っぱなし

梅雨の合間の晴れ日。休日があいにくの天気なことが多かったけど、ここんとこは太陽味方につけてる。ここぞとばかりに洗濯。コインランドリー生活中は溜め込みどかんだったが、もう今ならゆとりをもってコンスタントにやれるのだ。そうすると、ハンガー足りなくなるブルースもなく、あっというまにおわる。それでいて今日は陽射しと強風で2時間後にはほぼ乾いちゃった。剥き出しの洗濯機には一度も使ってないシャワーカーテンをかぶせて大きめの洗濯バサミでとめた。柔軟剤もいいにおい。いいね。

映画館へいこうと思い立ち支度をする。出る直前に宅急便の再配達があったことを思い出し申し訳なさに苛まれるも踏み止まれず、ガスメーターボックスに入れてくださいと紙をドアに貼って駆け足で駅へ。(ここまでの文章は地下鉄の中で打ったものだ)順調に間に合いチケットを手にしたところで、ジーンズに家の鍵が下がっていないことに気づく。誕生日にもらったポケットのたくさんあるリュックサックの中を探すも鍵はない。

鍵をさしたまま家を出たのか…もしくは鍵を落としたのか。道に落としてきたほうがなんとなくマシな気はする。けれど、もう今さら家に戻る気は起きない。まあ、悪いことは起きないとだろうと思うしかできない。いったんなにもかもをあきらめて後ろから二番目の中央の席に座った。隔席で座るようになっていてソーシャルディスタンスが保たれている。どちらにしても映画館はがらんとしていた。

もののけ姫を見た。なにもなくなっても大丈夫だろうとも思えた…かどうかはわからないが、エンドロールが流れて頭上をふと見ると、映写機から白い光の筋が束になっていた。機械的でありながらも揺れて伸びていてその中を舞ってる埃がきらりとしていた。館内暗いままのうちに出ようかと思ったが、そこまですることでもないんじゃないか。

シアター内に暖色の照明が付いたのを合図に立ち上がる。宅配の人からの留守電を聞く。「不在票入れておきます。それと鍵がささったままなのでお早めに戻られたほうがよろしいかと…。」早足でビルを出て地下の階段を駆け下りてちょうどやってきた地下鉄に乗った。駅をまた駆け上がったあとはゆるい下り坂が体力をやたらと奪った。そうだ今日は梅雨の合間の快晴なんだよ。

家に着く。配達の人からのやさしい留守電のとおり、鍵穴にさしっぱなしの鍵と不在通知を確認。家の様子は変わりない。楽器たちが無事ならそれでいい。なんなら家出る前に強風を心配して洗濯物を取り込んだままベランダの網戸も全開だった。どちらかといえばベランダからの来客が部屋にいまもいるかもしれない。これは、いい汗なのか悪い汗なのか。ともかく扇風機を浴びて乾いた喉にビールを流しこんだ。ああ、まだ17時にもなっていない。

そういえば、このあいだ27歳になった。

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