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諦めずに少しずつ進んだ……|未修コースから5回目受験で合格|Tさん|2023年オンライン添削(現安田式合格実践塾)合格体験記

今回は5回目のチャレンジで合格を実現されたTさんの合格体験記です。

司法試験受験回数

5回目

受験資格の区分を教えてください。

法科大学院卒業(未修コース)

1.オンライン添削を利用したきっかけを教えてください。

私は4回目と5回目の受験の際にオンライン添削を利用しました。

まず4回目の受験で初めて利用を決めたときの経緯を書きます。

3回目の受験が終わった後、経済的な事情から働き始めることにしました。これによって可処分時間が半減し、より時間を有効に使う必要に迫られましたが、過去問演習を限られた時間で単独で行うことは難しいと考えていました。自分の答案を自力で添削できるだけの力がなく、また、ロー卒業から時間が経って、一緒にゼミを組めるような受験生も周囲からいなくなっていたからです。過去問を何通も検討していくためには、他の誰かの指導を受ける必要があると考えました。

そんななかで、ネット検索によって安田先生の講座を見つけました。答案例を読んでみると文体が自分に合っており、「これなら何とか書けるようになるのではないか」と思われました。また、先生の講座は当時単発でも添削を依頼できたため、トライしやすかったことから受講を決定しました(その後継続受講に切り替えました)。以上がはじめてオンライン添削の受講を決めた経緯です。

4回目の受験の成績は、得意科目は前年より伸びましたが、インプットの穴が大きい苦手科目は依然伸び悩んでいました。

5回目の受験でも、オンライン添削の受講継続を決めたのは以下のような事情によります。

4回目の不合格のあと、自分は勉強方法に悩んでいました。ローで授業についていけなかったことで生じたインプットの穴を、論証集をほとんど丸暗記するように埋めてきた(そのまずさには薄々気づいていたものの、見て見ぬふりをしていました)ために、知識面では依然大きな不安がありました。一方で、前述の通り過去問の重要性はなんとか把握していました。両者をバランスよく対策する必要があると感じていましたが、どうやったらいいのか分からなかったのです。

そこで、先生が開催されていた「司法試験合格方法解説講座」を受講して、自分の勉強方法を検証しました。受講を通じ、合格者がどうやって法律の知識をインプットしているのか、合格者がどうやって試験問題を読み答案構成をしているのか、一つのお手本に触れて、5回目にしてようやく、論証集をほとんど丸暗記するという勉強法のまずさを強く自覚したのでした。

そこで、5回目の受験対策は答案添削を受けるだけでなく、勉強方法を見直しつつインプットの手当てを行うことにしました。これには、当該講義を行っていた安田先生に引き続きお世話になるのが確実だ、と考え、オンライン添削の受講継続を決めました。

2.オンライン添削の「添削」は合格の役に立ちましたか?

大変役に立った

3.[2.]のように回答した理由を教えてください。

過去問がうまく書けないとき、その原因はさまざまだと思います。自分の場合、大別すると、①みんなが書ける論点について、知識がまったく及ばずに、問題の所在に気づくことができなかった、②論点以前の知識(科目全体の基本的な理解)に難があるために、論じる順序がおかしくなる、舌足らずになる、丸暗記したことを張り付けるなどの形で、無理解が露呈されている、③理解はしているが、単に書き方がまずいので読み手に伝わらない。この3点になるように思われました。先生の添削は、書けない原因がこの3つのどれにあるのか、特定するのに役立ちました。

①については『この問題では、甲が~であるところ、○○の事情が問題なのではないでしょうか』などと端的な指摘がなされており、出題趣旨や採点実感を頭から読むのではなく、まずは指摘された箇所から趣旨実感をチェックして、理解を深めるためにテキストに戻る、というメリハリのついた対策が可能になりました。

②については、たとえば「▼行目の内容を書くならば、○○を先に論じたほうがよいのではないでしょうか」と具体的なアドバイスをいただきました。コメントのうち、なぜそのような指摘がなされるのか、もうすこし理由を訊いてみたい箇所があったときは個別ミーティングで相談しましたが、ミーティングしてみて初めて、自分の論点の理解があいまいであることに気づくことがありました。そのような場合、先生は、理解を助けるためのテキストやそのページ数、あるいは他の年度の過去問の出題趣旨を呈示してくださり、大変助かりました。

③の指摘はそれほどなかったですが、「○○と言いたいことは分かりますが、□□のような意味に読めてしまいます。」というような趣旨のご指摘を受けました。③の場合は端的な表現を身につけるため、再度、該当部分だけを書き直して添削していただいたりしました。

このほか、答案作成において、字をどれくらいきれいに書くべきなのかはまれに話題になるところですが、これについても、あまりにも読みづらい字に絞って「この字はここまで崩さない方がいいです」とコメントいただき、必要なポイントに限って対策することができました。

以上のように、先生の添削のおかげで、問題を解くことで導き出される自分の弱点を正確に把握し、個別に潰していくことが可能になりました。

4.オンライン添削の「個別ミーティング」は合格の役に立ちましたか?

大変役に立った

5.[4.]のように回答した理由を教えてください。

1点目は、3の回答とも重なるのですが、ミーティングで添削の内容を深堀りすることで、過去問を解くことで導き出される自分の弱点を正確に把握し、個別に潰していくことが可能になる、ということです。
添削をうけたとき、なぜそのような指摘を受けるのか、すぐには理解できない箇所がまれにあります(そして、それは知識が不正確であると自分で気づいていないことに起因していました)。また、指摘された内容は理解できるが、では、これを今後どう対策していったらいいのかが、すぐには分からないことがあります。こうしたポイントを、個別ミーティングで先生に直接尋ねることで、自分の知識のどこに穴があるのか、ミスを防ぐにはどうしたらいいのか、対策を練ることができました。また、単に書き方が日本語としてわかりにくいという指摘の場合には、「このような書き方を思いついたが、法律的、日本語的におかしくないか」を前日にチャットワークで送ったり、その場で思いついた場合は口頭で提案してみるなどして、回答してもらうこともできました。

2点目は、勉強方法のコンサルタントとして非常に重宝したことです。1の解答にも書きましたが、3回4回と受験していると、どう勉強したら成績が伸びるのか、有効な対策が思いつかなくなってきます。

安田先生とのミーティングでは、添削結果を踏まえてみつかった当該科目の弱点と、今後の対策についてよく相談していました。興味深かったのは、先生は『これをやりなさい』『あれを読みなさい』などとはいきなり言ってこないことです

私が、添削結果を踏まえて、自分の弱点や、今後の勉強方針の解釈を述べるのを黙って聴いた後、先生としても異論がなければ「では、やってみてください」と回答されることが多かったです。初めて聞いた時は少し拍子抜けしましたが、『まずはやってみて、うまくいかなければ軌道修正する』というのが先生の方針のひとつなのではないかと思います。

翌週の個別ミーティングで、実際に勉強方法を試してみた結果を報告し、うまくいかなかった部分を再度相談すると、ではこのテキストをつかってみてはどうか、こう読んでみたらどうか、こう解けば時間はかからないのではないか、と具体的に詰めていくので、初めから先生が正解を喋ってしまうよりも、自分にあった、より適切な方法をとることができたと思います。もちろん、私があまりにも見当はずれな勉強法を提案すると「それは、今は不要だと思います。」と、はっきりコメントされます。このおかげで遠回りをせずに済みましたので、大変ありがたかったです。

3点目は、ミーティング内でミニ講義を受けることで、インプットの助けになったことです。過去問を起案したり、短答を解いたり、事例問題集を解いて、不明点はテキストに戻る、という事をくりかえしていくと、基本書等にあたっても、どうしてもわからないポイントが出てきます。一週間勉強していると、そんなポイントが4つや5つはたまってきます。これらを(前もってチャットワークで先生にお送りしておき)個別ミーティングで毎週質問して疑問を解消していました。複雑で、説明に時間を要する場合は、15分~20分講義をしてくださいます。

先日勉強していて分からなかった箇所についての、自分のためだけの講義ですから、記憶にも残りやすく、理解が深まることになります。また先生は、講義ののち、理解を助けるためのテキストやそのページ数、復習用の短答過去問を呈示してくださり、復習するうえで助かりました。この質問を何度も繰り返していくと、自分も少しずつ、基本書や判例集でのリサーチを自力で行えるようになっていった、という副次的な効果もありました

6.(他社の添削を利用したことがある方はご回答ください。)オンライン添削と他社の模試・答練の添削の違いを教えてください。

まず、一人の講師が継続して添削してくれる点です。

受験業界では、論述の形式面について、たとえばナンバリングはどこまで分ければいいのかとか、条文はどう引用するかなどといったことにさまざまな流派があると思われ、どれを採ったらいいのか、悩む場面があると思います。ある添削者には厳しく指摘されたが、別の添削者にはなにも言われない。これは直した方がいい重大なミスなのか、それともあまり気にしなくていいのか、無用に悩まされるということも起こりえます。オンライン添削ですと、添削者は(選択科目等の例外を除きますと)安田先生1名なので、このように振り回されることがありません。

また、形式面だけでなく知識の面でも、他社の添削ですと採点基準に沿っているかどうかによって評価をしているように思われるところがあり、では、採点基準からは離れてはいるが、法律論としては誤りなのかどうかについては、コメントされにくいように思います。オンライン添削の場合は、過去問の出題趣旨から離れてしまった場合も、先生はきちんと読んでコメントしてくださるので、添削結果を自分の勉強に役立てることができました。

あと、地味なところですが、ダメなところだけではなくてOKだった箇所も、その旨指摘してくれる点です。試験対策をずっとやっていると少々病んでくるので、自分の答案と「ぶんせき本」等に載っているような綺麗な合格者再現答案とのギャップがつい気になってしまい、細かいところまで直して、完璧な答案を目指そうとしてしまうことがあります。この答案例のように、規範は○○の基本書や●●の判例から引用しないとダメなのだろうか、とか、あてはめの評価はこんなにスマートに書かなければダメなのだろうかとか、気にし始めたらキリがありません。時間に余裕がないのが常の受験生としては、まず直ちに手当てが必要な部分から、優先的に見直していくのがよいかと思います。

オンライン添削では、問題のない箇所は『OKです。』とコメントされるので、この当てはめの書き方でも伝わるのだな、この規範でも問題ないのだな、と余計な心配を排除することができ、重要なポイントから復習にとりかかることができました。

7.オンライン添削受講開始後、試験対策の進め方で変化したことを教えてください。

一つ目に、何かを思いついたら、まず手を動かしてみる、という姿勢が身につきました。4の回答でも触れたように、先生は勉強方法を手取り足取り指示するということは少ないので、このテキストは良さそうだ、この覚え方はよさそうだと思ったら、まずは試してみて、結果を相談する、という習慣がつきました。勉強方法が自分に合っているか検証するのは、結局自分で試してみるのが最良の方法なので、これが遠回りのようで最短の方法だったと思います。

二つ目に、完璧な勉強計画を求めることもなくなりました。世には有用な受験情報があふれているので、ついそれを不安のおもむくままに渉猟して、完璧な勉強計画を立てたくなってしまうのですが、それでは時間はいくらあっても足りないです。そんなとき、先生から返信されてきた添削内容は、間違いなく、自分にとって手当てが必要な個所であることははっきりしているわけです。添削の復習をして、疑問点を先生にぶつけて、帰ってきた返答をもとにさらに復習します。先生は、過去の添削で判明した弱点をふまえて新しい課題をくださるので、これに取り組んでいると、また新しい弱点が見つかったりします。これを繰り返すだけでも時間は足りないので、勉強法コレクターをしながら石橋を叩いている余裕がありません。受験のうえで、情報収集は確かに大切ですし私もやってはいましたが、まずは目の前のことを確実に消化するという姿勢は、時間がない自分にとってはベストな選択でした。

三つ目に、学習の中心が「一元化教材」とか「まとめノート」ではなく、基本書、テキストが中心になったことです。1の回答でも触れたように、自分には知識に穴があり、またテキストに苦手意識があったため、本来なら知識の整理に使われるはずの「論証集」とか、どこかから買ってきた上位合格者の「まとめノート」(注:これ自体はさすがによくできた教材でした。力がないのにいきなりこれを丸暗記する、という私の姿勢がダメだったということです。)を、頭からほとんど丸暗記のように覚えるという恐ろしいインプットをしていました。このために、規範は言えるが問題の所在がわからない、すこし事例を変えられると論証を吐きだすことすらできなくなる、という非常に危なっかしい状態にありました。

しかし指導を受けて、5回目の受験では全科目、学習の中心をテキストに換えました。テキストを読み、条文を引き、時には条文や判例の内容を図や絵にして書きだしてみて、いったいどんな場面の話をしているのか理解につとめました。テキストを読みとおすことには不安もありましたが、先生が私の学習レベルを考慮して選書してくれましたので、消化することができました。テキストをベースに学習し、判例や条文に還ることで、過去問の解説や趣旨実感を理解しやすくなり、学習効果も上がるという効果もありました。

最後に、インプットとアウトプットの区分がぼやけてきたことです。当初は可処分時間が少ない中、過去問演習と知識の補填、両方に振り回され、これらを同時にこなすことはできないというイメージを勝手に抱いていました。

しかし、まずは問題を解くことを通して知識の穴を発見し、そのたびにテキストに戻る、このサイクルを繰り返してくことで、知識の補填と答案練習、両方をこなせることに気づきました。例外はインプットの穴が大きい科目(行政法、民訴)で、このサイクルを5回程度こなした後、テキストを1か月集中して読み込むことで、インプットを土台から補強していきました。

時間、体力、精神的に余裕がない中で受験生をやっていると、対策を組み立てるときも0か100か、インプットかアウトプットどちらを取るか、とつい考えてしまいますが、これらは両方欠いてはならないものですし、並行して対策が可能であることを遅まきながら知ることができたのは収穫でした。

8.オンライン添削はこれから試験を受ける受験生にお勧めできますか。

大変お勧めできる

9.上記のように回答した理由を教えてください。

学習状況は受験生それぞれだと思いますが、広くオンライン添削をお勧めできると思います。まわりにゼミを組める環境がなかったり、卒業してローの先生に相談できなくなったりして過去問の検討が難しい環境にある人にとっては、過去問演習の機会と、その的確なフィードバックを提供してくれるので、ゼミ等の代わりになってくれるものだと思います。

私のように勉強法の迷子になっている人にとっては、受験生活のテコ入れを行うための貴重なガイド、相談役になって下さるだろうと思います。私が受けた指導は上記のとおりですが、(オンライン添削のほかの合格者インタビューを読んでもわかるように、)先生は個々の進捗状況に合わせたアドバイスをくださるので、ロー在学中のかた、社会人受験生のかた、予備試験受験生のかた、それぞれの状況に合ったヒントがきっと見つけられると思います。

10.オンライン添削を利用している又はこれから利用しようとしている後輩受験生にエールの言葉をお願いします。

自分は未修コースをなんとか卒業し、司法試験に合格するのに五回かかり、失権寸前にギリギリの成績で受かった者です。『司法試験の内容を分析して、自分の学力とのギャップを確実に埋めていく』という、上位合格者が高い精度でやっている(と思われる)工程を、自力ではうまくできなかった者ということになります。ですから『こうすれば必ず合格する』などと言ったことは、私の口からは言えませんが、諦めずに続けることは、一定の効用はある、とはいえると思います。

受験生活は、(自分のように9年近くかけた人間に限らずとも)なかなか報われず、長く苦しいものではないかと思います。それでも立ち止まらずに続けていれば、一歩の歩幅が自分でもあきれて匙を投げそうなほどに小さくても、一応漸進はしていくものではないでしょうか。漸進を重ねていけば、見える景色が少しずつ変わってくると思うのです。やっと規範が暗記できるようになったとか、去年よりもテキストを早く読み進められるようになったとか、急に、定評ある基本書の記載の有用性に気付くとか、問題構成にかかる時間が減るとか、問題文を読んでいると、どこを厚く書くべきか少しわかるようになってくるとか。

去年は、先月は、こんなことができるなんて想像していなかった力が自分についていることに気づく瞬間が、何度か訪れます。こういう瞬間は嫌々でもいいから続けていなければ見えてこないと思うので、なんとか可能な限り踏ん張っていただけたら、と思います。

みなさまの受験生活がうまくいくことを祈っております。

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