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気付いたら(夏)だった

例えばあの子は…の、あの曲の歌詞ではありません(笑)
気付いたら自分の中で恒例化しているBase Ball Bearのライブレポ、″気付いたら″シリーズ第5弾です。

今年こそは…と誰もが期待していた2021年、夏。
しかし結局、自分は夏フェスに一つも行くことができずに終わってしまった。
春のVIVA LA ROCK、JAPAN JAMが希望を繋いでくれると信じてチケットを買ったROCK IN JAPAN FESTIVALやSWEET LOVE SHOWERも中止になってしまった。

希望が見えかかったところで、何かにめちゃめちゃ手足を引っ張られて、一気に後ろに引きずり戻されたようなここ最近。
その"何か"について、もう散々ネットでは言われているのでここでは書かないけれど…。

そんな中でも前を向いて、味わえなかった今年の夏を少しでも取り戻そうと動いてくれたバンドがいた。
そう、Base Ball Bearだ。
彼らもまた毎年、主にロッキンを中心に夏にライブをしてきたバンドの一つで、昨年夏の下北沢GARAGEでの配信ライブや今年春のJAPAN JAMでも、「来年こそは…」「今年の夏こそは…」と希望を託していたはずだった。

結局5~6月の「Over Drive」ツアーからライブが3ヶ月ほど空いてしまうという、例年ではあり得ない事態の中、予定されていた9月のツアー、「LIVE IN LIVE」。
毎回、カップリング曲縛りやアルバムの曲順に演奏するというコンセプト、対バンやメンバーセレクト曲でやるライブ…とテーマを決めて行われてきたシリーズだが、当初は(仮)という形で発表され、どのようなライブになるかは決まっていなかった。

しかし冒頭に書いたような状況の中、夏の曲が多いという強みを活かし、せめてその曲たちを中心にしたライブをすることで夏を満喫したことにしようと、後に"(夏)″というコンセプトに決まる。

そして来る9月6日。
とはいえ東京はもう肌寒さすら感じるような気温になっていたが、せめて最後に夏曲を浴びまくって、夏を実感したいと、恵比寿・LIQUIDROOMに自分含めベボベファンが集った。

もちろんマスク着用必須で入場時の検温&消毒をはじめ、ドリンク交換は終演後のみ、会場内のフロアはマス目状になっていて、各自そのスペースでライブを観ることによって、多少だがディスタンスを取れるようにと、でき得る限りの感染対策が為されていた。

そんな中でもライブハウスでベボベのライブが観られるのは嬉しいし、どれだけ待望だったか。
気付けば年に6~7回は彼らを観にライブハウスに足を運ぶのが当たり前になっていた自分も、フルで彼らのワンマンライブを現場で観るのは実に、2019年12月の「Guitar! Drum! Bass!」ツアーぶりだったのだ。

前回noteで綴った「Over Drive」ツアーも、開演時間の早まりからやむなく途中からの参加となってしまったので、XTCの『Making Plans for Nigel』で袖から出てくる彼らを手拍子で迎えるというのも、ライブハウスではかなり久しぶりに味わうことになる。

そしてついにやってきたその瞬間。
歓声は出せない分、待ってました!という想いを皆が全力で手拍子に乗せる中、3人がステージに登場する。
本当にその音の大きさは、誰も声を出していないとは思えないぐらいのもので、久しぶりに味わう雰囲気に特別感が乗っかって、既に泣きそうだった。

そして照明が明るくなり、ギターリフとドラムがリズムを刻み始め、関根嬢が手拍子でさらに会場内のクラップを加速させる。
そんな1曲目は『senkou_hanabi』。
そう、昨年夏の配信ライブ「LIVE IN LIVE ~IN YOUR HOME, MY HOME GROUND~」で一番最後に披露された曲だ。
そのときも歌詞にあるような夏が来ますように…という願いで演奏されたのを思い出し、このLIVE IN LIVE(夏)でそれを叶えようとしてくれているんだということが伝わってきたのと、それを皆で楽しもうと既に出来上がっていた会場の一体感。
そして、やっぱりこれだなぁ、これがベボベのライブだなぁという感慨から、涙でステージが滲んで、照明も相まってキラキラ輝いて見えた。

しかも小出氏の手元をよく見ると、また前回のライブに続き、自身がラストライブでサポートを務めた赤い公園の故・津野米咲氏のギターを引き継いで弾いていたから、余計にグッときてしまう。

そして間髪入れずにギターが次の音を鳴らし始めたのは『SUMMER ANTHEM』。
コンセプトが発表されてから密かに期待していた曲だが、自分はライブで聴くのが初めてだったので、滅多に演奏されないレア曲に一気にテンションが上がる。
まさに夏だー!夏が来たー!と思わせてくれた瞬間。

2曲を経て「どうもBase Ball Bearです」と小出氏がMCの第一声。
夏はむしろ嫌いなはずなのに、嫌いすぎてむしろ気になるというメカニズムからか、夏曲が多いというベボベ。
既に肌寒さを感じるようになっているが、それがまたこのコンセプトをやるにはちょうどいいよねと、続けて『BREEEEZE GIRL』へ。

まさに、既に秋めいている中だからこそ、余計に夏の曲が映えるよな~と思わされるぐらい、曲を聴くと夏の風景がフラッシュバックする。
この曲もどれだけ夏フェスで聴いてきたか。
そのときのように、アウトロでウォーオーオーオー!とは叫ぶことはできないけれど、代わりに腕を振りまくり、それに応えるようにベボベの3人が叫んでくれていた。

そして、一気にスローダウンするようなリズムをドラムが刻み始め、この感じは『Summer Melt』かとも思ったが、いやいや、まだ夏は始まったばかり。
やがてギターリフでその曲が『Good bye』と分かったときはかなり意外だったが、"初夏の日″、"夏服″というワードが散りばめられていることから、これも夏曲であることが分かる。

身体を横に揺らしたくなるようなリズムから、再び跳ねるリズムで演奏されたのは『Fragile Baby』。
この時点で既に3/5がカップリング曲であるという予想外の展開に、時折コンセプトを忘れそうになるが、"湿った風″・"湿った汗″という歌詞から夏の熱帯夜が連想させられ、曲が終盤に向かうにつれ熱を帯びていく演奏と「Fragile Baby~!」のシャウトに乗っかりながら腕を振りまくっていると、身体も自然と熱くなる。

曲が終わると続いて関根嬢が堀くんのドラムセットに近づき、ベースラインを弾き始める。
ドラムもそれに乗っかり、さらにエフェクトがかかったギターが乗っかるという、段々と音が増えていくこの『Transfer Girl』のイントロは何度聴いても心地良い。

2019年の「17才から17年やってますツアー」ではチャップマン・スティックを演奏していた関根嬢がベースに持ちかえたことで、満を持して初めてギタードラムベースの3ピースで演奏されたこの曲だが、その分ギターの仕事量は半端ないことになっており、小出氏は時折エフェクターを踏みかえながら一人二役の演奏を担っていたので、2番の"ストップ″の瞬間以外はずっと手が動いていた。
だがそれでも一切慌ただしさを感じさせない曲の切なさは、改めてすごい。

ここでまたMCタイム。
今年も例年のような夏が過ごせなかったが、メンバーはどんな夏にしたかったか、また実際にはどんな夏だったか、という話に。
堀くんは、やっぱり夏フェスに出たかったし、その後で何十本もツアーを回るのが当たり前だったから、ずっとライブのことを考えていたという。
「いやいや、それは3人ともそうだし」と小出氏に冷たく突っ込まれるが、本当に自分たちファンもずっとベボベのライブを観る夏を待ち焦がれていた。

実際には、2才になった息子さんと自宅でビニールプールを楽しんでいたという堀くん。
ただこの世の中の状況になって久しいため、息子さんもまだ本物のデカいプールを知らないでしょ?と、やがてサマーランドの話に。
あるエリアで頭上に巨大なバケツがあり、そこに水が溜まるとバケツがひっくり返り、滝のように水がドバっと落ちてくるアトラクションがあることを思い出した小出氏。
ただし、それをまともに受けると首がイッてしまうため、それに耐えられた者は「プールファイター」だという謎理論(笑)

学生時代水泳部だった関根嬢は、ガチの競泳用水着を買って市民プールで泳ぎまくっていたという。
しかし、なかなか遠出しにくくなったために地元でプールを楽しもうという人で連日混雑しており、ガチ泳ぎしようとすると人にぶつかってしまい、なかなか思うように泳げなかったなぁと物足りなかったご様子。
部活や合宿では平気で10キロも泳いでいたというから無理もないが、そんなガチな人、他に市民プールにはいないでしょ?それこそプールファイターだ!「プールファイター史織」!と異名がつけられる(笑)

一方小出氏は中学時代、25m泳ぐだけで一日分の体力を使い切ってしまうため、ある日地下にあるプールから階段や渡り廊下を経て教室に戻る際、足が痙攣して動かなくなり、倒れてしまうという苦い思い出から、もうプールはいいや…となったというから実に対照的(笑)
そんな彼も今年は日傘を買い、夏を楽しもうとしていたようだが、結局自宅とスタジオの往復だけになってしまい、挙げ句の果てにスタジオに買ったばかりの日傘を忘れてしまったとか…。

それにしてもMCのこの感じ、改めてベボベのライブにきた~!と実感させられて嬉しくなる。
最近ではMCをラジオの公開収録と言っているほど、喋りがメインのイベントだと錯覚させられるような感じすらあるが、この日も体感30分ぐらい喋ってたんじゃねぇかってぐらい、話が止まらない3人だった(笑)

そんな長いMCから「ライブの熱も冷めてきたところで…」という小出氏に「冷めちゃったのかよ!」と突っ込みつつも、堀くんの瞬発的な力強いドラミングでまた一気にライブモードへ。
そして『short hair』のそれへとリズムを変えていく。

涼しい風が吹き抜ける爽やかな夏のイメージのまま演奏はさらに加速し『転校生』へ。
先に披露された『Transfer Girl』の続編とも思える切ない歌詞だが、フロア全体が熱気を帯びていくような間奏のセッションのアツさはそれとはまた対照的だ。
昨年の「LIVE IN LIVE ~IN YOUR HOME~」での久しぶりの披露時から長くなったギターソロのアレンジが、余計にそう感じさせる。
もちろんこちらは声は出せないが、皆心の中で「Wow! Wow! Wow~!」と叫んでいたに違いない。

続くMCでは、今この状況下でライブを開催するにあたっての正直な気持ちを吐露してくれた。
直前までライブを開催していいものか、かなり迷ったということ。
そしてライブをしているその瞬間も正直、まだ迷いがあるということ。
どうするべきなのか、正解は分からない。

でも、会場に足を運んでいる人も、来場を断念してチケットの払い戻しをした人も皆そうで、迷いに迷った上でそれぞれの選択をしている。
マス目状に区切られたフロアのように、もはや今は皆が皆、違う価値観を持っているのだ。
だから、まずはその選択一つひとつを否定するのではなく、尊重しながら、自分たちができることをして前に進むしかないと、ツアーの開催に踏み切ってくれたという。

そうやって互いを尊重しながらライブを続けていくことで、このコロナ禍が終わったとき、また一つの束になって皆で楽しめるんじゃないかと、ここ最近言われている「分断」についても言及しながら、語ってくれた。

実際このツアーは希望者へのチケット払い戻しに対応したり、この恵比寿公演の2日後の大阪公演は配信で観られるようにしてくれたりと、本当にできる限りのことを考えてくれているのが伝わってくる運営だった。

そうやって皆で考えに考えを重ねていくことで、いろいろと良くなっていくことや、見えてくるものもあるはず。
だから今回ライブを行くという選択をした自分も悔いはないし、行かないという選択をした人も尊敬だし、ライブをしてくれたベボベとスタッフ、また万全の体制で迎えてくれたLIQUIDROOMには、ただただ感謝を表したい。

いろいろと考えさせられながらも、決断してライブに来たからには、もうあとは楽しむだけ。
ここからライブ終盤、もうプールサイドの見学者のように傍観しているのはやめて、テンションの上がることに飛び込んでいこうという想いで作られた『プールサイダー』では、まさに"楽しもうよいまを″と自分たちを鼓舞してくれた。

そして、実にライブでは4年ぶり以上に披露されたのは、かつてサポートで入ってくれた弓木英梨乃氏の超絶ギタープレイが未だに印象に残る『海になりたいpart.2』。
3ピースになってもその勢いは衰えず、イントロから小出氏のギターアレンジが冴えわたっている。
畳み掛ける速さで歌うのがキツいのか、流石にライブ終盤というのもあり、声が出なくなっているかのような場面も。
だがそれでもその歌を、その手を止めることは無い。
3人が向かい合いながら沸点へと向かっていくアウトロのセッションは4人時代から映像も含め何度も観ているが、毎回胸がアツくなる。

そしてドラムがリズムを残したまま、小出氏がティリリリリリリリリ!とイントロを奏で始めた瞬間、照明がまた爽やかな青にパッと変わり、音とその空間すべてがパッと輝いたような気がして、またグッときてしまった。
この『CRAZY FOR YOUの季節』のイントロは何度聴いても泣きそうになる。
それこそ、夏の思い出として色濃いROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019で初めてこの曲が3ピースで演奏された瞬間の感動がフラッシュバックした。

ちなみに今更触れると、トップ画の写真はこのときのフェスグッズの「はじけた檸檬タオル」で、今回久々にタンスから引っ張り出して持って行った。
このLIVE IN LIVE(夏)のグッズには珍しくタオルが無く、コンセプトとして「在りし日の夏の思い出が詰まった曲」というのもあったので、タオルは敢えて作らず、各々の思い出が詰まったタオルを持って来てね!ということだと勝手に解釈した(笑)

この『CRAZY FOR YOUの季節』のサビでもやはり小出氏の歌はつらそうだったが、関根嬢のコーラスが、堀くんのドラミングが、そして会場中で上がる拳が後押しをしているかのように、曲は最後まで力強く進んでいった。

そうして駆け抜けていったライブもあっという間に本編ラストを迎え、「Base Ball Bearでした!」と聞くと、もう終わってしまうのか…と寂しくなるが、「来年こそは良い夏を迎えられるように、今は備えましょう!」という心強いメッセージとともに、″ドラマチックチック 止められそうにない~"と『ドラマチック』へ。

この曲もまた、これまでたくさん夏のライブを彩ってくれていて、個人的には2018年夏に参加した仙台でのライブサーキット「サマラバ!」を思い出した。
このときもまた大トリアクトを務めたベボベがライブの最後を飾った曲で、聴きながらいろんな思い出が走馬灯のようにフラッシュバックしてきてエモかったものだ。

どの夏も″永遠に続きそうで一瞬のワンサマー"だけど、こうして夏の思い出たちが今も消えずに残ってくれている。
それがあれば、きっと今のこの状況も耐え抜いて、乗り越えられる。
最後にそう思わせてくれる『ドラマチック』だった。

演奏を終えメンバーたちがはけていっても、熱狂は冷めることは無い。
気付けば自分も汗だくになっていたが、休むことなく皆で手拍子を贈った。
小出氏の喉の回復待ちのためか、いつもよりだいぶ待つことになったが、一瞬たりともその手拍子が止むことはなかった。
このままアンコール無しで終わってしまうのかな…という不安もよぎったが、体感10分近く経ってからだったか、ようやくステージがライトアップされ、メンバーたちが再登場。

噛み締めるように「いやぁ、やっぱりライブは楽しいっすね。」と呟く小出氏。
そして同時に「ボロボロだったな~。」と悔しがる様子も。
「ライブが3ヶ月も空くことはなかったから、もっと鍛練しなきゃダメだな!俺はこんなもんじゃないぞ!今日のライブはもう、恥部です。ここからまた復活していくので、今日はそのドキュメンタリーの一部だと思ってください(笑)」
と、また次に向けての気合を語る。

関根嬢も「ほんと、普段から人前で口開けて大声出すことなんて無いからねぇ。」と強く共感すると、「そう、ライブなんて恥部を晒してるようなもんですよ。ライブは恥部。恥部IN恥部!」と、ツアータイトルになぞらえ小出氏がパワーワードを捻り出した(笑)
「恥部」という言葉に引っ張られてついつい笑ってしまいそうになるが、そんなふうにすべてをさらけ出すように、全身全霊でライブを届けてくれたんだなと思うと、頭が上がらない。

そして、大阪でのライブ後には正式にアナウンスされたが、先立ってこの恵比寿でも密かに、近日中(10月27日)にアルバムを出すこと、タイトルが「DIARY KEY」=日記の鍵であることが発表された。
「C3」とはまた違ったモードになっているという言葉もあり、かなり期待できるが、
「情報解禁は明後日(9月8日)なので、皆さんノーツイート・ノー掲示板でお願いしますね!ツイートしていいのは、小出が恥部を晒したというところまでです(笑)」
と冗談を交えながら念を押した。

実際、大阪でのライブが終わるまで一切情報が漏れることは無く、自分のTwitter上でも多くの人がこの恵比寿公演に参加していたが、少なくともTLではニューアルバムの情報どころか、告知があったことすら流れて来なかったので、皆でノーツイート・ノー掲示板を守り抜いたことが分かり、誇らしかった。
これもまた、『プールサイダー』前のMCで出てきた尊重の形かもしれない。
こうやって皆で皆を思いやれば、きっとこのコロナ禍であってもライブを楽しめるはずだ。

そして早速その「DIARY KEY」から、表題曲となる『DIARY KEY』がここで初披露された。
これまた駆け抜けていくようなサウンドと、アウトロの関根嬢・堀くんも含めたコーラスワークが印象的な曲だった。

さて、いよいよラストを飾る曲は、これまでも何度となく演奏されてきた『祭りのあと』であるということが、お馴染みのライブアレンジのイントロから分かる。
ゆったりと不穏な雰囲気を纏った演奏から、「祭りのあとで…」という言葉を合図に、一気に爆発する瞬間がたまらない。
原曲より速いテンポに合わせて腕を振りながら、心の中で「ハイッ!ハイッ!」と叫びまくって、最後の力を振り絞り楽しんだ。
これにて無事、2021年の夏が終わった。

-Base Ball Bear TOUR LIVE IN LIVE (夏) セットリスト-

01.senkou_hanabi
02.SUMMER ANTHEM
03.BREEEEZE GIRL
04.Good bye
05.Fragile Baby
06.Transfer Girl
07.short hair
08.転校生
09.プールサイダー
10.海になりたいpart.2
11.CRAZY FOR YOUの季節
12.ドラマチック
en1.DIARY KEY ※新曲
en2.祭りのあと

改めて振り返ってみると、夏の曲が中心というコンセプトを知っていても、そうかこれも夏の曲なのか!と改めて気付かされたり、かなり久々に聴く曲、自分はライブで聴くのが初めての曲、初めて3ピースで演奏される曲…と、予想のつかない選曲の連続が楽しかった。

それと同時にコンセプト通り、いくつかの曲には自分にとっての夏の思い出もあって、これまで過去いかにそのときどきでBase Ball Bearが音を鳴らしてくれていたか…ということを改めて思い知らされたライブだった。

今年も例年通りの夏とはいかなかったけれど、このライブの瞬間だけは、なんとなくではなく、確かな実感として、気付いたら(夏)だった。

"君にとっての今年のこの夏が
君にとって…永遠になれ″
と歌ってくれたが、こんな夏もあったよねと、何年か後に思い出すことだろう。

そう思えるライブを、迷いながら、恥部を晒すような気持ちになりながら届けてくれたベボベ。
誰もが納得できる正解は無い中でも、彼らが鳴らす音を待っている人たちがいるというのは紛れも無い事実だということだけは、はっきりと言える。
それは開演時やアンコールの鳴り止まない手拍子の大きさからも明らかだ。

自分もその一人として、これから迎える20周年を祝いつつ、さらにその先も、ベボベをずっと追いかけていきたい。
そして、何度だってともに夏を過ごしたい。