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月下美人屋敷狂②

4月某日
私、月ヶ瀬侑は件の子供たちの失踪について調査中であった。今日も子供らの学校や通学路周辺を聞き込みして回るが、悲しいかな探偵という仕事に対して世の人は懐疑的な目を持っているのがよく分かる。国家権力である警察であれば、一般市民が協力するのは常識といった考えがある。しかし探偵ともなれば物語のように上手くいくことはないといっても過言ではないだろう。ましてや開業したてのマイナーな探偵社である善道探偵社が苦労するのは目に見えていた。だが、私は翌日にある手がかりを得る事ができた。

「月下美人を見に?」

老女は、石井さんという清掃婦であった。三件目の被害者・草間由美と同じマンションに住む彼女は、草間由美と自宅側ですれ違い、互いに会釈をした後に「月下美人を見にいく」と言っていたのを聞いたというのだ。

「由美ちゃんが、確かに月下美人を見にいくって言ったんですよ。いまどき珍しいと思って覚えてたけど事件には関係ないのかなと思ってて...」

確かに月下美人と少女の行方不明が重なるというのは考えられない。私は、瀬谷区内の花屋を片っ端から当たってみることにした。
1日かけて区内の花屋を聞いて回るも、月下美人を置いている花屋もなければ草間由美はおろか他の女児を見た人間にも巡り会えなかった。しかし事態は翌日、急展開を見せた。

「月ヶ瀬...偉いこっただ。。最初に行方不明になった草間さんの娘さんが遺体で見つかった...」

遺体は相模原市内の雑木林に遺棄されていた。四肢をぶつ切りにされ、首は胴体から切断され苦痛に歪んだ顔も切り刻まれていた。乳房部分そして内臓...を切り取られていたという。子宮が女性器から無理矢理引き摺り出された痕があり両親はおろか警察官や検視官すら目を逸さずにはいられなかったという。
聞き込みを続けていくうちに、草間由美は事件当日に自宅マンションへ入り、部屋の側で石井さんと遭遇。そのあと部屋入り荷物を置いて直ぐに家を後にした。そのあと監視カメラが見えづらい位置にある裏口から迎えにきた車に飛び乗ったのを下級生二人に目撃されていた。
迎えにきた車の車種は不明だったが、黒いハッチバックタイプであることだけはわかった。

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