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予算委員会第一分科会にて災害時多目的船(医療船)について質疑

予算委員会の分科会において行われた質疑の内容について、正式な議事録がまだ提出されていないため、その要約を以下に示します

  • 一谷勇一郎氏は、神戸を選挙区とし、阪神・淡路大震災を経験した地域で医療船に関する議論を行っている。- 平成三年(1991年)に多目的船舶調査検討委員会が内閣府で立ち上がり、平成七年(1995年)の阪神・淡路大震災を機に多目的船舶基本構想調査委員会が実務家も交えて設立された。 東日本大震災が最大のターニングポイントとなり、災害時多目的船に関する検討会が立ち上がった。一谷氏は民間時代から医療船の実現に取り組んでおり、国会議員としては医療船の議連に参加し、勉強会にも参加している。能登の震災を受け、再び医療船の必要性について議論が起こっており、一谷氏は災害への備えとして医療船の整備を推進したいと考えている。一谷氏は、国会での議論や医療船の整備に関して、十分な進展があるかどうか懸念を示し、松村国務大臣に対して法律や検討の進捗について質問している。

  • 一谷勇一郎氏は、内田政府参考人に対し、災害時の船舶を活用した医療支援において医療従事者の確保が重要であると指摘。船舶活用医療推進本部の実動体制について問い合わせ。

  • 内田政府参考人は、関連府省や医療従事者と協力し、実動訓練を通じて連携を強化していると回答。医療従事者の活動について、保健医療福祉調整本部が都道府県の災害対策本部の下で総合調整を行っている旨説明。船舶での活動も陸上の医療従事者と同じく調整する必要があると強調。 船舶活用医療推進本部は法律に基づき、整備推進計画の策定を進めている。計画策定に際しては関係者との連携強化に注力している。

  • 一谷勇一郎氏は、県との連携の重要性を強調。災害時に県が対策本部となり、医療提供のレベル向上が必要との見解。

  • 松村国務大臣は、県の役割が大きいとし、都道府県ごとに異なる状況を考慮した連携が必要であると述べる。船舶利用医療体制においては昨年の訓練や視察から得られた問題点に対処する必要があると指摘。医療関係者との連携について、松村国務大臣は医療従事者が船上での活動に慣れる必要があり、慣れた上で連携を密に取りながら実務に当たる体制が非常に重要であると強調。 松村国務大臣は、各都道府県や府省との連絡を取りながら、体制づくりや課題の検証、対応について議論を進める考えを示す。

  • 一谷勇一郎氏は、医療モジュールを備えた民間フェリーでの視察経験を述べ、船上での医療支援において寒さやその他の問題点を指摘。県との連携強化や財政面、医療従事者の差異も考慮して計画を進めるよう要望

  • 西村政府参考人は、能登半島地震における輪島港での支援船の受け入れ対応を説明。地理的に制約のある離島や半島では、港湾の機能停止が災害時の人命救助や物資輸送に影響を及ぼす可能性があり、耐震強化岸壁の配備が重要であると述べる

  • 西村政府参考人は、地理的制約のある離島や半島でも避難ルート確保や緊急物資輸送に支障が生じないよう、既存ストックの最大限の活用と共に、耐震強化岸壁を適正に配置する必要があると認識。国土交通省は、離島や半島の港湾における岸壁の耐震化や防災・減災対策を進める考えを表明

  • 一谷勇一郎氏は、地方の港にも目を向けて強化を進め、予算も含めて対応を期待する旨述べる。 一谷勇一郎氏は、物資の輸送において港の機能回復だけでなく、その先の道路のスムーズな機能も重要であると指摘。特に災害直後の道路啓開が必要であるとの立場を表明。

  • 長谷川政府参考人は、能登半島地震において、関係機関との連携を強化し、発災翌日から24時間態勢で道路啓開を実施。一週間で約八割、二週間で約九割の主要幹線道路が通行可能になったことを報告。一谷勇一郎氏は、物資輸送においては医療船に重機やコンテナも積んで運用できる可能性を提案。具体的には、医療モジュールだけでなく、重機やコンテナを利用してトイレやキッチンカーを運搬し、災害現場での支援活動に有効活用できるか検討するべきとの見解を述べる

  • 一谷勇一郎氏は、災害時に自衛隊の補給艦を医療船として使用する場合、一般の方には厳しい居住環境があることを指摘。医療従事者として高い仕切りなどが現実的でないことを懸念。一谷氏は、災害時の多目的船で自衛隊の輸送艦を利用する可能性を視野に入れつつ、その際には民間の船舶修繕が必要となるが、その費用や人材確保の課題について質問。一谷氏は、自衛官の中でも特に防衛医官や保健師、看護師の確保について質問。解決策として防衛医大の定員増加などが考えられるかどうかについての見解を求める。自衛隊は災害派遣任務において、海上自衛隊の船を活用して捜索救助活動を実施しており、災害時に被災者を一時的に艦内に収容することは法的に問題がないとの理解。東日本の大震災では、護衛艦が保護した被災者を艦内で収容し、食事の提供なども行っている。

  • 松本大臣は、海上自衛隊の輸送艦や補給艦を医療船として使用する場合、居住環境についての一谷氏の指摘に同意。医療従事者の確保や居住環境の改善について検討が必要。一谷氏の質問に対し、松本大臣は感謝の言葉を述べつつ、医療船としての利用や修繕にかかる費用、人材確保については検討が必要であるとの見解を示す。

  • 米山政府参考人能登半島地震への自衛隊の対応に従事する隊員に対し、ローテーションを実施しながら、学校やコミュニティーセンターなどの近隣施設に加え、石川県内の陸上自衛隊金沢駐屯地や航空自衛隊小松基地などで休息を取り、疲労の回復を図っている。

  • 松村国務大臣能登半島地震での「はくおう」は、宿泊が可能で一泊二日型の休息施設として利用され、自衛隊の隊員が休息を取るとともにお風呂に入ることができる。ナッチャンワールドでは、シャワーが備わっており、自衛隊の隊員が休息室として利用し、その後の要望に応じて洗濯機なども提供されている。

  • 松村国務大臣ナッチャンワールドと「はくおう」についてでございますが、一日の日に木原防衛大臣にお願いをいたしまして、熊本地震のときも「はくおう」に来ていただいたので、こういった手当てができないか、また、お風呂の手当てができないかと一月一日の日に依頼をし、すぐ手配をいただいたわけです。

  • 一谷分科員災害時の休息所の不足や精神的ストレスについて、NPOや支援者の活動が挙げられ、特に医療従事者やケアの提供者が受けるストレスに言及。「はくおう」やナッチャンワールドの活用が自己完結だけでなく、自衛隊にも役立つとの提案。

  • 坂本政府参考人「はくおう」とナッチャンワールドのPFI方式契約に関する質問に対し、防衛省が民間事業者から船舶を借りることで、予算削減や効率的な運用を図っている。自衛隊が船舶を自ら保有する場合は、予算や人員の増加、訓練の必要性が生じ、PFI方式が効果的と説明。一谷分科員船舶の造船費用、医療モジュールの追加費用、および年間の維持費用について触れながら、防衛装備品としての病院船は国内の必要性だけでなく、アジア地域の安全保障向上にも寄与する可能性があるとの考えを示す

  • 一谷分科員船舶活動医療において、複数の船舶と自衛隊の艦艇の連携が重要であるとの質問。視察経験をもとに、大規模な災害への有効性を強調。連携における問題点や組織の違いによる調整の必要性を指摘し、検討が必要との見解を述べる。

  • 松村国務大臣空と海からのアプローチの重要性を強調。孤立集落への救援活動で現れた課題や命令系統の違いによる連携の難しさを指摘。災害想定と連携の検討が重要であり、様々な災害に備えながら進める姿勢を示す。

  • 一谷分科員災害時の多目的船の議員立法が理念法であり、今後の実務を積む中で議論を進めたい旨を述べる。日本の医療や防災の産業を強化し、安心・安全の産業を重視する必要性を強調。ベンチャー企業の技術が海外に流れることへの懸念を述べ、大きな視野で支援を呼びかける。最後に、議論が始まってからの進展に期待し、御協力をお願いして結び。

松本国務大臣を含む政府の皆様との有意義な議論に感謝申し上げます。来年で阪神・淡路大震災から30年を迎えますが、医療船をはじめとした具体的な成果を生み出す一年となることを期待し、引き続き協力を重ねてまいります。


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