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クリエイティブハラスメント

不自由な環境であるにもかかわらず、自由な発想や自分らしさを求められる場面というのがこの社会には数多く存在します。

学生時代のそれ

学生時代であれば、夏休みの自由研究、道徳の感想文、進路相談なんかがそれに該当するでしょう。

たとえば、夏休みの自由研究で150種類のタバコの成分を比較する研究をすると怒られそうな気配がします。道徳の感想文で、差別されている側に対して批判的に考察するような文章はきっと放課後に呼び出されるでしょう。進路相談で「ミュージシャンになりたいです」と言うと、先生は大学進学を進めてきます(これは実体験)。

会社員のそれ

大人になると、会社なんかは分かりやすいですね。スピードを上げろとか、経営者視点を持てとか、イノベーティブな取り組みを推進せよとか。

稟議が通るまでのプロセスがガチガチだったり、上層部のさじ加減でストップをかけられてしまうのに「スピードを上げろ」というのは、渋滞している道路で100キロ出せと指示しているようなものです。

経営者視点を持つなんて論外。そもそも労働者なのだから労働者視点であることが自然です。100歩譲って労働者が経営者視点を持つなら、経営者も労働者視点を持つべきです。経営者と労働者の立場関係上、それは成立しえないでしょう。

また、イノベーションを強要することも暴力的です。ほんとうにイノベーティブな取り組みを推進しようとすると、少なからず現状の組織を否定しなければならない。そこには摩擦が起こります。組織を辞めてもよいという覚悟を決めた人間にしか、そんなリスクは取ることができないでしょう。そこまでの覚悟を持ってイノベーションを起こしたい人がどれぐらいいるというのか。いるとすれば、その多くは自分で事業を立ち上げているでしょう。

水浸しの場所で火を起こす

これらの要求をざっくりまとめると「常識の範囲内で非常識であれ」ということなのかもしれません。これでは「水浸しの場所で火を起こせ」と言っているようなものです。

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