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男に生まれたかった

ふくらみの無い真っ直ぐな体躯に憧れている。
電話に出るときめちゃくちゃ声が高くなってしまう自分に嫌悪する。
ときどき男の身体で生活する自分を夢想しては自分の現状に悲しくなる。

「薬指が長い女性は男性ホルモンが多い」的な真偽不明の情報に嬉しくなる。私は人差し指に比べて薬指がかなり長いから。
でも、今ここにある私の身体はくびれていて、腰つきは丸みを帯びているし、そんな情報なんの意味もない。

男性ヘの憧れが恋愛感情ではなく文字通り憧れの感情だったと気づいたのはつい最近だ。
叶わないと分かっているから、その感情と向き合うことがずっとできていなかった。

これからも変わらず私は化粧をして、たまにスカートも履いて、女性に擬態して生きていくのだと思う。もちろん、そうしないこともできるはずだ。でも、私は生涯そうしないでいられるだけの強さを持ち合わせていない。

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