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公務員を辞めて得られたもの


私は大学を卒業して、新卒で国家公務員になりました。

公務員として約7年勤めた後、公務員を辞め30歳で外界(民間事業会社)へ飛び出しました。

公務員を辞めたことで得られた失ったもの、得られたものは様々あります。

また、私は公務員を辞めてから、公務員の方から転職相談を多く受けてきました。

多くの方が同じような点を懸念されたり不安に思って悩まれるようなので、これまでの振り返りを兼ねてまとめてみようと思います。

公務員になったものの、このままで良いか悩んでいる方の参考になればと思って書きます。

①公務員からなぜ外の世界(事業会社)へ移ろうと考えたか

当時は色々考えていましたが一言で表現すると、「自分の人生を自分でコントロールしている実感が欲しかったから」です。

配属先や業務などは定まっており、自身の希望が通るかはポストの空きや上司の意向にも左右され、運次第というところがあります。

公務員でいた頃、与えられた業務をこなすのみで、自分の人生が自分でコントロールできるという感覚はほとんどありませんでした。

自身で選択肢を持って人生を歩みたいという思いがあったことが契機かと思います。

また、その頃、プライベートで日本在住の中国人と多く接していたのですが、その影響が大きかったと感じています。

日本の大企業に勤める中国人の多くは日本の大学(大体旧帝大や早慶が多い)を卒業してそのまま日本に就職するパターンが多いです。

そして、彼らの多くは、数年勤めると、大企業の看板に未練なく、あっさり転職していきます。

私は当時、中国語を習っていたのですが、その関係で知人に頼まれ、中国人の履歴書や職務経歴書のチェックをボランティアで行っていました。

彼らの話を聞くと、自分のキャリアを自分で作っていくという意識が非常に強かったことが印象に残っています。

もちろん、中には日系企業の固まった人事制度や給与体系に不満を持った方もいました。

しかし、多くの中国人は、現状うまくいっているが、さらに自分の価値を向上させるには、転職を活用してキャリアを作っていく必要があるという意識を持っていました。

そのような姿を見ていたことがきっかけで、自分はこのまま定年まで公務員でいること以外に選択肢があることに気づきました。

その頃から「キャリアを主体的に作る」ということについて真剣に考え始めました。

②公務員から民間事業会社へ移る際に立ちはだかった壁

壁は色々あるのですが、特に「再就職規制」が大きな壁になります。

「再就職規制」の細かい説明は割愛しますが、特に多くの人に関連する規制として「求職活動規制」が挙げられます。

「求職活動規制」とは「職員が現在就いているポストの職務と利害関係のある企業等への求職活動はできない。」というものです。

「利害関係のある企業等」という表現自体が曖昧で、いかようにも解釈できてしまいます。

極端な話、経済全体を考えれば「完全に利害関係がない」と言い切ることは不可能です。

実際的には、普段の業務で自身もしくは所属課室と直接的なやり取りが発生する企業が所属する業界への転職が相当難しくなります。

ただし、求職活動規制は本省係長級以下の職員以外の職員が対象です。

大体30代前半には係長級になっています。

そのため、公務員から制約少なく次の行先を選ぶならば30代前半が一つの壁になると思います。

また、転職の際にアピールする経歴やスキルという点でも、転職の壁がありますが、ここでは割愛し別の記事で紹介します。

③公務員を辞めてぶっちゃけどうだったか

公務員を辞めて、「失ったもの」と「得たもの」が両方あります。

まず、「失ったもの」は絶対的な「安定性」と「社会的な信用」です。

「安定性」は、皆さんがイメージするとおり「勤め先がなくなる可能性がほぼゼロ」、「滅多なことでクビにならない」、「年功序列で昇給」といったことです。

「社会的な信用」とは、上記の「安定性」があるために、「親や結婚相手からの受けが良い」、「銀行などで有利な条件で融資を受けやすい」といった恩恵がある状態を指します。

特に、私は公務員を辞めてから気づきましたが、金融機関から融資を受ける際に、公務員の身分はおそらく最強です。

次に、「得たもの」としては「キャリアを自分で構築している実感」です。

自身の専門性と経験を複数かけ合わせ、需要が高まっているポジションに自分を置くことで、主体的に自身の市場価値を高めることが可能です。

自身の市場価値を高まることで、より職務内容や給与が良いポジションに移れる可能性が高まります。


④まとめ

ここまで書いてきましたが、私は公務員を辞めることを単純に推奨するわけでは全くありません。

私の元同僚の話を聞いても、生き生きと働き、公私を両立させている方はたくさんいます。

上手く自身の人生の目標と公務員でいることのキャリアがマッチすれば公務員でいることほど素晴らしいこともないと思います。

ただ、私の場合は、公務員に留まることで自身の目標に辿り着く可能性はなかったので、結果として「公務員としてのメリット」を捨てたことで、道が拓けました。

一方、上述したように、公務員は「抜群の安定性」と「非常に高い社会的信用」というメリットも大きく存在します。

そのため、公務員を辞める際は、「公務員でいることのメリット」と「辞めることで得たいもの」を天秤にかける必要があります。

私の個人的意見としては、自身が目指す目標が明確で、公務員を続けることの先にその目標がないならば、特段、公務員に固執する必要はないと思います。

公務員からの転職は、再就職規制という独自の壁が存在することも事実です。タイミングを逃さぬようにだけは気を付ける必要があります。

なお、この記事では「公務員」と乱暴に括っていますが、公務員も千差万別で、また置かれている状況は人それぞれです。

それでも、キャリアに迷った際に、「公務員でいることのメリット」と「辞めることで得たいもの」の棚卸しをして紙に書き出すことが、初めの一歩になると思います。

何かお悩み事がありましたら元公務員としてご相談に乗れることもあるかと思いますので気軽にご連絡いただければと思います。


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