共謀共同正犯?ー概念は正確に押さえる【安田ノート(3)】
ーー共謀があれば共謀共同正犯?
甲と乙に……罪の共謀共同正犯が成立するか。
その事案、本当に「共謀共同正犯」の事例でしょうか。
最近、いくつかの答案で見かけたので、今回は、「基本的な部分で差がつく」ということをお伝えいたします。
冒頭で指摘した「共同正犯」には、以下の2種類に分けられるとされています(『基本刑法Ⅰ(第3版)』320頁)。
・実行共同正犯
・共謀共同正犯
上記のうち、明らかに関係者全員で共同実行しているという「実行共同正犯」に該当する事案であるにもかかわらず、「共謀共同正犯が成立するか」という検討の進め方を行うのは不自然です。
「共謀した上でみんなで犯罪を行えば共謀共同正犯」というような理解をしていませんでしょうか。
このような「基礎」の部分で、差が付きます。無意識で書いてしまっているのだと思いますので、検討時には注意するようにしてください。
特に、このようなミスを「ケアレスミス」と片付けてしまわないようにしましょう。基礎の部分で理解が危ういとの推定が働いています。
対策として、概念を押さえる際は、具体例をセットで押さえるようにしましょう。『基本刑法』だと、各項目の冒頭に「設問」として事例が掲載されているので、確認しやすいと思います。
今一度、テキストの目次を見ながら、「定義を具体例とともに説明できるか?」という視点で復習・記憶の定着(頭の中への一元化)を図るようにしてください。
次回は、刑法上の因果関係に関する表現上の誤りを考察したいと思います。
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