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「6ミリグラム」とバンドについて

 この度、数年ぶりにバンドの活動を始めました。
バンドとは言ってもメンバーは私とボーカルの2人だけ、そのほかは微力な私を支えてくれる親しい友人たちに力添えを頂いてようやく形になった、ささやかなチームです。

 既に楽曲を聴いてくださった方はご存知の通り、ボーカルには私が心から信頼するmoκoを迎えました。先ずは彼女への感謝の思いが尽きません。

 彼女と出会った当時、私はとうに売れたいだとか人気者になりたいだとか、そんな野心の一切もなく、そのくせ唯一の自己表現だった音楽に縋っているだけの、鬱屈とした生活の最中にありました。
 そんな時期に彼女の歌声を聴いて、脳にほんの少し、光が差したことを今でも覚えています。

 彼女の歌声には、不思議な魔力が宿っています。私自身がその声に救われたように、多くの人の心に届く歌声と感じました。
 柔らかく透き通り、淑やかな憂いを孕むその歌声に触れるうち、かつて音楽を通して表現したかったものの輪郭が見え始めてきました。

 名声なんてものが要らないのは今でも変わりません。でも、私のつくる音楽で彼女の歌声をより多くの人に届けたい思いがあります。
 今はまだ力不足な私ですが、彼女の歌声をより素敵な芸術として形にしていきたいと思います。

 6ミリグラムという曲は昔、10代の終わりに作った思い入れのある曲です。
今この曲を聴いて感じることは、稚拙で、メロディにキャッチーさの欠片もない、自信作とは言い難いものですが、ひとつ確かに言えることは、もう今ではこんな曲は書けないだろうなという諦観、あるいは誇りのようなものがあるということです。
それを今は彼女が私の喉に代わり、新しい形で生まれ変わらせてくれました。レニュー(renew)という名前の由来はここにあります。
 現在、リメイクではなく新曲の制作も進んでいます。これからは、遅筆ながらも良いと思えるものを作り、それらが彼女の声を乗せてたくさんの人へ届くことを願っています。

 ここからは歌詞を綴ります。最後には、ジャケットのイラストを担当してくれた友人、糠星が描いてくれた6ミリグラムの様々なカットを載せておきます。この曲の世界に入り込んでいただける一助になれば幸いです。


  あなたの居ない部屋は
  随分と広く見えるようで
  一つ余ったこの家の鍵も
  そっと引き出しにしまったの
  二人で吸ってたこの甘い香りのするたばこも
  もう全部全部火をつけよう
  そんで さよならしよう

  時間が溶けていく
  そんな季節も終わる気がして
  一人ぼっちの六畳間に二人の影を落とした
  ここに行き着いた日に
  揺らぐこんな思いも託して
  言えなかった言葉もここで言っていいよ

  泣いていいよ  疲れたんでしょう

  あのバスに乗って海へ行こう
  その声が好きなの 狂おしいほど

  緩やかに色を変える
  私がこの部屋にいたこと
  いつかの二人が綴った頁
  その足跡を追う日々
  気付かないうちに育つ
  燻る心を抉るような
  ここにあった優しさが滲む言葉

  どんな歌も恋も、足りないんだろう

  あの街で私たち数えた時間が、
  その香りだけでまた影が顔を出す
  でも、もう縛る首輪もないの
  繋ぐ鎖もないよ
  ここからはあなたが私の手を引く番よ

  あなたの追いやった未来もそう
  きっと彼らには与えられない
  つまらない夢なんかと醒める前に
  私の話を聞いて
  耳を塞ぐのもやめにして
  こんな青い空だもの
  少し休んでみなよ



ここまで読んでくださった皆様へ
我々の楽曲はインスト(カラオケ音源)も公開します。
ぜひあなたの声で歌ってみたとして、あなたの色に塗った楽曲を私たちへ届けていただければ、これほど嬉しいことはありません。


/*special thanks.

Vocal / moκo
Mix.Mastering Engineer / そにぃ
Piano / Sona.
Illustration / 糠星

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