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そもそも在宅医療って何?在宅医療の取り巻く環境は?

"在宅医療クリニックとICT"について記載していこうと考えているのですが、その前にそもそも在宅医療って何?ということについて触れていきます。

在宅医療は、地域を病院・自宅を病室と見立て、医療従事者が訪問して医療ケアサービスを行う新しい選択肢として、今後も選択される方が増えていくものと予想されます。

人口動態や価値観の変化による”治す医療”から”支える医療”へという転換期に伴い、療養場所も変化してきました。

在宅医療とはーーー通院困難な方に対する訪問医療サービス

診療を受ける際には主にクリニックか病院で外来、入院、救急などから受診をしますが、もうひとつの選択肢があります。それが在宅医療機関が提供する訪問診療による受診です。

在宅医療は、医師が通院困難でご自宅などでの療養が必要だと判断した時に、医師による"訪問診療"や看護師による"訪問看護"、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などによる"訪問リハビリテーション"、管理栄養士による"訪問栄養指導"などの訪問医療サービスを行うことを指します。

難病や慢性疾患により外来通院が困難になったときや退院したあとの療養生活の場としてご自宅などで在宅医療を選択することができます。

最近は新型コロナウイルス感染症の影響により病院側は「病床を空けておかなくてはいけない。これ以上は受け入れ困難になった。」といった理由や患者さんやご家族からは「面会できない状況が続くので自宅療養に切り替えたい。」といった理由から在宅医療を選択されるケースも増えてきました。

これから迎える超高齢化社会。在宅医療を取り巻く環境は?

調べる際に、大石 佳能子さんの著書『DESIGN MY 100 YEARS』や厚生労働省の情報を参考にしました。

日本は他国より先行して超高齢化社会が進んでいます。これから日本の人口は減少局面を迎え、2060年には高齢化率が40%近い水準になるという推計があります。なお、直近では医療において、2025年問題というキーワードがあり、団塊世代すべてが後期高齢者(75歳以上)を迎え、医療や介護の需要の最大化を迎えていく節目と考えられています。

その超高齢社会化に伴い、毎年1兆円規模で増えているといわれる医療・介護費の問題があります。このままでは財源がもたないため、政府は支出を最適化させたく、病院の病床は減らしていく傾向になっていきます。

そのような環境の中、将来的に待っている問題として「多死社会」を迎えることも掲げられています。2000年代の数字を見てみると、70%を超える割合で病院でお亡くなりになっています。しかし、病院・病床が増えない(減っていく)中で、死亡する場所がない「看取り難民」が増え、2040年には40万人にも上るとも。

その問題を回避する政策面からも、近年では在宅医療に対する期待が高まっています。

ただ政策とは別の話で、"最期まで家にいたい"という希望を持つ方がいらっしゃるのです。当院でも医療依存度の高さに関わらず、自宅に帰りたい・自宅で過ごしたいと希望される患者さんが多くいらして、訪問医療などのサポートにより穏やかに過ごしていただくこともできています。

選択肢があることの安心感

これだけ価値観が多様化している昨今です。「最期は絶対に病院が良い!」とお考えの方も「自宅に絶対に帰りたい!」という方もいらっしゃいます。そんなバラバラの希望も叶えられる時代になってきています。ご本人の希望が一番なので、それに合わせた療養環境を用意することは可能です。

残念なのは、”本当は家に帰りたいと思っているのに、病状を理由に家に帰れない”という状態です。その場合、患者さんも医療従事者も在宅医療の特徴を理解されていないケースを多く感じます。そもそも在宅医療自体を知られていないと言えるかもしれません。歴史の浅い在宅医療ですので、携わる者としては在宅医療のことを少しでも知っていただけるようなきっかけ作りもしていきたいと試行錯誤しています。

ご希望によりご自宅に戻ることも十分に可能だと認識した上で、ご自身の最期をどこで過ごしたいかーーー病院なのか?自宅なのか?個人個人が『選択できる地域社会』を目指していければと思います。

今回は以上です。ありがとうございました!

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