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「Love Myself」が放たれるまでを追いかけてみた 〜CO-MUSIATION REPORT Vol.28〜

音楽プロデューサー宮田'レフティ'リョウさん名義で3月20日に配信リリースされたLove myself」皆さんもうお聴きになられましたか?

Love myself
Ryo'LEFTY'Miyata with Seann bowe
★各配信サイト
https://lnk.to/Love_myself
★Lyric Viseo
https://youtu.be/iH_NlXRnYu0?si=_9_AeDkBFGwljVeI

Love myself」は、音楽プロデューサー宮田'レフティ'リョウさん主宰のオンラインサロンにて、LA出身のシンガーソングライターSeann Boweさんをゲストにお招きし、お二人のコライト(共同制作)で制作された楽曲です。

【Seann Bornさん】
https://x.com/SeannBowe?t=rROKvPHPOD4W1N8nrlZgzQ&s=09

サロン初のインターナショナルゲストであるSeannさんはグラミー賞ノミネート歴をお持ちで、現在は日本に拠点を移し、様々なアーティストへの楽曲提供などでもご活躍をされていらっしゃいます。
MIYAVIさんのツアーメンバーとして来日され、日本の文化や日本人が好きになったことがきっかけで日本に移住されたそう。
そんなSeannさんと、海外での楽曲制作の経験も豊富なレフティさんとのコライト楽曲である「Love myself」は、洋楽とJ-Popの融合「Make J-POP With」をまさに体現したような、洋楽テイストのグルーヴとJ-POPらしい美しく沁みるメロディが魅力的な、個人的にも大好きな1曲です。
この記事では、レフティさんのオンラインサロンで公開しつつ進められた楽曲の制作過程をご紹介したいと思います。


■Seannさんとの超高速コライト


Seannさんがコライトのためにレフティさんのスタジオを訪れたのは2021年の9月。
毎回どんな曲を作ろうかというゲストとのトークから始まる制作ですが、今回は「80年代ファンク」な16ビートのシンコペーションの効いた曲を作りたいというレフティさんのイメージからスタートしました。

まずレフティさんが指ドラムでビートを打ちこんでいきます。
まるでドラムを叩くように鍵盤と指でビートを打ち込む様子にSeannさんも「なにそれすごいね!」と目を丸くされていたのもつかの間、Seannさんから不意に「Eメジャーの曲がいいな~‥」という提案が。
それに応えてレフティさんがEメジャーのコードを弾きだした瞬間、Seannさんが鼻歌のようにおもむろにメロディを歌いだします。

レフティさんの指ドラムに
Seannさんがメロディをのせていく

素敵な歌声とメロディにレフティさんも即座に「Cool!!それ採用ー!!
一発でメロディができてしまい、この速さにはこれまで何本かコライトの模様を配信で見てきたサロンメンバーもびっくり。
Seannさんがメロディを歌うとそれにレフティさんが反応してビートやコードを打ち込んでいき、さらにSeannさんが歌う…という感じで曲作りが超高速で進んでいき、なんと開始から50分で1フレーズできてしまいました・・!

ベースやギターで曲に肉付けをしていきます。

その後もSeannさんは、ギターやシンセサイザーの音色などで次々とアイディアを提案をされます。まるで最初からSeannさんの頭のなかにはたどり着きたい曲のイメージが見えているよう。

英語と日本語が飛び交いつつ順調に進む曲づくりですが、2メロと落ちサビを繋ぐコードに悩んで止まります。
が、ここでもSeannさんから「逆にコードなしで、ドラムだけでゴスペルっぽくしたらどう?」という提案が。逆転の発想ですね!
そして、Seannさん自らアカペラで歌いだしたそのメロディが、またまためちゃくちゃCool…!
1人だと行き詰っていたかもしれないところ、違う角度からのアイディアで意外な方向に更に素敵な形に変化していくところは、レフティさんもよく仰っているコライトという制作手法の魅力の1つではないでしょうか。
お二人から次々と素敵な音が生まれる様子に圧倒され引きこまれているうちに、あっという間の2時間でフルサイズのデモが完成しちゃました・・!

Seann:「最高!!よくできましたー!」
レフティ:「ありがとうございます(笑)!
めちゃくちゃいい感じでめちゃくちゃHAPPY!!」

カッコいい曲ができて二人とも嬉しそう

Cool!Cool!!を連発の配信回。すでにこの時点でとても素敵な楽曲になっていますが、ここからアレンジで大変身をしていきます。

■アレンジ:曲に魔法をかけて大変身


アレンジでは、フルサイズで完成したデモ音源に様々な音を足したり楽器の音色を選んだりと、さらに磨きをかけていきます。

配信日の少し前に某通販サイトでmogu社の「Voyager」というビンテージのアナログシンセに出会い、購入に成功してたレフティさん。
早速翌日には手元に届く予定ということで、今回のアレンジの方向性は

1.エレキベースをVoyager想定でシンセベースに置き換えていくこと

さらに

2.ビートをもう少し強く80年代っぽい音色に変える
3.イントロがありがちな感じだからそこを打破したい

この3つを目標にアレンジ作業開始です。

まずはビートから。
Splice(サブスクリプション型のサンプル音源サービス)からぴったりの音色を発掘。キック、スネア、タム…それぞれ一つずつ音色を選んで置き換え、さらにそれぞれの音の長さも細かく整えていきます。

今回使用したDrumの音源
音色を一つずつこの中から選んでいきます


「グルーヴが肝」の曲。音の強さ・長さの微妙な違いでノリが変わってくるからと、2メロも1メロのデータをコピー&ペーストはせず、1音1音確認をしながら打ち込んで作っていきます。

ビートがある程度整ったところで、次はデモ段階でエレキベースだった部分をシンセベースに置き換え。「グルーヴも変わってくるから、ベースの音の長さも大事」とシンセベースの音を確認しながら再構築していきます。
さらにベースにあわせ先ほどのドラムの音も少しずつ再調整。
息を詰めるような作業に思わずレフティさんも息が漏れます。「がんばる!あともうちょっと!」「超かっこいいじゃん!かっこよくなってきてる!」と時に自身を鼓舞しながらの地道な作業が続きます。
最高の楽曲を作りたいという妥協のない想いこそが最高の1曲を生む源なんですね。

ハイハットも1音ずつベロシティを整えていく

作業も終盤、気になっていたイントロ部分を「大きな印象的なイントロからのAメロ」へと変身させていきます。鍵盤を弾くと、すぐにおしゃれなフレーズが…!
そして、最初のデモではピアノの白玉(全音符)にギターリフが重なっていく静かな始まりだったイントロが、一気に華やかでビートの効いた踊れるイントロに変身。1小節目からぐっと曲の世界に引き込まれていきます。

ドラムとベースのビートが固まり、印象的なイントロになったことで、曲全体のアレンジの方向性も新たなインスピレーションが引き出されブラッシュアップ。
こうして3時間に及んだアレンジ作業がひと通り終わり、曲の頭から通して聴いてみます。

レフティ:
「いい感じ!めっちゃいい感じになったー!!
だけど、こんな感じの曲になるとは思ってなかった(笑)びっくり、面白い!!笑」

作ったご本人も驚きの変身ぶりになったようです(笑)
イントロも間奏も様々な要素が詰まっていて、曲の世界観・印象を大きく左右し得る重要なパートなんだなと改めて感じられた回でした。

■ボーカルアレンジとギターREC

#Seannさんから届きたてのボーカルデータを聴く会


時を経て2022年5月。
この日はSeannさんから届きたてのボーカル音源をサロンメンバーと一緒に聴いてみることに。
全編フル英語の歌詞をSeannさんが書き、コーラスも含めてRECしてくださった音源を前回アレンジをしたデータに落とし込んで全体を整えていきます。

作業をしながら不意に「かっこいい…」とレフティさんも思わず言葉が出てしまうSeannさんの魅力的な歌声。
レフティさん曰く「SeannもAuto Tune前提で歌ってる」と、楽曲の完成形のイメージはお二人で一致するものがあるようです。
Auto Tuneはピッチを補正する機能をもったプラグインですが、ここでは「ケロケロボイス」と言われる加工をするためのエフェクターとして使用します。

SeannさんのボーカルにAuto Tuneをかけていく


Seannさんの歌声にAuto Tuneをかけつつ、1音ずつ確認しながら手作業で細かくピッチを整えます。こうすることできれいな「ケロり」に仕上がるのだそう。
この後のMixの段階でエンジニアの方がさらに細かく調整をされるそうですが、エンジニアの方に渡す前にある程度整えておきたいとのこと。作業が進むにつれ、だんだんと曲がクリアになっていくように感じます。

ボーカルのピッチを細かく調整


そして、Seannさんの生コーラスに加えて、ボコーダーを使ってボーカルの広がりを作っていきます。声を重ねる場所・重ねない場所を曲全体の構成をイメージしながら足し・引きします。

「オートでケロリもハモリも作ってはくれるけど、きれいに整いすぎてしまうよりも少しズレてるくらいのほうが広がりが出る」と、ソフトが作るハモりをあえて手動で微妙にずらしたりと繊細な調整をします。

Retune Speedをあえてランダムにずらす


こういうところにもアレンジャーやエンジニアのこだわりやセンスが表れるのかもしれません。
ハモりもケロりも、パートごとに細やかなこだわりが詰まってます。そんなところもぜひ実際に曲を聴いて確かめてみてほしいなと思います!

#ギターREC・サトウカツシロ氏再び降臨


仮でレフティさんがギターパートも入れていたデモの制作段階から「ギターはギタリストに作ってもらうのが一番!」とレフティさんは仰っていましたが、今作のギターを演奏されているのは、これまでのサロン制作楽曲にも参加されているBREIMENサトウカツシロさんです。

レフティさんのスタジオ作業ブース内で音源を頭から流しながら、カツシロさんがギターのフレーズを考えつつパートごとにREC、その隣でレフティさんがDAW上でエフェクトなどの調整を並行して行い曲を完成に近づけていきます。

部屋の片隅で超イケてるギターソロを演奏中


これまでも度々制作を共にされているお二人の息はピッタリで、レフティさんの「こんな感じがほしい」のイメージをカツシロさんがすぐにキャッチして音にしていきます。
レフティさんの「ここはアンビエントぽいのがいいのかな?」の一言でカツシロさんが生み出すフレーズに「かっこいいー!」と思わずレフティさんも唸ります。

完成した曲はサビ後の間奏パートのギターソロが印象的ですが、実はこのパートはこの日までシンセサイザーのソロが入っていました。ギターRECを進めながらギターソロでもいいかもということになり、その場で即興でカツシロさんが作ったギターソロが入っています。

他にもお二人が相談しながらRECしたギターによってお洒落度が一層マシマシに。
ぜひカツシロさんのギターにも注目して聴いてみてください。

■最終工程:トラックダウン


「MemoReal」「ex」に続き、今作もエンジニアの岸本さんのスタジオでTD(トラックダウン)が行われました。

トラックダウンは、製品としてリリースされる前に楽器の音のバランスを整えたりといった最終調整を行う工程です。
事前に岸本さんが作業された音源をスタジオで一緒に聴き、リバーブのかかり方、ドライ感の調整や音の位相(中央・左右の音の聴こえてくる位置)などの調整をオーダーされます。

天井や壁も音に拘り抜いた岸本さんのスタジオ
まずは正面の位置から音源をチェック


じっくり耳を傾けて聴き比べないと分からないような細かな調整ですが、出来上がりでどんな風に聴かせたいのか、最終工程で制作者の想いを詰め込んでいっているように感じます。そして、TD後の音源は、まるで綺麗なパッケージに包まれた「よそ行き」な表情をしているみたいです。

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制作開始から足掛け2年半。
J-POP大好きなLA出身のシンガーソングライターと洋楽好きな東京出身の音楽プロデューサーの手により日本で生まれた楽曲「Love myself
ぜひ各種サブスクリプションでお楽しみください!

text by スイ


★Seann Boweさん

https://x.com/SeannBowe?t=VgezIUhrtQZjykIC8OdvQw&s=09

Seann Boweさんの作品
🔗各種配信リンク https://song.link/i/1490483232


★BREIMEN(🎸サトウカツシロさん)

https://x.com/BREIMEN_JP?t=yXam-k7lbeahZPE7R2ahRg&s=09

📀4/3  Major 1st Album「AVEANTIN」リリース

https://aveantin.com/

🎤4/19からMajor 1st ONEMAN TUAR
全国8箇所で開催!
詳細はこちら…
https://www.brei.men/live/detail/?id=51656


★宮田'レフティ'リョウ情報


X公式:
宮田'レフティ'リョウ

📻Radio
▶️毎週金曜日 21:00-
InterFM Sensor

▶️毎週月曜日 21:30-
DateFM Sesson 〜宮田'レフティ'リョウ EDITION〜

🎸宮田'レフティ'リョウが旗揚げしたレーベル
REVEL MUSIC Officialサイト

★過去のレポート


✏️渋谷へおいで featuring ヒグチアイ
https://note.com/y_sui_m/n/nd5d4e2b95cf4

✏️MemoReal featuring 椎名慶治
https://note.com/amarone/n/n09d9fae52384

✏️Ex featring 友希
https://note.com/ranna_ris/n/n922821310370 

✏️Homesick with Engiu
https://note.com/amarone/n/n45fbddf55adb


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