ゲゲゲと遭遇③

2018年9月に書いたブログです。

酒を飲んだ。バカみたいに飲み続けた。シャンパンをイッキ、ひたすらイッキ、雑念を振り払うように、酩酊に向かって突っ走る。

しかし、酩酊にはたどり着かない。酔うほどに冴える頭、積み上がるシャンパンの空き瓶、僕を置いて酩酊にたどり着く女たち、あぁ、もう飲み始めて8時間もたつ。流石に気持ち悪い。吐き気がする。気持ち悪い。

目ん玉が飛び出るほどの会計を払う。無駄金でも使わなきゃやってられない日もある。店から出ると秋めいた気候は恐ろしい程なにもない。冬だったら目の覚めるような寒さで僕は我に帰ったかもしれない。

連れていた後輩がもう一軒行きたそうな眼差しで僕を見る。僕はそれを無視して帰路に着く。家に着くとさっさと寝巻きに着替えて布団に入る。全くの無駄な時間を過ごした。でもこうするしかないような気もする。酒浸りの眠りは浅い、何度も起きて倦怠とやるせなさにガッカリする。水を飲む、ションベンをする。朝が遠い。酒に溺れて行き着く先はいつもこの流刑地だ。自分で希望の目を紡いで作った絶望は不思議と居心地が良くもある。まだまだ僕には理解できない自分がいるらしい。

まぁ、昨日の悲しい酒の話はこのへんで。今日はいよいよ水木先生に出会った時の話を書きましょうかね。

僕は文章を書くときに、下書きやプロットを一切書かない。全部、ノープランでその瞬間のノリで書いている。だから、もしこの話が微妙な感じで書けちゃったらどうしようと不安を感じている。僕的にはすごく素敵なエピソードなので、何とかみなさんにも伝わるように頑張って書こうとは思うのだが、二日酔いと下痢と女関係の揉め事と、オカンが乳ガン宣告されたばかりなので全然うまく書ける自信がない。

まぁこれだけの保険を貼っておけばもし微妙な感じになっちゃっても大丈夫でしょう。笑 今の僕の状況は普通の人ならとっくに死んでるってことも皆さんわかってくれましたね?

では続き

結局、家出してきた彼女はしばらく俺の家に泊まっていった。そこで、僕は彼女の財力にひれ伏すことになる、、

彼女の家は金持ちだった。そして奴は世界最強のアイテムである「親のカード」を持っていた。その魔法のカードは現代社会に蔓延るほとんどの問題を一瞬で解決してしまう代物だった。高い肉、旨い酒、寝心地のいい枕、アルマーニの指輪などカードは東京で貧乏暮らしをする僕の悩みをことごとく解決していった。

僕はそれらを享受することを拒めなかった。そして、その分不相応を取り繕うように彼女に愛情を注いでしまった。言い方は悪いが僕はまんまと策略に乗ってしまったのだ。我に帰ったのは一週間後だった。僕は意を決して彼女に一緒に住むことはできないと伝えた。すると彼女はわかった今日は家に帰るといった。やけに聞き分けがいいなと不思議に思っていると、彼女は僕の家の最寄駅からえ5駅ほど離れた駅にあるマンションに帰っていった。

え?

マンション?どういうこと?

僕はひどく困惑した。そして彼女を問い詰めると、奴は僕に追い出されることを見越して僕の部屋よりだいぶ高級なマンションを借りていやがったのだ。僕は驚くというより、もはや感心してしまった。どうやら話を整理すると家出してきたっていうのは僕の同情を引くための嘘で、バッチリ親から金を引っ張って上京してきていたのだ。

普通の感覚の人がこの話を聞くと、彼女の親が狂ってると思うかもしれないが、彼女の親はすごく優しくてまともな人だった。ではなんでこんなに甘やかすのかというとそれには訳があった。彼女は学生時代にいわゆる才色兼備だった。成績優秀、容姿端麗、運動神経抜群、しかしそれが災いして中学生時代にいじめられて転校を余儀なくされてしまう。幸い転校先の学校に恵まれて彼女は高校にも進学する。ただ、そのイジメがかなりどぎつかったらしく、彼女はそこから不安定になっていたらしいのだ。

僕と彼女が付き合いだしたのは高校卒業して2ヶ月後のことだった。高校は同じだったがクラスが違ったので在学中に会話したことはなかった。お互いなんとなく存在は知っていた。ただ高校の時に僕のつるんでた連中があまりにも怖いというか評判が悪かったため、彼女は僕にとても近づけなかったらしい。

そんな僕たちが、なぜ卒業後2ヶ月して急に付き合うことになったかというと、彼女は東京の大学に進学したのだがわずか1ヶ月で辞めて長野に帰ってきてしまったからだった。彼女は東京で当時の彼氏と別れてしまい、学校に馴染めず、いじめられてたトラウマが蘇り、信じられないほどやせ細って精神が病んで帰ってきてしまったのだ。

親御さんは直ぐに彼女を実家に呼び戻したらしい。しかし、彼女はやつれ切っていた。そして、目標も何もかもなくした彼女は僕と出会う。

ぶっちゃけ、僕は他に彼女がいた。でもその子とうまくいかなくなっていたところだった。それを知った彼女はエグイくらい僕にグイグイ来た。僕は高校時代の綺麗な彼女を知っていたので、やせ細ったやつれた彼女にグイグイ来られて若干引いていた。でも、その子がすごく優しい子であることを知った僕も彼女に惹かれていき、我々は付き合うことになった。

僕と付き合ってから彼女はみるみる元気になっていった。自分で言うのも変だけど、彼女は僕と出会って変わった。身体はみるみる健康になっていき、もう一度学校に行くとも言いだした。彼女の親はそれをすごく喜んでくれていた。そこからは少し前のブログで書いたように僕たちは二人で一人みたいに生きていた。

…説明は長くなったが、こういった経緯があって、僕が一人東京に行ってしまい、また同じ事が起こることを懸念した彼女の親御さんは、僕を追いかける彼女に援助をしたのだと思う。そして、それをなんとなくわかっていた僕も彼女に強く言えなかった。

なんだか当初に思い描いていた東京ライフとはかけ離れていくばかりだった。僕は言いようのない焦りを感じていた。しかし東京という雑踏は全く思い通りに行かなかった。バイトも見つからず、小説も書けず、ただ時間だけが過ぎていく。僕は落ち込んだ。そうやって落ち込むと彼女がご飯に連れて行ってくれた。なんだか負のスパイラルだ。

そんなある日、バイト雑誌を見ていると恐ろしく時給の高いバイトがあった。飛び込み営業のバイトだった。営業かぁ。僕は一瞬躊躇したが彼女が後押ししてくれた。僕が高校時代テレアポのバイトをしていたことを引き合いにだして、電話の営業も訪問も一緒だよと背中を押してくれた。(ちなみに高校時代にやってたテレアポの会社はめちゃめちゃ怪しかった。僕はそこで神童と呼ばれて高校生で時給1300円を貰ってた。とにかくヤクザチックで面白かったのでいつかその辺ことも書きますね)

結果的に僕はそこの会社で頭角を現すことになる。そこで5年勤めて今のスキルを手に入れる。結果的に彼女の後押しが今の僕を作ることになるのだ。そして、そのバイトを始めて1週間で辞めそうになった時に水木しげる先生に会う事になる。晴天の8月。空は高くとても暑い日だった。

うん。キリがいいから今日はここまでにしましょう!どんだけ水木しげる引っ張んねん!!お前の恋愛話なんか興味ねーわ!!最初角って意気込んでただろタコスケ!!と言うクレームが今にも聞こえてきそうですが、この経緯なくして語れないんですよ。すみませんね。

次回は本当の本当に前置きも短く、あの日のことを書きます。あまり長くなっても集中力が続かないのでご理解ください。

長々と読んでくださりありがとうございます。近々続きを書きます。

おわり。

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