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めくるめく季節の淡夢

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2023年月1連載小説。 BOOTH、文学フリマ京都7にて販売した小説カレンダーに書かれた短文を元に書きました。月が落ちてきた世界で、唯一の光だった彼女を探す少年の話。
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#11月

【小説】潮騒と残滓に苛まれる季

前話  ただ、真っ直ぐな道が伸びていた。まだ残っている僕の足跡を辿って歩いて行けば、いずれ街に着く。月が落ちて出来上がった大きな砂漠の下には、まだ見つかっていない多くの命が埋まっている。手の付けられていない今、それらが回収されることは無いのだろう。  人から人へ移り行く感染症、白月症。あらゆるものの色を認識できなくなる病を恐れ、丘区を中心にして人は外へと消えていってしまった。  誰も、色を失いたくなかった。鮮やかな世界を手放したくなかった。それは至極当たり前の考えで、両親