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12/23 プログラム・ノート⑧ヴァルス・ノワール

こちらも2015年10月のプログラムノートから。このときはビシルさん、ROHオーケストラのSection Principalでしたが、現在はSection Principal, Principal, Sub Principalとある中のSub Principalの肩書です(ホルン・セクション全員がこのどれかなので、肩書にPrincipalがついている人が2, 3, 4番を吹いたりもあるものと思われます。このようにほぼ全員が~プリンシパル、というシステムは、東南アジアやオセアニアのオケでよくあるのですが、ロンドンでもあるのは今回初めて知りました)。ビシルさんは、2013年、浜松国際管楽器アカデミー&フェスティバルの講師で、そのホルンクラスの通訳を仰せつかったのは懐かしい思い出です。自分の留学先はボストン、多少イギリス寄りのニューイングランド訛りだとしてもアメリカ英語には違いなく、バリバリのイギリス英語のビシルさんがちゃんと聞き取れるか不安ではありましたが、数日間慣れて何とか(^^; 何より、レッスンの内容、生徒の深いところまで見抜いて、けっこう言いにくいことまでナイフのように切り込むその洞察力は驚異でした。


リチャード・ビシル : ヴァルス・ノワール

ロンドン・フィル首席を経て、現在ロイヤル・オペラの首席ホルン奏者を務めるリチャード・ ビシルは、作・編曲家としての活動も目覚ましく、話題となった「ロンドン・ホルン・サウンド」 のCDでも一部の編曲を手掛け、ベルリン・フィルのサラ・ウィリスのためのソロ作品も発表しています。この「ヴァルス・ノワール」は、フィルハーモニア管首席のナイジェル・ブラックのために書かれ、ジャズ風の夢幻的なハーモニーと揺れ動くテンポによる、移り気で陰の濃いワルツですが、終結部は急激な加速で華麗な印象を残します。

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