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Sexy Zoneとのお別れ会、あるいはこれまでとこれからへの祝杯

SEXY ZONE LIVE TOUR 2023 ChapterⅡ in DOMEが終わった。

このライブは「Sexy Zone」とのお別れ会だと思う

ライブツアーが始まる前、Sexy Zoneはグループ名変更を発表した。このグループ名で行う最後のツアーであることを予感しながら初日を迎え、その予感はメンバーの挨拶やライブの内容によって確信に変わっていった。

初日の後、このライブはSexy Zoneとのお別れ会だと思った。

Sexy Zoneのバラエティ豊かな楽曲たちで盛り上がり、Sexy Zoneが積み重ねてきた歴史を感じたりした後にグループ愛溢れるメンバーの挨拶を聞くとどうしてもSexy Zoneというグループ名への愛着を再確認させられる。たくさん名前も呼ばせてもらったしね。

正直自分は改名に対してはネガティブな感情はあまり持たずにいた。彼らの決断なら正直Sexy ZoneでもSexy Zoneじゃなくてもいい。名前が変わっても中身も彼らの積み重ねてきたものも変わらない。そう思ってきた。

しかし「あー、こうやってSexy Zoneという名前を呼べる機会はこれで最後なんだ」と改めて認識するとなんとなく切なくなってくる。

そんな思いの中で迎えた最後の曲はまさかの「timeless」。正直夏のツアーから変わらず「Sad World」だと思っていたので予想外の選曲に動揺しながらも、ペンライトをオレンジに変えた。

「ああこんなにも大切だったなんて」。風磨くんの歌うこのフレーズが約1年前とは違う意味に聞こえて涙がこぼれた。

自分にとってはSexy Zoneが5人であることは大切でかけがえがなくて、マリちゃんの卒業は「ああこんなにも大切だったなんて」(=今までは大切だと気づいていなかった)ではなかった。ずっと大切だった。5人での姿をリアルタイムで応援できたのは一瞬だったけれど、ずっと大切に思っていた5exy Zoneだった。

一方でグループ名変更は、正直マリちゃん卒業発表時のような喪失感は別になかったし、新しいグループ名になっても変わらず応援したいなと思っていた。

そんな自分がライブを通じてSexy Zoneというグループ名との別れを改めて感じ、それに対するメンバー(特に担当である風磨くん)の寂しさを感じ、ようやく思ったのがまさに「ああこんなにも大切だったなんて」だった。

きっとこのライブがなかったらなんとなく改名を迎えて、これからも応援するぞ〜と思って。次のライブを迎えたときにふとSexy Zoneコールができない寂しさに襲われたと思う。このライブがあったからこそ、Sexy Zoneというグループ名に対するメンバーの、ファンの、そして自分の思い入れに気がつくことができた。

このライブはある種「Sexy Zone」とのお別れの会なのかもしれない。そう思った。

この「お別れ会」という感覚は、オーラスを終えた今も変わらない。

Sexy Zoneというグループ名が好きだったと話すケンティー。「Sexy Zoneって叫べるの最後だぞ!」と煽る風磨くん。挨拶であえて「Sexy Zoneの松島聡です!」と名乗る聡ちゃん。そしてSexy Zoneとしてホール、アリーナ、ドームとステージを大きくしていった日々を振り返る勝利くん。

勝利くんからはあまり「最後」を強調した言葉を聞かなかったけれど、オーラスのサプライズで用意されていた映像で、あの数々の「We are Sexy Zone」が流れる映像で、大きな目に涙を溜める姿を見て勝利くんも「最後」を噛み締めながらツアーを回ってきたのだと思った。

風磨くんの歌う「ああこんなにも大切だったなんて」に自分がこのドームツアーを愛した理由が詰まっていて毎度涙が滲んだし、あの切なげな歌声で聞くといっそう胸に来た。何度聞いてもそうだった。

これまでとこれからへの祝杯として

ただ今振り返って思うのは、このライブはお別れ会というだけでなく、これまでとこれからへの思いを込めた祝杯だったようにも思う。

「これまで」への思いを感じたのはやはり「Forever Gold」で始まるメドレーだ。

Sexy Zone楽曲の中で印象的な三浦徳子先生作詞曲やマリちゃんのソロ曲である「ダンケ・シェーン」、ファンミーティングで生まれた「ワィワィHaワィ」までを盛り込んだ上で、Sexy Zoneの原点ともいえる「With you」につなげ、間奏でSexy Zone(正確にいえばZone)と思いっきり叫ばせてくれる。よく考えるとあのメドレーはなんだったんだと帰り道でぼんやり振り返ってしまうほどの濃さだった。もちろんいい意味で。

そしてこれが「Forever Gold」に戻り、Sexy Zoneとしての日々が永遠の青春としてまとめ上げられる。4人が肩を組んで歌う姿では去年開催された初めてのドームツアーを思い出したし、続く「Sexy Zone」のイントロで流れる過去の映像では自分がリアルタイムで見てきたSexy Zoneと一生懸命後から遡ったSexy Zoneのことを思い出して、ぼろぼろと涙がこぼれた。

では「これから」への思いをどこで感じたかというと、一つは「本音と建前」の後に花道を歩く姿だ。センターステージまでの道がLEDで輝く中、悠々と歩いていく4人。そしてセンターステージからバックステージまでの道はケンティーの合図によって光り輝いていく。もう用意された道を歩くのではない。自分たちの手でこの先を輝かせていく。そう言わんばかりの時間だった。

その後に来る曲が「Purple Rain」というのもよかった。この曲は勝利くんがラジオで「Sexy Zoneの第2章の映像があるとしたらBGMはPurple Rain」と話していた曲であり、アルバム「Chapter Ⅱ」のリード曲でもある。覇気を感じた後に第2章のテーマともいえるこの曲につながったのは胸が熱くなった。

もう一つがアンコールの「RUN」。何度も聞いている曲のはずなのに「止まらないで 止まらないでよ 僕らはまだ始まったばかりさ」と力強く歌う姿に改めて涙を流し、彼らの未来が明るいことを願わずにはいられなかった。

正直この終わり方にやられてしまって放心状態になり、ダブルアンコールの声を上手く出せなかった日もある。オーラスが近づくにつれて「またグループ名を叫びたい」「少しでも長くSexy Zoneとしての彼らをこの目に刻んでおきたい」という気持ちが強くなり、Sexy Zoneコールができるようにはなっていったけれど、そのくらいエネルギーを浴びる瞬間だった。

このライブで受け取った「これまで」と「これから」への思いは、もしかすると相反して見えるかもしれない。そんなに過去が大切なら名前を変えなければいい。今後のことを考えて名前を変えるなら潔く前を向けばいい。そんなふうに思う人もいるのかもしれない。

ただ、そんなふうに簡単に割り切れない人間らしいところが自分は好きだ。ただ明るく楽しいだけじゃない。彼らの「今」が込められた、それでいてキラキラと輝いているSexy Zoneのライブが好きだ。等身大なのに夢みたい。そんなある種の矛盾を成立させてしまう魔法使いみたいなところが好きだ。

風磨くんは東京公演の挨拶で「永遠なんてないけれど永遠を信じられる僕たちでいたい」と話していた。たしかにきっと物事に永遠なんてない。夢が敵うとも限らないし努力が望んだ結果に結びつくとも限らない。それを分かっていても永遠とか努力とか夢とか、そういうものを信じて顔を上げているからSexy Zoneは美しい。

そんな彼らのこれまでとこれからへの祝杯が今回のライブだったと思う。

ペンライトを通じた祝杯

余談だが、このライブを「祝い」というよりは「祝杯」だと感じたのには理由がある。

今回のライブのOP映像では、4人が集まってシャンパンを開けるシーンがある。OP映像で開けたシャンパンの王冠はLEDを駆使して床に映し出され、4方向からセンターステージに向かって飛んでいく。そしてそのセンターステージからメンバーが登場。上から見ていると「シャンパン」「王冠」の印象が強かった。水分補給コール終わりでもシャンパンがぶっ放され、風磨くんとケンティーのソロの間でも乾杯が交わされる。そんな風に所々で乾杯の要素を感じた。

そして最後にはメインステージ上の天井に「Chapter Ⅱ in Dome」と表示され、それがぎゅっとメインステージ上部の王冠の飾りに吸い込まれていく。あのワンシーンを見上げたとき、Sexy Zoneとの思い出があの王冠に詰め込まれたような気がした。グッズで王冠型のピンバッチなどがあったら泣きながら買っていただろう。

それを思うとペンライトが瓶の形をしているのも興味深い。このペンライトを灯している我々も乾杯のメンバーにいるような気してくる。これまでの輝かしい日々を振り返り、寂しさと向き合いながらも明るい未来を願って祝杯を交わす。そんな時間を過ごせてよかった。

瓶型のペンライトが発売されたときに「殴打するスタイルで持つの?? 凶器じゃん……」と思ってごめんね。もし寂しくなったときはこの瓶を灯して歌でも歌おうと思います。

区切りを嘆いたとしても明るい未来を願いたい

こんな風に区切りや別れに立ち会うとき、自分は嘆きながら愛を再確認してしまう節がある。こんなにも悲しく思えるのだから自分はやっぱりちゃんと好きなんだ……そんな風に。

それが悪いことだとは言わない。好きだからこそ生まれる喜怒哀楽はたしかにあるし、それらはすべて「君無しじゃ見れない景色」の一つだ。

しかし愛を再確認する方法は嘆きだけではない。今手の中にあるものを抱きしめて、ああ好きだなあと思うこと。その「好き」を握りしめながらも輝かしい未来を願うこと。それらは両立しうると今回のライブで改めて信じることができた。

Sexy Zoneのこれまでの道のりへの感謝と、5人の明るい未来への希望を込めつつ、愛すべき自担の言葉をお借りして。

Sexy Zone, peace out!