メモ #009 分かりにくい英語ジョーク

1. さっそくジョーク

電気技師が地獄におちた。そこで見た地獄の環境は劣悪で、あちこち壊れていたので、修理して回った。いまや冷房が効くようになり、テレビでは高画質の多チャンネルが観られる快適さだ。

ある日、神が天国から視察に来たが、みんなが快適な環境で楽しく過ごしている光景に驚いた。

「技師を地獄に送ってくれたおかげで助かったよ」という悪魔。「いや、技師なんて送り込んだ覚えはないぞ」という神。

「いますぐに天国に送り返せ」「やだね。彼は地獄に必要だ。」そんな言い合いになった末に、神が言う。

「すぐに天国に送り返せ、さもなければ訴えるぞ!」

「弁護士はどこで見つけるっていうんだい?」悪魔が高笑いした。

(おわり)

2. 少しだけヒント

英文が読める、読めないは関係ないので、日本語にしてみた。

分かりました?

たいていの日本人は分らなかったんじゃないかな。

少しだけヒント。どこの世界でもやっかみとかがある。特にアメリカは訴訟社会だし、弁護士というのは、正義であっても不正義であっても関係なく弁護するのが仕事だ。

なかにはambulance chaserというタイプもいる。救急車の向かう先には必ず事故の当事者間のトラブルがあるから、仕事が入るということだ。

ということで弁護士のイメージはすこぶる悪い。ジョークの世界の中ではね。

次のヒントの前にもう一度考えてみますか?

3. 更なるヒントと解説

さらにヒント。

お金次第で悪人側を弁護する。ましてや優秀な弁護士であれば、極悪人ですら無罪にできる。そういう弁護士という職業のひとは天国と地獄のどちらに行きますか?

答え。

弁護士は全員地獄にいる。あるいは少なくとも、優秀な弁護士は全員地獄にいる。

なので、天国には優秀な弁護士が1人もいない。それはつまり訴訟になったときに天国に勝機がないので、悪魔は高笑いをした。

こういうストーリーなわけだ。

4. アメリカンジョークはくだらないものなのか?

英語ジョークが面白くないのはなぜ?

僕は英語ジョークは面白いと思う。西洋人と多少の背景を共有していると楽はできるが、そうじゃなくても想像力とナゾ解きで十分カバーできる。

僕は初見で最後の一行でニヤッとしたし、仮にニヤッとできなくても感心する。オヤジギャグの類は世界共通に嫌がられるけど、ウィットに富んだユーモアは知性の現れだ。

5. つまらなく感じる原因

英語ジョークはつまらないという日本人に問いたい。面白くないのならたぶんどれかの理由には当てはまると思う。

1. 単純に英語力が足りない。
2. 西洋人で共有されているお決まりの背景を知らない。
3. お決まりと関係なく、状況を想像しきれていない。
4. ジョークのひな型を知らない。最後の一行のパンチラインがオチになっている。

しかしこれらをも差し置いて、つまらないと思われる最大の原因は海外ドラマの吹き替えだと思う。翻訳の限界がある。声優の過度な演技という悪習がある。これは個人の翻訳家や声優が悪いと言っているのではないことは言い添えたい。「海外ドラマとはそういうものだ」、という定着しきった日本の慣習のせいだ。

6. 今回のジョークのレベルは

たぶん今回のジョークは十段階レベルであらわすと、下から2つ目くらいと思う。

ジョークの世界を紹介してみたかった。

ジョークの構造が全部わかった上でも面白くないなら、それに関しては確かにあなたには面白くなかったんだと思う。

おわり//

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