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母が逝き 夏が過ぎ去り 秋が来て 静かな雨が 心を冷やす
母亡き後 猫が甘えて すり寄って 母のかおりを 僕に求める
昼寝する 父の眉間の 皺に見る 妻に死なれた 嘆き悲しみ
夕刻の 西日が照らす 台所 今は母なく 物音もなく
帰り道 母との記憶 けぶるのは 沈む夕日が 赤すぎたから
うぐいすよ 雨降る季節(とき)に なぜに鳴く 墓に納まる 母を惜しむか
骨納め 南無阿弥陀仏 別れ告ぐ 傘を打つのは 母の涙か
四十九の 母亡き日々は もう過ぎた 父の笑顔よ いつ戻るのか
母の骨 納めて拝む 父の背が 雨の仕業か 震えて濡れる
軒先に 花びらひとつ 散り落ちて 母の好んだ 色が哀しい
母逝きて 悲しき想ひ 纏われば 走り出づれど なほ振り切れず
蒼穹(そうきゅう)に 母との景色 おぼゆれば 雨は降れども なほ思い出づ
道すがら LARK*のかほり 漂ひて 逝くまで吸った 母浮かべたり *煙草の銘柄
メッセージ 打てばただちに かえす母 今は待てども 既読はつかず