取材記事:由利本荘市洋上風力発電海外先進地調査事業報告会①190925

洋上風力発電関連記事1

秋田県由利本荘市の洋上風力発電の海外視察団の報告は、本当に市民目線だったのか?
由利本荘市が2019年7月に実施した欧州3ヶ国の洋上風力発電の海外先進地調査事業の報告会が開催された。

訪問団は市民の目線で視察出来ているのだろうか?
報告会の最初の日程である、2019年9月25日(水)秋田県由利本荘市の岩城会館を直撃取材した。

写真①:会場の様子(山下撮影)

画像7

由利本荘市の報告者は、市長、副市長、市の担当者に加え、由利本荘市市議会の各会派から選ばれた3人の市議会議員により構成された。

由利本荘市の岩城会館にて
18時00分開始で、資料説明が約60分
その後、参加した市議や副市長の補足報告があり、
19時35分から25分程度の質疑応答
の時間となった。
市民からの質問および意見の殺到により、終了予定20時に対し約15分の延長となったが、質疑応答時間の短さが際立った。
初回である今回は、約90名の市民が参加した。

報告会資料については、別の機会にもあらためて記事にしたい。

視察報告内容としては
プレゼンテーション資料を配布し、スクリーン上で視察の背景や選定都市の説明などを市の職員が行い、洋上風力発電を国をあげて力をいれている点が強調された。
市職員としては、市の環境対策としての取り組みとして、県の方針および国(経済産業省)の方針に真摯に取り組むことも求められている立場からの報告である。

各訪問地での情報交換の動画が紹介された。
訪問地は以下の4つの都市

①アバディーン洋上風力発電(スコットランド)
②スクロビー・サンズ洋上風力発電(イングランド)
③ウエスターメイヤー洋上風力発電(オランダ)
④エスビア港(デンマーク)
 ※風力発電大手メーカーのヴェスタス、シーメンスの組立てや準備作業の為の港視察として

視察地行政
英国(スコットランド・アバディーン市、イングランド・グレートヤーマス市、)
オランダ (北東ボルダー市)
デンマーク (エスビア市)

欧州視察日程 2019年7月21日~27日
視察団 由利本荘市長、市職員4名
市議会代表(各会派)3名、事務局員1名
地元報道記者1名

現地の様子については、本記事では詳しく触れないが、市報や引用WEB記事も参照いただきたい。

報告会に市民が参加することについては海外の先進地区を行政担当と市議会議員が直に訪問したことに意義があったと期待していた。

事前の9月15日に公開された、広報ゆりほんじょうの紙面には掲載できない、
”視察した関係者の生の声を聴くことができる”貴重な機会でもある。
私は事前の取材アポイントなしで、急遽参加させていただいた。
取材および入場を許可いただいた市職員の対応に感謝を申し上げたい。

参加した市民の関心時は、
”海外先進地の市民や行政の声を元に、由利本荘市の市長や市議が何を経験し、何を判断したか?
ということあると、会場の雰囲気をみて感じとることができた。

参加していた市民の中には、再生可能エネルギーとして期待されている風力発電を推進してほしい方も出席していたが、多くは不安をいだく地元の人、および反対する市民団体の関係者も参加していると考えている。

取材で注目したのは、
①市民の意見を真摯に聴くことができるメンバーであるのか?
②市民の立場から不安が解消したのか?
という2点に注目した。

会場には地元のケーブルテレビ局および地元新聞記者も同席していたが、中立であるマスメディア記者に対し、私はあえて市民の立場からの視点で取材することに意義を感じて飛び込み取材を行ったのである。

視察した地域は、風力発電に力を入れている海外の行政関係者や団体であり、デメリットである情報はおそらく入ってこないことは自明である。
風力発電を推進する地域は、今回の日本の視察団のように、海外から風力発電を視察に訪れることに対し"風力発電のメリットを享受している側"である。つまり、風力発電は観光振興になる、という立場である。
この点に注意して報告資料や、新聞記事をみることも大切な視点であると考えている。

”海外の洋上風力発電に対する、騒音などの苦情や健康被害は一件もない”
”インターネットで流布している情報は信じるな”
という、海外視察報告になることは、あらかじめ想定の範囲内である。

由利本荘市という行政の雰囲気を理解するには、
平成31年年3月5日および令和1年5月30日の一般質疑において(議事録は引用一覧参照)
現状の由利本荘市内の(陸上にある既存の)風力発電設備において、
”風力発電による騒音被害や健康被害は由利本荘市では一件もない”
と回答していることが、典型的事象であると私は考えている。
著者である私が、市民目線のメディアとして記事を書くのは、この議事録に対し危機感をいだいたからでもある。

報告会では市民からの意見として、賛成やメリットを期待する声もあがった、これも大切な意見である。
ただし、市民目線から質疑応答を聞いていて、気になった点をいくつか列挙する。

・質疑応答の時間が短く設定され、市民の不安を払拭するという趣旨に対し、疑問と不安の声が聞こえた。

・今ある陸上の風力発電の問題点を指摘する質問には、視察報告との趣旨が違うということで回答を渋った。
市民の言い分は、今ある風力発電設備すら十分知らないのに、海外の推進地区の紹介をする職員や議員に疑問をもった、という本音があると感じた。

・風力発電の騒音被害や健康影響はない、と行政や市民団体ヒアリングしたことに対し、そのそも騒音のデータや測定もせずに、正直に聞いた話ばかりであった。
また海外の規制基準値など、今後に大切なことは資料に一切なかった。
なぜ、現地騒音データやメーカー保有の騒音データを開示しないのか?

に対し、メーカーの守秘義務という市担当の回答はお茶を濁すものにも見える。
次回の報告会で改善を期待したいところである。

・風力発電計画に反対する市民が意見をする場面があった。

今回の海外視察地と、具体化してきた由利本荘市沖の開発計画(環境アセスメント中のレノバ社)と比較し、
今回の視察地が適切でないことを意見し、職員や議員にどう考えるのかを問いただした。
この質問と意見に対して、反対を前面にだす市民であるということを知っているように、質問者の意見を遮る場面もあった。
進行上、質疑応答時間が短いことを理由にしたが、最初から短い質疑応答時間だったのではないか、と不満を漏らした。

以下は私見であるが、
”今回視察した海外事例で問題ないから、由利本荘市でも大丈夫です。”といった趣旨の発言をする、
市長や市議、市の職員の言葉を聞いたら、視察地がそもその適切でないのではないか?
と問いただしたい市民の気持ちは正論である。

また今回の報告会で一番大切なポイントでもある。

この質問に真摯に答える場面は、今回は時間の関係から見られなかった。(写真参照②、③)

・景観について、海から近いところに居住地が密集する由利本荘と、海外の視察地の景観を比べることに対し疑問をなげかける市民もいた。
報告会の写真や動画には、民家などないものばかりであり、インタビューした動画報告も関係者ばかりである報告に対し、海沿いの景観を気にする市民に対して、今回の報告資料や写真が適切であるか?という不満にも聞こえた。

今回注目した2点
①市民の意見を真摯に聴くことができるメンバーであるのか?
②市民の立場から不安が解消したのか?
について、第1回目の今回は、残念な対応になったのではいかと感じた。

報告会はこの後も予定されている。
9/27(金)13時半~15時半 職業訓練センター
10/2(水)18時~20時 西目公民館シーガル
10/6 (日)10時~12時 ポートプラザアクアパル

私の結論は次の報告会をみてからになりそうである。
次の報告会の会場での質疑応答が大いに気になるところである。
取材する機会をつくり、ぜひとも実現させたい。

写真

写真(A)〜(D):視察地の状況(広報ゆりほんじょう紙面から転載)

(A)広報記事(タイトル)

画像3

(B)海外視察地

画像4

(C)広報記事

画像5

(D)広報記事

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写真②:質疑応答の場面(山下撮影)

画像1

写真③:質疑応答の場面(山下撮影)

画像2

【追伸】

続報記事では改善点に着目

取材記事:由利本荘市洋上風力発電海外先進地調査事業報告会②191002

https://note.mu/y_t_publishing/n/n8ccff88db82b

記者:山下友宏(Tomohiro Yamashita)
記事配信(2019/10/2)更新日2019/10/10

#山下友宏出版#風力発電#再生可能エネルギー

【参考文献、引用先一覧】


由利本荘市広報
広報ゆりほんじょうNo348 2019年9月15日号 P2~P5
”洋上風力発電” 欧州調査で見えたこと
https://www.city.yurihonjo.lg.jp/city/koho/c1703/8834

由利本荘市議事録検索システム
http://www.kaigiroku.net/kensaku/yurihonjo/yurihonjo.html

秋田魁新報社提供 (※使用許諾済)

画像8


掲載年月日 令和1年9月26日 朝刊 28面
「洋上風力 訪問団、欧州では好意的 由利本荘市・3カ国視察報告会開始」

注記)この記事の一部に使用した、市広報および、報告会資料の著作権は由利本荘市に帰属します。
講演会の資料および内容については、公開を原則とした公的資料に準ずるとして引用し、使用する旨、許可を得ております。
(著作権法32条の2)

現地イメージ参考WEBサイトから

アバディーン風力発電
http://ja.marinelink.com/news/%e3%82%a2%e3%83%90%e3%83%87%e3%82%a3%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%81%ae%e3%82%aa%e3%83%95%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%82%a2%e9%a2%a8%e5%8a%9b%e7%99%ba%e9%9b%bb%e5%b8%82%e5%a0%b4-247231

スクロビー・サンズ洋上風力発電
https://www.nacsj.or.jp/2019/01/13992/

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山下友宏(やましたともひろ) サイエンスライター/山下友宏出版代表 1998年筑波大卒、2000年筑波大学大学院理工学研究科修了後、大手電子部品メーカーに勤務。 専門は物性物理学、電子材料、防災危機管理、地図を用いたナヴィゲーション1974年長崎県生まれ
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