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金のかかる娯楽


 金のかかる娯楽が好きだ。月に一度くらいは絶対にわざわざお金を自分のために使う事にしている。何のために頑張っているのかを自分にわからせてやる為に。

 美容院で髪を染める。

 マッサージに行く。

 シーシャを味わう。

 わざわざ居酒屋で飲み食いする。

 カウンターで化粧品を買う。

 お金をかけることそのもの、と言うよりは、お金をかけることで罪悪感なく店員さんに親切に振る舞って貰うことが好きなのだと思う。

 適正な対価を支払った相手の笑顔は身体に良い。「私なんかが……」と間違っても思わない。いいお客さんであれたらいいなと思うだけ。

 一時期TRPGに強い興味があった。友達がそんなにいないのと、ロジカルにものを考えたりルールを読み込むのが大変で挫折したのだけれど。

 昔からごっこ遊びが好きだった。おみせやさんごっこ、ようせいさんごっこ。びよういんごっこが行き過ぎてマジで幼稚園でお友達にツインテールを片方切り落とさせたことがある。そのときは血相を変えた母が私に帽子を被せて自転車で爆速して本物の美容院に輸送され、人生初のショートカットとあいなったのだった。

 ロールプレイが好きだ。

 演劇も好き。

 私が死ぬほど頑張って汗水垂らして働いて手に入れたお金を使うと、違う私になって大切にして貰える。

 私にとってお金を稼ぐのはとても大変。みんな大変だと思うけど。それにしてもすごく大変で、みんながいやがること(清掃)を仕事にしたのも自己責任なのはわかっているけれど。

 働く事で自分を蔑ろにしたお金で、自分を大切にして貰うのは自己肯定感が低い人間にとって合理的とすら思える。

 認知行動療法や薬物治療でメンタルの問題を解決したら、そこにもとの私は残らないと思うから、今の私が思うことは書き残しておこうかな。悪いけど、私は精神疾患に甘んじて生きる気はない。こんなクソみたいな症状と仲良くやっていくなんてできるものか、チリ一つ残さず私の人生から立ち去って欲しい。心が悲鳴を上げてとかインナーチャイルドがとか繊細だから優しいとかクソ喰らえだ。早くパンピになって土日休めば月曜から金曜まで働けるようになって狭くて良いから自分のお金で衣食住と医療や通信費を賄いたいし、あわよくば猫を飼いたい。

 頑張れる状態になったときの私のために、金のかかる趣味の甘さを叩き込んでおくのだ。色んなものを先取りして、ギリギリになってからでないと走り出せない私のために、焦っておく。クレカの引き落としで破産しない程度に。

 そのうち、飛行機に乗るような旅行に行きたい。もっとすごくお金を使う趣味をやり尽くしてから死にたい。

 布団から上体も起こせない時のわたしがこれを書いている。救済は自分と自分の間にしか成立しないのをよく知っている。絶望が強くなる前にやりたいことをメモしておくし、起き上がれなくなる前にトイレに行っておく。願わくば1日でも早くこんな工夫のいらない人間になりたい、ちゃんと人間になりたい、と祈っています。

 



豊かに暮らすことを試みます