見出し画像

人の行動



人の行動を操る

テクノロジー計量心理学

心理学に、「計量心理学」という分野があります。これは、人間を「経験への開 放性」、「誠実性」、「外向性」、 「協調性」、 「神経症傾向」 の5つの人格特性で査定 しようとするモデルです。このモデルを使うことで、目の前の人が欲しているこ と、恐れていること、どういう行動をとる傾向があるか、どういう人かを、たい 的よい精度で推定できる手法です。通常は被験者にアンケートを行い、結果を計系的手法を用いて解析します。

ところが2008年頃、ケンブリッジ大学の心理学者が、フェイスブックのアプリを用いてユーザーにアンケートをし、その回答と何に「いいね」をしたかなど のデータを計量心理学で分析したところ、ユーザーの心理特性や行動特性が高い 精度で推定できることを発見したのです。例えば、性別・年齢・住んでいる地域 だけでなく、肌の色・性的嗜好、米国人なら民主党か共和党どちらを支持しているかまで推定することができました。そして2012年にこの研究成果を発表しま した。

すると2015年、イギリスの選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリテ ィカ社は計量心理学を用いることによって、アメリカの成人2億2,000万人のパー ソナリティ情報を割り出した」と発表したのです。トランプとクリントンの大統 領候補討論会の日、この会社の支援を受けたトランプ陣営は、17万5,000通りの 広告を用意して、クリントンに投票しそうな人々が投票所に足を運ばないよう仕 向けました。さらに米国の全人口を32のパーソナリティの型に分類して、キャン ペーンを行ったのです。そしてトランプ大統領が誕生し、ケンブリッジ・アナリティカ社は1,500万ドル超を稼いだのです。

トランプ陣営の勝利の原因が、この成果だけではないでしょうが、パーソナリ ティに基づいた広報戦略は有効だったようです。なおこの会社は、イギリスの欧州離脱キャンペーンにも関与しフェイスブックから8,700万人分のユーザーを不正収集した疑惑で破産しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?