マネをする技術
もう進路指導が始まる
高校で仕事をしていると、4月からもう3年生の進路指導が始まります。割合としては、進学と就職が6対4ぐらいの比率ではありますが、就職試験に限らず最近の大学入試(特にAO入試と推薦入試)にも面接がありますので、その練習が進路指導の「最初の一歩」となります。
しかし、いまどきの高校生は、立ち居振る舞い(キチンと立つ・キチンと椅子に座る・キチンと歩く・キチンと礼をする)はほとんどできません。
立たせても座らせても、ひざが開く女子や、椅子に座ると背もたれにもたれてしまう男子など、一昔前の人間から言わせてもらうと「なんとだらしない」と思える立ち居振る舞いを、まず直すのが仕事になります。
見本を示すだけでできるようになる生徒がいる
さて、どうやって直すかですが、とりあえず指導する側が見本を見せてあげるのですが、それを見て、2回ほど練習するとあっさりできるようになる生徒がいます。
もちろんできない生徒は何回も練習をしてやっとなのですが、本当に1回だけ見せて、1回直して、もう1回やらせてほぼOKになる生徒がいるのです。
できる生徒とできない生徒の違いは何か?
指導する側としてはその違いがわかれば、そのエッセンスを他の生徒に流し込めばいいので、じっくり観察してみました。その結果、
・部活動、特に運動部の生徒ほど、あっさりできる傾向がある
という仮説に到達しました。
その理由を、指導している人間数人で考えてみました。その結果、「人の手本を見てマネをする」経験が豊富である、という結論になりました。
人の行動を見てマネをするという技術
運動部の生徒は、指導者から「このようにしろ」という指示を受けて、それを体で再現することを要求されています。場合によっては指導者がやってみせたことを、マネすることになります。
「人がこうやったことは、自分の体ではこう表現しなければならない」
これは、意外と簡単そうでできないことでもあります。しかし、部活動に限らず、見本をマネする学習というのは、意外とたくさんあります。
うちの学校だと調理や介護関係を学んでいる生徒がいますが、この子たちも同じこと(人のマネをして、それを自分の体で再現する)をしていますので、同じような傾向(つまり少ない練習でできるようになる)があります。
マネをするためにはよく見ることが必要
指導する側も、生徒の「ここを直さなければならない」ところをマネしてみせることがあります。そのとき、まずよく見ることが要求されます。そして、そのよくない部分を少し誇張してみせてあげることになります。
そう考えると、マネができる生徒は、無意識のうちに対象をよく観察しているといえます。逆にできない生徒は観察ができないともいえます。
よく見ることを、まず教える
となると、最初のステップはよく見ることかもしれません。できない生徒に限って、何も見ていませんから。よく見るには集中力も必要になります。でもこれって高校生に限らず、おとなもなかなかできないんですよね・・・
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?