〈動員-交易-地縁〉現代都市の考古学
14世紀にエジプトを訪れた一人のヨーロッパ人は、こう記している。「ひとつのピラミッドの中腹に、表層の石をはがし、下へころがり落としている石工たちを我々はみとめた。…この表層の石をはぎとる作業は、千年以上も前から始まっているということだ。」
ピラミッドは主に近隣から切り出された石灰岩からなるが、かつてその表装は赤や白の花崗岩で覆われていた。この巨大な人工の「山」からは、有史以来絶えず、特に利用価値の高い花崗岩が「採石」されていたのだ。
ピラミッドが立地する下エジプトでは、