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エッセイ

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#夏

【エッセイ】夏の日に小説を書いていた

 10年ほど前の夏、腕にタオルを巻いて小説を書いていた。  まだパソコンを持っていなかった私の執筆道具は、ノートと鉛筆だった。扇風機を回したとしても、夏の涼を感じることはできないほどの暑さ。まだエアコンが無かった部屋では、扇風機と部屋に入り込む風で暑さをしのぐしかなかった。  保冷剤を握って過ごす日もあった。眠る前に握っていた保冷剤は、朝になるとぬるくなっていて、なんとか眠って夜を過ごせたことに安堵した記憶がある。  当然そんな部屋の中にいれば、じんわりと汗が滲んでくる。