら90分。悪くないペースじゃん。(この手の計算するのが好きで、結局途中から残りの距離と時間を計算してばかりだった。)
3周回目、ちょうどコース半分くらいの所で落車事故した選手を発見。脇の溝に座り込んで、ぼーっとしている。顔面から出血があり、止まろうかと逡巡するも、スタッフが駆け寄ってきているのに気づいて、任せる。4周目にはコースが半分クローズになり、「落車!減速!けが人!」と端的な誘導の声。背筋が伸びる思い。5周を終えて45分。あれ・・・?ペースアップしているのに、ラクだぞ。体が温まってきて自然とペースが上がってきた!

…わけではなかった。実はこれが壮大な勘違いで、自分の周回カウントミス。いよいよ9周めに差し掛かり、ラストだーと思ってなんとなくサイコンを距離表記にしてはじめて気づく。30kmちょっと。あれ???????絶対にあと一周(4.3km強)じゃ足りないぞ。どう考えてもあと2周回必要だ。どこかで周回カウントを間違えていたか?いやそんなはずは。一周9分で刻んできたじゃないか。計器が間違えることもあるのでは?と自分を信じるか計器を信じるか。9周回(本当は8周回め)はそんな葛藤ばかりしていたが、自分の中の"冷静さん"が辛くも勝利、自分の数え間違いだろうと無理やり納得し、10週め(ではなく実際は9周回め)に突入。このあたりまででバイク1:25:00。残り一周で足に急に来た。足取りが重くなるとはこの事だけど、40kmという距離というよりはむしろ、一周数え間違えていた事で思ったより想定タイムが後退した事など、気持ちが切り替えられなかった事の方が大きかったかも(これは後日改めて考えて、思うこと)。

バイク9周を終え、再度トランジションへ。スイムアップの時にはチャリがたくさんあり余裕の気持ちになったが、今回は逆にチャリが周りのラックに多い(完全にバイクで抜かされている!)。気を取り直してシューズを替え、ジェルを飲み、サンバイザーをつける。天候は曇りに変わっている。一度深呼吸し、忘れ物チェック。次に帰ってくる時は、バイクピックアップの時だな、と思いつつ再出発。ふと腕時計をみると2:07:00あたり。キロ5分でサブスリーいけるじゃん。えーーーっと、ランニングのコースは2.5kmを4周回だから、片道1.25km, これを6分半で行くと一周13分。10kmを54分だ。まずはこれをベースにして、ちょっとずつ貯金を作るビルドアップのイメージで行けばいける。(本当にこんな感じの事ばかり考えていたな。。。)

まず片道。だがスピードが全然上がらない。補給はした、足も痛くない、でも…既にシンプルに疲れている。200mほど走ったところで、ここまで来れているって事ですごくね?と逡巡し歩きそうになる。なぜかウルっと来る。おいおいちょっと待てよ、まだ終わってないよ。とにかく歩を進める。周回ごとのポカリを楽しみにして、ペースを上げてみる。きついけど、あと7kmだったら何度も走った事ある距離だし、全然行けるぞ。残り5kmで2:30:30。キロ5分ちょいのペースに上がってきているし、これは本当に行けるかも。

何人も歩いている人がいる。この時間まで残っている人の中で、後ろから抜いて来る人はいなくなっていて、自分がどんどん前を抜いていく格好になる。全体的にスローペースなのだけど、それでも相対的に速いとどんどん前が目標になって走りやすい。リズムが上がる。足もあと少しなら持ちそう。いけるぞ。さらにペースを上げて折り返し、最後の1kmを走る。時計は見ないで行こう、きっと間に合うぞ。周回コースを出て、最後のフィニッシュラインへ。前の一人抜く。ギリギリまで力を出し切りたい。小学生のボランティアとハイタッチ。わーという声に、オッシャーと応えて完走テープを切った。計2:58:35。(ギリギリ!)初レースの達成感と安堵感たるや。お水をもらい、しばらくビーチサイドで放心。楽しかったなー。

これはまた、挑戦したくなる気がする。少し休んでから、バイクの練習をもっとしっかりしてみようと思う。

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