見出し画像

どんな英語だって大丈夫


もう私は一生英語が話せるようにはなれないだろう。


そう思って3ヶ月のイギリス滞在から戻ってきた私だったが、その翌年結婚し、アメリカへ新婚旅行に行った時には、ホテルのチェックイン、ショッピングなど、必要最低限の英語はなんとかなった。

レストランなどでは、どうしても最初に夫が話しかけられる。だが、答えられなくて私が助け舟を出すということが何回かあった。その度に、英語が話せたらいいのに、という思いを抱いた夫は帰国してから、車の中でNHKラジオの基礎英語講座を毎日聞いていたらしい。

私は私で、懲りもせずに、1年間毎月届く英会話教材を買って、最初の月はそこそこやり、次の月はメインの教材をちょっとだけ聞き、3か月目からは封も開けず、タンスの肥やしならぬ、押し入れの肥やしにして、夫に呆れられていた。

そんな時、友達にヒッポファミリークラブの話を聞き、講演会に行って創始者 榊原陽氏の話を聞いた。勉強しなくて多言語が話せるなら、面白そう。1歳3か月の長男が、将来世界を平らに見られる人間に育ってくれたらいいな、そんな思いで家族3人でヒッポに入った。夫は、ラジオ講座を何年聞いても話せるようになるとは思えず、ヒッポなら自分にもできるかもしれないと思ったようだ。

入ってみると、最初はいろいろな疑問もわいてくるのだが、それは、またの機会に書くことにする。結婚して子育てに専念していた私には、ヒッポはとにかく楽しくて、自分の世界がぐんと拡がる気がした。

ホームステイの受け入れも、ヒッポを通じて行う事ができ、1回目2回目は、台湾、韓国の人で、日本語がペラペラだった。3回目に受け入れしたインドのRaviさんは、企業の研修で日本に来たばかりで、初めて日本語を話さない人だった。

インドのことばを教えてもらったりもしたが、会話はすべて英語だった。3歳と8カ月、2人の息子を抱えてのバタバタの受け入れだった。それでも、1泊2日の短いホームステイ期間、近場の観光に出かけたりして色々話した。

Raviさんは、すごく優しい人で、3歳の息子と一緒に、金華山の頂上からロープーウェイ乗り場までの道をゆっくり歩いてくれた。息子は、「ラビさん、ぴょん」と言いながら、Raviさんと私の間で、つないだ手にぶら下がるようにして、ジャンプしながら階段状になった下り道を降りていった。本当に可愛かった。

Raviさんは、私のつたない英語も、分かるよ、分かるよという感じで聞いてくれ、なかなかことばが出てこなくても、ゆっくり待ってくれた。ことばにつまっていると、「こういう事が言いたいの?」という感じで助けてくれた。さっと話せない英語も聞けば分かることがあるので、「あっ、そうそう」という感じで会話は続いた。こんなに楽しく英語を話したのは初めてだったかもしれない。ゆったりと受け止めてくれる人がいることで、こんなにも楽になるんだと実感した。

そうして話しているときに、あることに気づいた。Raviさんは、インドではビジネスで必要だからみんな普通に英語話すよと言って、自然に英語を話していた。でも、heとsheがごちゃ混ぜになっていたり、現在形と過去形の区別が無い事もあったりした。三単現のSなんて、この世に存在しないもののようだった。でも、コミュニケーションに全く問題はなかった。

頭では、間違いを恐れず英語を話せば良いと思いながらも、なかなかそれができなかった私だが、Raviさんとの出会いで、少しそれが変わった気がする。相手は私の英語を聞いているのではなく、私の話を聞いているのだから。

長年勉強してきた英語は、誰かが話す時、文法的な正しさや発音の美しさに、なんとなく点数をつけながら聞いてしまいがちになるのは、よくわかるんだよね。。。

流暢に外国語を話したり、ネイティブのような発音だったりすると、カッコいいなって思うのは、自然な気持ちだし。

でも、日本人が人の目を気にして英語を話しにくくなってしまうっていうのも、あるあるだよね。

Raviさんみたいに、相手が何を言いたいかに心を寄せて、分かるよ分かるよって受け止められる、そんな心の大きな人になりたいな〜


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?