見出し画像

気付いたら宝物になってた ~2022/11/10 (This Is The) Base Ball Bear @日本武道館~

「これまで生きてきた人生の中で一つ自慢を挙げるとしたら?」
と問われたら間違いなく自分は、
「Base Ball Bearというバンドを好きになれたこと!」
と答えると思う。

それをとても強く実感したのがつい先日、ベボベ20周年イヤーの最終日である11/10に開催された、「(This Is The) Base Ball Bear」だ。
何を隠そう、10年ぶりでありキャリア3度目となる日本武道館ライブ。

過去2回の武道館公演は自分がベボベのライブに足を運び始める前に開催されており、チラッと映像で観たり話で聞いていたりしたぐらいだったけれど、当時はあまり手応えを感じていないようだったし、トラウマじゃないが、何となくもう二度とやらないんじゃないか…と思っていた。

だから開催が発表されたとき、まさにそのときも日比谷野音のライブ会場でのことだったけれど、思わず声を出してしまうほど感動したものである。
(当時のライブ「日比谷ノンフィクションⅨ」のライブレポはこちら↓)

日本武道館には特別な想いをもつミュージシャンも多いけれど、ライブを観る側としてもやはり特別な場所で、人生で初めてライブというものに行き、その素晴らしさを知ったのも、Mr.Childrenの武道館ライブ(2009年の「終末のコンフィデンスソングス」)だった。

それ以降もBUMP OF CHICKEN、エレファントカシマシ、[Alexandros]、近年ではこのnoteでも取り上げたPEDROや、サカナクション…と、たくさんのライブをこの場所で観てきたけれど、まさかこの場所でベボベが観られる日が来るなんて…。

日程的には月の上旬の平日で、仕事柄繁忙期で休むことができないので、本当に行けるかどうか、発表された瞬間からずっとヒヤヒヤしていたけれど、少しずつ前倒しで仕事を進めたりの積み重ねで何とか定時ちょっと過ぎに仕事を終え、当日は無事に開演前に余裕を持って武道館に辿り着くことができた。

そしてまず、エントランスに掲げられた看板。
これを見て、いよいよこれは夢じゃないんだな…と一気に実感と感動が押し寄せてきた。

そして入場してまず驚いたのが、その動員。
…動員で驚くと言ったら失礼かもしれないが、チケットは当日まで売られており、これまで生活してきた中で真っ先にBase Ball Bearが好きだと挙げる人に出会ってこなかっただけに、むしろ空席を探す方が難しいくらい人でびっしりと埋まった会場、しかもそこが日本武道館であるという事実に、いきなり驚嘆してしまった。

そして、登場BGMであるXTCの『Making Plans for Nigel』が流れてくるその瞬間まで、本当に自分はこれからベボベのライブを観るのだろうか…と信じられず、それは人生初ライブのMr.Childrenのときと同じであったが、ステージ上にメンバーが現れて程無くしてやっと!という感じだった。

クールに歩いて出てくる小出氏・関根嬢とは裏腹に、タオルを広げてドラムセットに立ち上がるようにして両手を広げる堀くん。
そして、「ジャカジャーン!」とイントロのギターが鳴った瞬間、バンドセットを囲むように建てられた鉄骨のセットが電飾で光り始めたことによって、その輪郭がCDのジャケットでも度々出てくるあの象徴的な電波塔であることがわかった瞬間の、何とも言えない感動…。

まだライブが始まってもいない、ほんの一瞬の出来事だが、そこまでで起こったことすべてが紛れもなくBase Ball Bearを形成する要素であり、ああ、やっぱり自分の大好きなベボベだ!今、自分はベボベのライブを観に来ているんだ!しかも、日本武道館で!と、熱い気持ちが全身に走ったような気がした。

こうして『17才』からついにベボベ3度目の武道館公演が幕を開けた。
サビで走るバンドの音に乗せて\パン!パン!/とクラップで早くも会場を一つにした後、さらにリズム隊の音がうねりながら加速する『DIARY KEY』のイントロで「こんばんはBase Ball Bearです」と名乗りを上げるも、そこは気負いもなくいつも通りな小出氏である。
この曲は2番に入っていくとAメロで歌唱と複雑なメロディーを奏でるギターリフが同時進行していくため、毎回これを一人でやってのけているのに驚かされるが、武道館という大舞台でも一切狂いがない。
しかしそれはベースとドラムが磐石にリズムをとってしっかり構えてくれているからこそであり、アウトロで3人が合唱する"To alive by your side"を聞いていると、まさに文字通りずっとこの3人で一緒にここまで走ってきたんだなぁと思わせてくれる。

かつてはいろんな芸能人ランナーが『サライ』に乗ってこの会場にゴールインしてきたが、そのどれよりも美しい光景だな…と早くもクライマックスを感じていると、曲も『LOVE MATHEMATICS』で早速ピークを迎える。
電波塔もカラフルに光りまくる中、観客たちの手も1、2、3、4、5、1、2…の指でパッ!パッ!と光るように動きまくり、声は出せない状況でも盛り上がりを演出した。

そして、「ご来場ありがとうございます!」とMCへ。
そこが武道館だと意識しすぎないように、緊張をしないように努めていると言う小出氏だったが、「この会場を感謝で埋め尽くしたい」と、明らかに腑に落ちていない言葉で笑いを誘う。
そんな中でも堀くんは既にしっかりと感極まっているご様子だが、「でも何より楽しんでいきましょう!僕らのメジャーデビュー曲!」と、『GIRL FRIEND』で爽やかな風を吹かせる。
声なき\イエーオ!/が会場にこだまする様子を見ていると、コロナ前に行われていたツアーでも何度も歌われていたこの曲が未だに皆に染み着いてるのがわかるし、本当にこの日は20周年の集大成ということもあり、この後もいろんな曲が演奏される度にベボベとの想い出が走馬灯のようにフラッシュバックした。

ドラムがゆっくりとリズムを鳴らし始め、次は何の曲だろう…と固唾を飲んで聴いていると、印象的なイントロのフレーズがギターで鳴らされた瞬間、おおっ!と久しぶりに旧友と再会したような感動が押し寄せてきたのは『LOVE LETTER FROM HEART BEAT』。
リアルライブで聴いたのはおそらく2016-2017年の「バンドBのすべて」ツアー以来だったような気がするけれど、やはりその当時各地のライブハウスに遠征してライブを観に行った記憶が蘇える。
間奏で堀くんが「ピャーーーッ!」と口で効果音を鳴らすのも懐かしい。

続く『short hair』でも、前回の武道館でスポットライトが当たる中天を仰ぎながらイントロのドラムを叩く堀くんの印象が何度も映像で見て残っているし、未だにこの曲を聴いていると鳴っていないはずのバッキングギターを脳が補完してしまうが、"変わり続ける君を変わらず見ていたいよ"という歌詞の通り、今のベボベが演奏しても曲の持つ切なさとエモーショナルさは一切変わらない。

3人になったというだけでなく、キャリアを重ね、ライブ経験や作品の数も積み上がっていく中で会得してきた確かなバンドの地肩は、円熟さを増しながら同時に昔と同じようなフレッシュさも出すことができるという、ベボベにしか成し得ない演奏を実現しており、それは『初恋』のようなあまりに純粋で眩しい曲を聴くことでより実感させられる。
ラスサビに向けて助走をつけるように"飛びー越えーーてーーー…"と溜めに溜め、"…………しまうっ!"と爆発するあの瞬間の気持ち良さも、何度味わっても変わらない。

ここで再びMCへ。
舞い上がっていて記憶が無い過去2回の武道館ライブとは打って変わって、先程のMCで変なことを言ってしまったのをしっかり覚えてるほど今回は落ち着いているという小出氏。
というのも、日本武道館という会場は退館時間にかなりシビアで、少しでも過ぎてしまうと延滞料が発生してしまうからという、自分がこれまで十数回この会場でライブを観てきたにも関わらず初めて聴く裏事情をポロっと話してしまうあたりは、流石"MCはラジオ"たる由縁である(笑)

そしてこの武道館を迎えるまでどうだったか?という話で小出氏は、「武道館の神様にはリスペクトを表しつつ、緊張の神様は油断してるとすぐウエーイと地元の先輩のノリで絡んでくるので無視して、武道館ライブは無いんだぞ!(もちろん実際はあるけど)と自分を騙し騙しやってきた」と語る。

一方で関根嬢も、「いつもと変わらないように当日も会場入りする前にスタバに寄ってきた」とあくまでルーティンを崩さないようにしていたらしいが、ふと自身の別バンドであるsticoのアカウントでTwitterを見ていたら、ベボベのグッズを全身に身に付けた人が「これから飛行機に乗りまーす!」とツイートしてるのが目に入り、スタバで思わず泣いてしまったと漏らす。

その何ともお茶目なエピソードにこの日一番の爆笑が起こったが、その一部始終の姿を想像するとこちらまでグッときてしまう。
ニコ生で配信された直前番組でも全国各地はおろか、海外から武道館に参戦するというエピソードまで出ていたので、ファンの皆からもまた、並々ならぬ想いを感じる。

そしてそういったたくさんの想いも受けてか、いつも以上にしっかり固め上げて気合いが入った堀くんの髪型がアップで映し出される(笑)
そう、会場のスケールがいつもと違いすぎるがためにベボベのライブでは普段は見られないが、今回はステージ右側と左側に大きなモニターが設置されていて、アリーナ席とはいえやや後方の端だった自分としては実にありがたかった。

「では次のMCで!」と、ライブとMCと、本当にどっちがメインだかわからなくなるような振りから演奏に入ったのは『ポラリス』。
3度目ながら、3ピースバンドとして武道館に挑むのは初めてのベボベだったが、そんな彼らの自己紹介ソングともいえるこの曲があの日の丸の下で鳴らされたというのはとても感慨深い。
とはいえ先程のMC通り、小出氏に過去のような舞い上がりや気負いはなく、時に堀くんの歌唱パートでは関根嬢と並んでドラムセットに腰掛けながら演奏するなど、肩の力を抜いて楽しんでる感じが微笑ましかった。
堀くんもサビで、「武道館ー!」と叫び気持ちを解放していた。

続いて披露されたのは、これまたかなり久しぶりな『ホワイトワイライト』。
自分的にライブで聴いたのはかれこれ2015年の「日比谷ノンフィクションⅣ」だった気がするが、もっと遡るとこの曲が先程の『LOVE LETTER FROM~』と共に収録されているアルバム「(WHAT IS THE) LOVE & POP ?」がリリースされた2009年、自分はというと、まさに『changes』でガーン!と衝撃を喰らった直後に出たそのアルバムを聴きまくって、初めて誰の影響も受けずに自分から掘って好きになったバンドと出会えたことが本当に嬉しくて…という記憶がダーッと押し寄せてきた。

"淡く暗くない未来、遠くはない"という予感が、また今この時代だからこそ、そして武道館という舞台に10年ぶりに返り咲いたベボベだからこそ、より説得力を増して響いてくるが、続いての『海へ』も"予感"について歌った曲。
本当にこのバンドは決して順風満帆にここまで来れたわけではなく、幾多の別れや悲しみを引き連れて武道館に立っているわけだが、それでも"終わらない予感"というものをこうして歌に変えてくれるとまたグッときてしまう。

そうやって、どんなことがあっても変わりながら進み続けてきたバンドが歌うからこそ、『changes』は最初に聴いたときと変わらない感動を今でも与えてくれるし、過去武道館でこの曲が演奏されている映像を何度観ていたとしても、やっぱり今、その瞬間に聴く最新の『changes』がマジでお世辞抜きに一番カッコよく、心臓の底までガツンと響いてくる。

冒頭で動員に驚いたと語ったが、まさに続いてのMCでは、若く勢いがあってバリバリにタイアップをやっていた頃のベボベの過去2回の武道館とタイの動員記録をこの日も叩き出していることが明かされる。
しかもその過去2回は正月休み真っ只中で、今回は普通の平日なのにである。
冒頭で感じた驚きは気のせいではなかった。

とはいえ、「僕らは国民的に大ヒットした曲があるわけではないし、何か特別な賞を取ったこともない、言わば無冠のバンドなんです。強いて言えば、ずっと20年間止まらずに続けてきた皆勤賞みたいなものはあるかもしれない。その結果として、こうして3度目の武道館の挑戦権を手にすることができています。僕らは決して順風満帆に来たわけではなく、皆を篩にかける活動ばっかしてきたと思います。皆さんのモチベーションになるようなものを提示できてたかなぁ…と思うことも。それにも関わらず、信じてついてきてくれて、こうやって今日、平日にも関わらずたくさん集まってくれました。そんな皆さんはもう宝物です。ありがとうございます!」

ものすごく大きな拍手が響きわたる。
そして、
「もちろん4人時代の僕らがあるから、その上で今があるわけだし、それを今更否定するつもりはないですが、何より今日を迎えられてるのは、僕ら3人がめちゃめちゃ頑張ってきたからなんです!それをどうか刻みつけて欲しいです。そんな僕らが今、キッズのようにギターやドラムやベースをバーン!と衝動的に鳴らした新曲を聴いてください…」

ここで最新曲『海になりたい part.3』へ。
もうカッコよすぎるだろ………。
確かに過去2回ベボベが武道館に立ったときは4人だったし、自分が好きになったのも初めてライブに行ったのも、4人時代のベボベが最初。
未だに『short hair』でもう一つのギターを脳で補完しまうのも、意識せずとも根幹にはあの頃のBase Ball Bearがずっといるからだ。
でもそれ以上に、「3ピースってめちゃめちゃカッコいい!3ピースバンド最高!」と思えるのは、紛れもなく今の現在進行形のベボベが眩しいくらいに輝いて見えるからであり、3人各々極めてきた音で、身体をうねらせながら搔き鳴らすロックは確かに自分の胸に轟いた。

そしてここからライブは佳境を迎えると同時に、光を放ちまくる電波塔のセットが本領を発揮しながらも、武道館はライブハウス、そしてダンスホールへと化していく。
『すべては君のせいで』『「それって、for 誰?」part.1』といった、前回の武道館の頃にはなかったアプローチで作られた曲たちをさらに3ピースサウンドでアップデートしたアレンジで畳み掛け、さらにリズムを崩さずに『十字架You and I』へ突入していく。
この終盤の畳み掛けパートは本当にベボベのライブの醍醐味だが、近年は特に曲と曲との連続性が心地よく、特に『十字架~』では前回の武道館でもダンスパートがありその印象も強烈だったが、絶え間無く続くギターのカッティングに、声が出せないのが気にならないくらい身体が勝手にノッてしまう。

そしてすべての音が止み暗転した会場の中、"Aiyo ライツ、キャメラ、アクションで始まる僕らの次のセクション…"と、アカペラのラップからスタートするのは『The Cut』。
元々はRHYMESTERとのコラボ曲だし、この曲に限らず前回の日比谷ノンフィクションや武道館でも実に豪華なゲストたちを招いていたので今回も…という期待もあったけれど、こうした曲でさえも3人だけを貫くという姿勢は先述のMCとも重なってくる。
跳ねまくるリズムと突き刺さるラップの応酬に、気付いたら会場も自分のテンションも沸点を越えていた。

それでも"あがれあがれ"と手を緩めずさらに『Stairway Generation』へ。
もはや、まだ終わらないのか!というワクワクにも似たようなこのライブ終盤のハイライトは、今年2度にわたり対バンしているUNISON SQUARE GARDENと通じるものを感じる。
彼らについて以前Twitterのスペースで小出氏は、「ずっとライブしてるな~」と語っていたが、まさに今回のベボベも「ずっとライブしてるな~」である。
それは、とにかく音を鳴らすのが楽しくて楽しくて仕方ない、ロックに対する"永遠の片想い"を、"この恋は終わらない"ということを体現しているようだった。

しかし楽しい時間はあっという間で、それを惜しむかのような、泣くようなギターソロが掻き鳴らされるイントロから、"ドラマチックチック 止められそうにない…"と『ドラマチック』へ。
すると、バンドの演奏が始まった瞬間、\パーン!/と無数の銀テープが発射された。
それは、ここまで歩んできた20年間と、これからまだまだ続くベボベの旅を祝い称えるような祝砲のようだった。
自分もまたAメロから浸りながらこれまでのベボベとの日々を回顧し、サビではまた次へ次へと跳ねるようにひたすら高く高く、日の丸に向かって手を上げ続けた。

アンコール。
余韻に浸る客席をよそに、まだ暗転したままのステージに静かに登場するメンバーたち。
しかしそれに気付くや否や、皆一斉に立ち上がり、次の一音を待ち望む。
そして、掻き鳴らされたギターは『風来』のイントロ。
ツアーで各地を旅し続けることを歌った曲だが、「血のめぐりを固めないためには『同じ姿勢でいないこと』」という歌詞からもベボベはまだまだ続いていくこと、今回の武道館に向けて作られたロードマップにもあったように、ハイエースはこの先も走り続けていくことを予感させる宣言のように高らかに演奏された。

「アンコールありがとうございます!」とMCへ。
「なんとここで、ランオーバーが確定しました~!延滞料が発生しま~す!もう気にせずゆっくり喋っていいよってマネージャーが…笑」
すると割れんばかりの拍手で何故かこの日一番の盛り上がりを見せる会場(笑)

「いやぁ、楽しかった~!武道館、次は10年後と言わずまた近いうちに4回目やりたいですね!そう、さっきの『風来』という曲も元々は「C3」というアルバムを引っ提げてツアーを回ることを想って作った曲なんですけど中止になってしまい…。でも来年はその分たくさんライブしたいですね!アルバムも作りたいと思ってますし、ツアーが決まっております!」

と、ここでモニターには"TOUR 2023(仮)"の1つとして、3/8にZepp DiverCityでワンマンが開催されるというお知らせが映し出される。
もはやこうした節目のライブのアンコールで次のライブやツアーが発表されるというのは毎回ファンにとって嬉しい恒例の流れになっているし、「解散は無いですよね堀之内さん?」「解散はしません!」と、少し前に流れたらしい噂に対する不安も払拭させてくれる。

小出「じゃあ堀之内さん!」
堀之内「はいっ!」
小出「お前のよ!!」
堀之内「はぁいっ!!」
小出「ここ(胸に拳を当て)からのよ!!!」
堀之内「はぁーいっ!!!」
小出「魂の叫びをよ!!!!」
堀之内「はぁあーーいっ!!!!」
小出「聞かしてやれよ~~~!!!!!」

堀之内「ジェッジェジェジェジェジェジェジェジェジェジェネレーショーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!」

とアツすぎるやり取りから『夕方ジェネレーション』へ。
思えば前回の武道館はこの曲からライブがスタートしたけれど、そのときから音数は減ってしまっても、その場に渦巻いている空気はとても充実感に溢れていて、関根嬢もそれを噛み締めるようにステージを端から端まで歩いて手を振りながら演奏してくれた。

「どうもありがとうございました、Base Ball Bearでした!」
と、ベボベが20周年イヤーを締めくくる一番最後の曲として選んだのは、『ドライブ』。
20年間、バンドを続けてきた先に見えた一つの答え。
それはきっと、どんなことがあったとしても、不器用だとしても、飾らずに、肩肘張らずに、自分たちの心のまま進んで生きていけばいいじゃないかということなのかもしれない。
そうしていればやがてその先には、この日みたいな幸せな景色と出会えるときがくる。
会場全体の照明が点けられ明るくなった客席に向けて歌われた、"ちょっと愛しているよ"を、自分も一生忘れない宝物としてこれからも生きていきたいなと思った。

- Base Ball Bear 20th Anniversary
「(This Is The) Base Ball Bear」part.3
セットリスト -

01.17才
02.DIARY KEY
03.LOVE MATHEMATICS
04.GIRL FRIEND
05.LOVE LETTER FROM HEART BEAT
06.short hair
07.初恋
08.ポラリス
09.ホワイトワイライト
10.海へ
11.changes 
12.海になりたい part.3
13.すべては君のせいで
14.「それって、for 誰?」part.1
15.十字架You and I
16.The Cut
17.Stairway Generation
18.ドラマチック
en1.風来
en2.夕方ジェネレーション
en3.ドライブ

終わって振り返ってみれば、極めていつもと変わらない3人の演奏とMC。
だけど、武道館という神聖なステージと電波塔のセットが放つ光が彼らをいつも以上に輝かせてくれていて、ただただそれをずっと見つめていたい…と思ったら、演奏曲数を見返して驚くくらいあっという間だった。

ステージ上には3人だけだったけど、見渡せばぐるっと共にベボベを追いかけてきた同志たちがいるのがよく分かる武道館の会場。
そしてその外には、切磋琢磨したり憧れてきたたくさんのバンドや仲間たちからの祝福がこれでもか!と寄せられていた。

さらに終演後Twitterを開くと、ファンの方々から、ベボベに縁深いミュージシャンや芸能人の方まで、数え切れないほどたくさんの感想や3人のライブを称えるメッセージが溢れていた。
ベボベの音楽と共に生きてきた人たちがいて、ベボベと共にシーンを乗り越えてきた先輩たちや仲間たちがいて、ベボベの背中を見てこれからの時代を作っていこうとする人たちがいて。

特にKANA-BOONの鮪氏が、「この4人で、現在のKANA-BOONで武道館の舞台に立ちたい!!」と呟いていたのは目頭がアツくなった。
KANA-BOONもまた辛い別れや悲しみの数々がバンドを襲っていて、鮪氏はまたステージに戻ってこれるかどうか…というところまでいったこともあった。
それが今や、ベボベの武道館ライブを観て、目を輝かせるように夢を語っている。

チャットモンチーや赤い公園をはじめ、様々なバンドたちが繋いできたロックのバトンを受け継ぎながら武道館という舞台に立ち、またたくさんの人たちに希望を繋いでくれたBase Ball Bear。
無冠だろうと、そんなバンドを追いかけてこれたことが一番誇らしいし、気付いたら自分の中でもそんなベボベは一生手放したくない宝物になってたなと、改めて気付くことができた。

そして改めて、バンド結成21周年、おめでとうございます…!!!