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バイリンガル子育て終了宣言2     子供が混乱する?日本語で育てて後悔したりしなかったり

日本語できたってなんの役にも立たないわ!

1999年以前に海外へ来た人、怖い説。(もちろん例外あり。私の偏見です)

 海外在住で子供を育てるにあたり、現地語と日本語を両方獲得してほしいと思う親御さんはたくさんいらっしゃると思います。日本と世界を股にかけて活躍するキラキラした我が子の人生を一度は夢みるでしょう。
 以前は、現地校で二か国語は子供を混乱させるからなるべく親は英語を話すように言われた、そもそも日本語なんて必要ないから教える必要がないと話される先輩日本人が結構いらっしゃいました。
 これは私見ですが、1999年以前に海外へ飛び出した方達は「日本」へ否定的な感情が強くて、ちょっと怖い。
 プレ21世紀組はとにかく日本が大嫌い。島国根性、縦社会、全て気に入らずに日本を捨てて海外へやってきた反骨精神溢れる個性的な人たち。
「日本語できたって、何の役にも立たないから。この国で成功すればいいのよ。うちはオックスブリッジ(オックスフォード、ケンブリッジ)しか許さなかった」
という強烈な信念をお持ちの方もいらっしゃいました。
 そして口を揃えて仰るのが
「親は両親ともに同じ言語を話さないと子供が混乱して子供がかわいそう」
 そーなんだ。
 私は日本語で育てられてきたわけで、英語での幼児言葉など聞いたこともありません。しかも私は日本語英語の発音で、文法も間違えだらけ。これこそが子供の学力を低下させるのではなかろうか。
 そもそも子供が混乱するというのは、どういった状態のことを指すのだろうか?

両親が違う言語を話すと子供が混乱する?混乱よりも、準備に時間がかかる。

 私は日本で生まれ育って、イギリスの子育て事情も知らず、何よりお母さんが子供に使う英語など全く知らなかったので、子育ては日本語一択でした。
 何より私の英語の発音や文法の間違えが子供に及ぼす影響を考えたら、ゾッとします。
 英語オンリーの夫との家族内の会話は私がひたすら日本語と英語で2回話をするという回りくどい会話でした。子供と夫は英語ですが、その会話に入る時も私は子供には日本語、その後同じ話を夫には英語。
 また、よく同じ絵本を英語と日本語両方で読み聞かせしました。
 そのうち、絵本に出てくるリンゴを見て、夫には「apple」私には「リンゴ」と言うようになります。この時、私に「apple」といえば私は「リンゴだね」と日本語で言い直させます。これの繰り返しです。
 今バイリンガルになった子供たちに聞くと、脳みそに日本語空間と英語空間があって、そこを行き来している感覚だそう。多言語習得に必要なのは、脳みその中に二つの言語の空間を作ることみたいです。
 そしてそれは時間がかかる。私の経験でしかないですが、子供たちが「ああ、もう日本語忘れないな」と感じたのは14歳前後だと思います。それまでは日本語忘れたらどうしようと思っていたのですが、これくらいになると聞く、話すは忘れないようです。
 本来なら一言語用の空間1つで済むところを2つ作るのだから仕方ない。赤い丸い果物には「リンゴ」と「apple」二つ名前があると言うことを脳みそに納得させ、準備することにとても時間がかかるのです。

英語でも日本語でも言葉が出てこない、言いたいことが言えない

 上の子は、8歳頃からしばらく話し出すの前に「えーっと」や「ahh」など言葉が少しどもる時期がありました。日本語でも英語でもです。まだ言語の空間がしっかり分かれていなかったのでしょう。
 この時、周りの大人たちが無理に治させようとしたり、またからかったりしなかったおかげか、この状態は1年ほどでなくなりました。
 しかし内心はヒヤヒヤでした。
 私の日本語方針のせいで、英語レベルは一番下。友達と話していても単語量は断然少ない。学校の学力テストでは呼び出しを食らう。英語が危ない。
このまま英語も日本語も中途半端になったらどうしよう。日本語の勉強なんてしている場合じゃないのかもしれない。

子供日本語クラブで書いてもらった母の日の花。
自分の子供が大きくなったので、今は地域の日本人のための集まりをしています。

日本が好き、が伝われば

 今思えば、結局、私は日本が大好きで、運よく子供たちにもこの気持ちが通じたのだと思います。
 そして「今日1日は日本語を続けよう」という毎日の小さな忍耐を親子ともどもなんとなく続けられたから。疲れたら勉強はやめて親子で日本語のテレビを見て一緒に笑う。ゲームに夢中になっていたら、子供に教えてもらってお母さんも挑戦してみる。そんな脱線ばかり楽しみながら、日本語で話す楽しい時間を持てたことがよかったのです。
 子供が日本語を話していたら、どんなレベルでも
「上手!」
と褒めてあげてください。多言語を話す子供はそれだけで負担なのですから。

 



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