コンサルは、なぜコンサルティングができるのか?

「コンサルは、なぜコンサルティングができるのか?」

最近、このように聞かれることが多くなりました。
確かに、その業界のことはクライアントが一番よく知っていることが多いです。そのような中で、なぜクライアントに価値を感じてもらえることができるのか?

約1年前、私は事業会社からコンサルに転職しました。以下では、事業会社とコンサルの両方の立場を経験して気づいたことをまとめたいと思います。

目的に合わせて論点設計ができる

知識があることと、問題が解決できることは別です。
コンサルは確かに業界の現場のことまで細かくわかっているわけでは必ずしもありません(それが求められることもありますが・・)
しかし、経営課題を解決するためには、そのような知識よりも、課題解決に特化した思考方法がより重要になります。

私自身は新規事業に特化したコンサル会社に勤めていますが、新規事業開発に特有の思考方法があるので、そうした点でクライアントに価値を提供することができます。

例えば、新規事業開発にあたっては、課題を発見し、ビジネスモデルを構築し、事業規模を推定するのが1つのアプローチです。しかし、そもそも課題をどの程度の解像度で理解すべきかをわからなかったりするケースが多々あります。この点では、コンサル会社に経験の長があり、コンサルが可能となるのです。

他業界のノウハウがある

ますます複雑なビジネス環境となっているこの時代、先を見通すのが難しいのは誰もが感じていると思います。そのような中、将来予測の1つの手法として、他業界の事例を観察するのは有効な手段です。

例えばある部品メーカーが、販売戦略を立てていたとします。そこでコンサル会社は、他業界の部品会社の成功事例から示唆を得て、その会社に合った販売戦略を立てるというアプローチをとることができます。

これは、色々な会社の戦略を見ているコンサルだからこそできる技だと思います。別の見方をすると、ネットワーク理論でいう「ブリッジ」の機能を果たす位置にコンサルがいるため、構造的に価値を出しやすいのだと理解しています。

論点に正面から向き合える

事業会社にいると、あるプロジェクトが立ち上がっても、既存のオペレーション業務があるため、実は別の仕事と掛け持ちでやったりしていることが多々あります。「重要だが緊急ではない仕事」が、「重要でないが緊急である仕事」のためにおざなりになってしまうのです。

その点、コンサル会社はそのプロジェクトに100%向き合えるため、使えるリソースも当然確保できます。

また、事業会社では組織の論理を気にしたり、階層が多いため社内コミュニケーションに時間をとられたりと、別のノイズが発生します。

コンサルはそのような点を気にせず、純粋に問題解決に向き合えるという点も、実はバリューの源泉の1つであると思います。

以上3つが、コンサル会社がコンサルティングをできている理由です。


最後に、こぼれ話

最後に、意外に感じたことを1つ。
実は、コンサル会社と事業会社がアクセスできる情報ソースは、そう変わりがありません。だいたい、ネット検索とインタビューの2つがほとんどを占めます。
ここからも、どのような情報をとるかではなく、情報をどう解釈してどう意思決定に結び付けるかが重要である、ということがわかります。

よく「Why」「So What」が大事だと言われますが、本当にその通りだと実感しています。



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