2022/2/24 Base Ball Bear Tour「LIVE IN LIVE ~I HUB YOU (take)2~」w/UNISON SQUARE GARDEN
前回・前々回と、UNISON SQUARE GARDEN、Base Ball Bearの紹介記事を書いてきましたが、ついにその2組が邂逅した、2/24のZepp Hanedaでのライブについて。
この日は2年越しの夢だった。
2020年に発表された、ベボベの対バンツアー「LIVE IN LIVE ~I HUB YOU~」の第2弾。
2018年にもキュウソネコカミ、ペトロールズ、RHYMESTER、the pillowsを迎えて開催しており、そのどれもがとても素晴らしいライブだっただけに、このシリーズにユニゾンが呼ばれたときは、それはもう歓喜に沸きまくった。
何せベボベもユニゾンも、どちらもファンクラブに入っているほど、長くライブに通い続けている大好きなロックバンド。
その2組がついに相まみえるのだ。
他にも同時にKANA-BOON、the telephonesがゲストとして招かれていた。
しかし、2年前の3月、まだコロナが何なのかも全然よくわかっていなかった当時は、感染急拡大を受け、9月に延期をしながらも、最終的には敢えなく中止に…。
それでも、「いつか必ずリベンジする!」と言ってくれていたので、信じて待ち続けた。
そして2022年。
ついに2年越しに「LIVE IN LIVE ~I HUB YOU (take)2~」と改め、開催を発表。
本当に待ちに待った、嬉しいアナウンス。
その後ユニゾンは「Patrick Vegee」のツアーが残っていたので、
(1/23の高崎公演のライブレポ書いてます↓)
自分もそちらに参加しつつ、気持ちを高めながらいよいよ迎えた2/24。
平日だったので普通に仕事を何とか定時で納め、急いでZepp Hanedaへ。
この会場は以前にも訪れていたけど、23区内とはいえやや外れにあるので少しばかり遠く、最寄り駅の天空橋に着いたのが開演10分前とかなりギリギリになってしまった。
するとチケットがソールドアウトしていただけに会場はほぼ満席。
整理番号順とはいえ着席スタイルで、早く入場した人から自由に席を選んで座っていく形だったので、1Fのチケットを取っていた自分もかなり後方で何とか空席を見つけて座ることができたぐらいだった。
それでも、Zeppといえでもライブハウスなので、肉眼でロックバンドのライブを体感するには十分な距離だった。
そうこうしているうちに暗転し、SEの『絵の具』(イズミカワソラ)が流れ始める。
この瞬間は何度も経験しているだけに、ついユニゾンのワンマンライブに来たものだと錯覚してしまう。
ベボベ主催の対バンライブだという実感が持てないまま、3人がそれぞれのペースでゆっくり登場し、配置に着くと、一気にジャーン!と鳴らされた音に早速自分の頭が不意討ちを喰らい、それが『サイレンインザスパイ』と分かった瞬間、一気に気持ちも高ぶった。
何せ、ユニゾンのライブでもなかなか披露されない曲で、自分も前に聴いたのはおそらく2017年のthe pillows主催対バンライブ以来。
5枚目のアルバム「Catcher In The Spy」の1曲目ということで、冒頭で斎藤さんが\5枚目ーーーーー!!!!!/と叫ぶという内輪ネタも入った、かなりマイナーな曲である。
(この日もさりげなく叫んでいた。笑)
ゲストという立場でいきなりこういう曲をぶっ込んでくるか…という驚きと興奮でその瞬間は気付かなかったけれど、この曲の一番の歌い出しの歌詞は、
"ああ 青春が止まらない"
である。
これはまさに、青春ロックなどと称され、自らも"青春が終わって知った 青春は終わらないってこと"(『どうしよう』)と歌ったベボベのことだろうか。
本当にここ最近のユニゾンのセトリを見ていると、1曲目でメッセージを訴えてくるような選曲が多い気がする。
前回の「Patrick Vegee」での『Simple Simple Anecdote』、「LIVE (on the) SEAT」での『クローバー』、「fun time HOLIDAY ONLINE」での『Invisible Sensation』…挙げればキリがない。
そんな粋な選曲の後は間髪入れず、跳ねるリズムが楽しい『10% roll, 10% romance』、\最高ロマーン!/と貴雄が半ばシャウトにも似たコーラスを響かせる『オリオンをなぞる』を畳み掛ける。
しっかりとシングル曲も披露してベボベファンをエスコートするあたりは流石だが、「UNISON SQUARE GARDENです!呼んでくれてありがとうございます!」としか言わずMCを挟まない斎藤さんは通常運転だし、一方で原曲には無い手数を炸裂させる貴雄のドラムはいつも以上に気合いに満ちていた気がした。
そしてさらに同期のピアノが即座に始まり『mix juiceのいうとおり』へ移ると、途中で貴雄がスタッフから給水ボトルで水を飲ませてもらいながらドラムを叩く場面が。
リアルに"丁寧にお水をあげなきゃ"状態になっていたが、それだけ前のめりに次へ次へ…と行こうとしていたのだろうか。
(ライブ中、同期の音楽を流すスイッチは貴雄が握っていると言われている。)
こうして際限ない勢いで曲を畳み掛けてくる様子からは、同世代のベボベに対して「負けませんよ!」という気合いのようなものも感じるし、その時間だけは"昨日の理想が今日砕けちゃっても" "イライラも後悔もまるごとミックスジュース"と歌詞にある通り、つらい日常から自分たちを遠ざけて楽しい時間を届けてくれているように感じて、グッとくる。
無論、ユニゾンにはそんな気はなく、ただただかっこよくロックバンドのステージをお見舞いするぜ!としか思っていないかもしれないが。
案の定、続けて3人が各々ソロプレイを展開するセッションで魅せ、『フィクションフリーククライシス』へ。
"SF中毒です"から始まって、曲の途中からはリズムが急変し、\自意識がクライシス迷子!/と7回も連呼する、未だに理解不能な曲を投げてくるので、ベボベファンは面食らったかもしれない…(笑)
続く『シューゲイザースピーカー』も今回、象徴的だと感じた曲の一つで、Aメロで斎藤さんは一切ギターを弾かずにリズム隊の音だけで歌うのだけれど、ここに自分は近年、できるだけ音を削いでソリッドな3ピースサウンドで演奏するベボベが重なって見えた。
実際、関根嬢や堀くんのベースとドラムだけで小出氏が歌ったりラップをする場面も多く見受けられ、そんなベボベに対するユニゾンからのリスペクトのようなものをこの曲から勝手に感じてしまう。
そして田淵の動きのキレが増しステージを縦横無尽に動き回る『世界はファンシー』でまた観客を圧倒する。
常人には真似できない言葉の畳み掛けを歌いこなしながら演奏する斎藤さんのギターはまさに"fantastic guitar"だし、そのギターソロと向き合うように対峙しまた複雑かつ太いベースを鳴らしまくる田淵の、このバチバチの高速セッションには見入ってしまう。
フロアの熱も上がりいよいよクライマックスというところで、『シュガーソングとビターステップ』へ。
ここでは貴雄がフードを顔を覆うように目深に被り、半ば目隠し状態でドラムを叩くという超人プレイで魅せる。
ここまででこの日一番手が上がり皆が跳ねるような、もはやユニゾンファン内外でも広く知られるヒット曲ですら、原曲を越えるプレイをしてくるユニゾン。
そんな彼らが「ラストッ!」と最後の曲に選んだのは『フルカラープログラム』だ。
ここでは斎藤さんがこの日一番と言っていいほど前に出て、いつも以上に力強くギターを弾いていたのが印象的だった。
そして大サビ前、ここではギターのみならずベースもドラムもボリュームを落とし、斎藤さんの歌だけを際立たせて、
"完全無欠のロックンロールを"
と叫んだ瞬間、ギタードラムベースが爆発する大サビ、近年のライブではあまりやらない、配信ライブ「LIVE (in the) HOUSE」でのパフォーマンス(下記動画)を彷彿とさせる緩急の付け方で、この瞬間の気持ちよさ、爽快感と感動、もうたまらない。
そしてまたこの選曲やアレンジにも、『シューゲイザースピーカー』のときと同じような、ベボベへのリスペクトを感じざるを得なかった。
- 2/24 Base Ball Bear Tour「LIVE IN LIVE ~I HUB YOU (take)2~」UNISON SQUARE GARDEN セットリスト -
01.サイレンインザスパイ
02.10% roll, 10% romance
03.オリオンをなぞる
04.mix juiceのいうとおり
05.フィクションフリーククライシス
06.シューゲイザースピーカー
07.世界はファンシー
08.シュガーソングとビターステップ
09.フルカラープログラム
斎藤さんが去り際、「次はBase Ball Bearです!」と言ってくれたのがまた粋で、いよいよ次は同じステージにベボベが…と気持ちも高まる一方、ユニゾンの圧倒的なライブを見せつけられた直後ではまだ半分実感が沸かない。
放心するような興奮と余韻に浸っていたら、あっという間にまた暗転し、XTCの『Making Plans for Nigel』が流れ始めると、また違った種類の興奮が押し寄せてくる。
そして露になったステージ中央のドラムセットに掛けられたベボベのタオルを見ると安心感も感じるし、気合いMAXな様子で出てくる堀くん、手を振るように歩いてくる関根嬢と、ゆっくり会釈するように出てくる小出氏、そしてそんな3人が集まり打ち合わせるような、いつもと変わらない儀式のような瞬間も、ああ、やっぱり自分はベボベのライブを観に来たんだなぁと思わせてくれる。
この時点で小出氏はドラムセットの縁に足を掛けて登ったり降りたりをしていたので、既に彼からも気合いが溢れていたように感じた。
そしてドラムのカウントとともに『17才』でライブがスタート。
思えばこれが自分にとって2022年1発目のベボベとなったわけだけれど、昨年も最初にライブを観たJAPAN JAMでの1曲目がこの曲だったので、もはや始まりの曲といえばコレ!という感じになっている。
それでも、サビで\パンッ!パンッ!/と手拍子できるのは、コロナ禍になってもできる数少ないこちらからのリアクションの一つなので、何度この曲が来ても嬉しい。
そして「こんばんはBase Ball Bearです」と、ベボベもまた間髪入れずに次のイントロを鳴らしたのは最新曲『DIARY KEY』。
ユニゾンの『シューゲイザースピーカー』と同様、Aメロではベースとドラムしか鳴っていないが、それでも物足りなさを感じさせない関根嬢や堀くんの演奏の骨太さはめちゃめちゃ頼もしいし、ユニゾンにも一切引けをとっていない。
曲が終わり、挨拶とともにMCに突入するのが早速ユニゾンとは違うところだけれど、
小出「UNISON SQUARE GARDENはリハから演奏を観させてもらってましたが本当に素晴らしいバンドですね!素晴らしかったー!!(袖に向かって叫ぶ。笑)
しかし、キャリアも歳も近いのに、こんなにも違うバンドになるとは…。ユニゾンは音がわーっと凝縮されていて、こう、わーっと、NARUTOでいう…(両手で空気を捏ねるような仕草)」
堀之内「"螺旋丸"ね!なんでNARUTOで例えんだよ!(笑)」
小出「しかもユニゾンは一切喋らないよね(笑)。ユニゾンファンの皆さんからしたら、"ベボベのボーカル喋りすぎワロタwww"とか、"ベボベのMC長すぎて草"とかって書かれるんだろうな…。エゴサするぞ!」
といつものワンマンと変わらない空気感で笑いを交えつつ、ユニゾンとベボベのライブスタイルの違いについて触れる。
「片や、我々ははみ出しまくりの拡散型バンド。どんどんはみ出していこうぜ!」
と続けて披露されたのは『ポラリス』。
"3"にまつわるワードや3人のルーツが歌詞に散りばめられた、もはや3ピースとなったベボベの自己紹介ソングだけれど、2番では堀くん、3番では関根嬢がメインボーカルを務めるという既存の枠にとらわれない曲の構成は、まさにはみ出しまくっている。
しかし歌詞に"ギタードラムベース 輝くフレーズ"とあるように、3人がソロプレイを披露しながらそれらが一体となる力強いサウンドを展開し、あくまで3ピースバンドであることを見せつけてくれてもいた。
"赤青黄色で ゆれるフロアーで"のところでZepp Hanedaの照明も実際に赤青黄色に点滅しており、3人の演奏をさらに鼓舞してくれていたのも心強かった。
続く『不思議な夜』でもそんな照明が曲の幻想的な雰囲気を演出してくれていたし、まさに"ああ 青春が止まらない"と言いたくなるような、いつ聴いても胸が高鳴るようなその歌詞は、バンドが4ピースから3ピースへと形を変えようとも揺るがないベボベの魅力の一つだと改めて実感させられる。
そして続く『short hair』ではまた演奏面で、リードギターが無くなってもその隙間をうまく縫うようなサウンドで聴かせることによって、3ピースでも4人時代の曲が褪せることはないことを示してくれた。
そんな3ピースサウンドをさらに極めたような『プールサイダー』では、"きらきらに飛び込め it's okay 楽しもうよ いまを"という歌詞がそのまま演奏に乗ったような跳ねるサウンドが心地よく、思わず聴いているこちらの身体も跳ねてしまうくらい楽しい。
この曲の背景には、このコロナ禍、もはや何が起こるかもわからないような鬱屈した状況なので、もうかつてプールサイドの端っこで皆が楽しむ様子を眺めていたときのような自分とは決別し、楽しそうなもの、興味を持ったものにはどんどん飛び込んでいこう!という小出氏の心境の変化があり、そのマインドを持ち続けてくれていたからこそ、この対バンのリベンジが実現したのかもなぁと思うと、感慨深い。
ここで再びMCパートでユニゾンの話題に。
小出「あれだけ情報量の多い曲をライブでやり続ける体力、もはやアスリートですよね。そして好きなんでしょうね、ああいった詰め込みまくりの曲たちが。そして元気!普段からみんな絶対明るいでしょ、田淵くんめっちゃ動くし(笑)
もうすぐ我々も40代に差し掛かるわけですが、ユニゾンは凄いよ。凄い!(袖に向かって…)」
関根「でもユニゾンを見てると、私もいくら歳をとっても、キッズみたいなライブをしたいなって思う!」
小出「じゃあ関根も田淵くんみたいに…(笑)
でも真面目な話、こんなにも違うバンドでも、一つ共通しているのは"ロック憧れ"があるところだと思うんです。あれだけのライブをやりながらずっと続けてこれているのも、ロックバンドが好きな気持ちがずっと持続しているから。」
そう言っておもむろにギターリフを静かに始めたのは『Tabibito In The Dark』。
思えばかつて、まだ4人時代であったけれど、いつかの「日比谷ノンフィクション」にてこの曲を演奏する前にも、"同期を入れたらもっとかっこよくなると思いますが、僕らはやりません。なぜなら僕らはロックバンドだから。"と言っていたのがフラッシュバックした。
3人になってもブレずにそれを貫き続けながら進化させて、ギタードラムベースと歌だけで踊らせてくれるベボベ。
サビに入る直前のタメをリバーブを効かせながら長くアレンジしていて、それが一気に爆発した瞬間の気持ちよさはまた先述の『フルカラープログラム』に通じるものがあり、まさに"変幻自在"かつ"完全無欠のロックンロール"だ。
ユニゾンが鳴らすロックンロールを聴いているときも、理由もなく身体が動き、何も考えずとも気持ちが晴れるくらい楽しくなるけれど、ベボベのこの曲はまさにそんな気持ちを最大限に表してくれている。
そこにはまた、『mix juiceのいうとおり』と似たものを感じた。
そうして踊り出したフロアの熱を高めるように堀くんがシャウトして始まった『十字架You and I』では心地よいギターのカッティングがさらに身体を揺らしてくる。
こうして音をミュートさせながら弾く手法は斎藤さんはやらないので、プレイ1つとってもベボベとユニゾンの違いが見えて面白い。
曲が終わり音がピタっと止んで照明も落ちると、またMCに入るのか、何が始まるのか…という緊張感も走るけれど、突然、"Aiyo ライツ、キャメラ、アクションで始まる僕らの次のセクション…"と、無音の中なんと小出氏が一人アカペラでラップをし始めた。
リリースされた当時の音源では4人時代のベボベとRHYMESTERとのコラボということもあり、7人で始まったこの『The Cut』。
それがいつしか3人としてのキャリアをスタートさせた直後の15周年ツアーではサポートギターの弓木さんを入れた4人のみで演奏されただけでも驚きだったけれど、完全なる3ピースとなってからは3人だけで、そして今回はついに冒頭を1人だけで始めるというアレンジに。
もちろん途中からリズム隊も加わって力を増していくのだけど、この音をどんどん削ぎ落としてシャープな形を追求していくスタイルはもはや感動すらあり、そして最後にはそれが興奮に変わり、気付いたら飛び跳ねている自分がいた。
そしてあっという間に「Base Ball Bearでした!」とラストを飾るのは『ドラマチック』。
最近ではこの曲でライブ本編を締めくくることが多いけれど、冒頭で感じたような気合いがそのまま持続しているかのように飛び跳ねながらギターを弾く小出氏の姿はいつもと少し違って見えて、それだけでも今日は特別な夜だと感じさせてくれた。
そんな余韻が続くアンコール。
まだこのツアーもKANA-BOONとの振替公演を残しているけれど、さっそく次なるベボベのライブとして、日比谷野音での恒例ライブシリーズ「日比谷ノンフィクションⅨ」の開催が発表された。
もう9回目になるのは驚きだけど、3年ぶりの日比谷ノンフィクション。
会場が歓喜に沸いていたのは、声は出せない状況ながらも拍手やガッツポーズで溢れていたのを見て明らかだった。
そしてその前にもユニゾン主催の対バンツアー「fun time HOLIDAY 8」の仙台公演への出演も控えている。
また袖に向かって「対バン呼んでくれてありがとー!」と叫びながら、そんな彼らとユニフォーム交換のような気持ちで、今回はユニゾンの曲をカバーします!という嬉しいサプライズ。
この「I HUB YOU」シリーズでは対バン相手とコラボするのが恒例な中、ユニゾンは3人のステージを極めるバンドだということを知っていたので、流石にコラボは無いだろうと思っていたけれど、これはこれで両バンドのファンを兼ねる者としてめちゃめちゃ嬉しいこと。
しかしまずボーカルの声の高さが圧倒的に違うため想像がつかないのだけれど、小出氏曰く、ユニゾンは難しいことをしまくっているので最初からユニゾンと同じことをしようとは思わなかったし、曲のオイシイところだけを抽出してベボベ流にガチアレンジしたとのこと(笑)
「トリビュートアルバム出すときは絶対に呼べよな!」とまた袖に向かって叫んで笑いを誘いながらも、そこには自信が満ち溢れている。
「ユニゾンのライブスタイルに衝撃を受けたのがこの曲のライブ映像で、田淵くんはもはやベースを弾かずに両手を広げてたからね(笑)」
というエピソードも挟みながら、「それでは『ライドオンタイム』という曲をカバーさせていただきます…。」
と始まったその曲は、一聴すると自分の知っている『ライドオンタイム』とは別物で、だけどサビでリズム隊がコーラスするところであったりと、随所に原曲のエッセンスもちゃんと残しながらのアレンジ。
だんだんと「大好きなロックバンドが大好きなロックバンドの曲をカバーしている」という紛れもない事実が迫ってきて、最後にはもう「最高~~~!!!」という感想しか無かった。
改めて振り返ってみても、ユニゾンはこの曲をライブで演奏するとロケットのように原曲よりテンポがかなり速くなるのだが、ベボベは逆にゆったりとキーも下げながら演奏していて、宇宙を遊覧するUFOのような感じだろうか。
原曲には無いギターリフも印象的だった。
「ユニゾンに勝つためには、田淵くんがスピーカーを飛び越えながら演奏するように、俺らもスピーカー飛び越えるしかないか…(笑)」なんて冗談交じりに話していたけれど、もちろん勝ち負けではなく、自分たちの曲もどんどん進化させていっているだけに、同じ曲でも「ロケットとUFO」と、こうも違った印象に感じさせてくれるベボベのアレンジ力ってやっぱり凄いな!と唸るカバーだった。
そして"最後は『祭りのあとで』…"と結局ロケットのようにぶち上げて締めくくるのもまたベボベであり、自分も明日の仕事も何のその!と言わんばかりに拳を振り上げまくった。
- 2/24 Base Ball Bear Tour「LIVE IN LIVE ~I HUB YOU (take)2~」
Base Ball Bear セットリスト -
01.17才
02.DIARY KEY
03.ポラリス
04.不思議な夜
05.short hair
06.プールサイダー
07.Tabibito In The Dark
08.十字架 You and I
09.The Cut
10.ドラマチック
en1.ライドオンタイム(UNISON SQUARE GARDENのカバー)
en2.祭りのあと
何が最高かって、ユニゾンもベボベも、互いに今最大限にかっこいいロックバンドのステージを繰り広げてくれて、コラボこそ無くとも、ユニゾンは演奏で、ベボベはMCやカバーで互いをリスペクトし合う、これこそが対バンだ!というライブが観られたこと。
本当に夢みたいな時間だった。
同期も駆使しながら圧倒的な手数で畳み掛けるユニゾンと、同期を一切使わない分3ピースの枠にとらわれずにラップや3人のボーカル、そしてMCで楽しませてくれるベボベ。
まったくスタイルが違う両者にも、共通して"ロック憧れ"があって、そんなバンドが掻き鳴らしてくれる音がこれからを生きる糧になるんだよ!と強く再実感した夜だった。
ありがとう、UNISON SQUARE GARDEN、Base Ball Bear。
そして次は4/10、今度はこちらも恒例の対バン企画「fun time HOLIDAY」にてユニゾンがホストとなって仙台にベボベを招く番。
自分は以前名古屋にて、イズミカワソラさん(ユニゾンの登場SE『絵の具』を歌っている方!)ゲストの「fun time HOLIDAY 7」に参加したのが最初だったので、まさか個人的に2回目のシリーズ参加がベボベになるとは夢にも思っていなかった。
ユニゾンはこうした自身主催の対バンツアーでもあまりコラボをしたりというイメージが無い。
とはいえ改めて、運良く映像化されたftH7のライブを観てみると、ソラさんに寄せた選曲(ソラさんの曲が元となった『等身大の地球』やトリビュートでカバーしてくれた『ガリレオのショーケース』、逆にトリビュートでカバーした『サイボーグ99%』)が意外にも多かった。
つい先日行われた女王蜂との配信対バンライブ「fun time COUNTDOWN 2021-2022」でも、女王蜂の『Introduction』のイントロをオマージュしたギターソロを弾いていたので、普段はブレずに媚びずに自分たちがカッコいいと思うロックバンドのライブをやるユニゾンが、今回のユニフォーム交換のお返しにベボベの曲をカバーするなんてことも、あながちあり得なくは無いのかも…と期待してしまう。
ベボベもまた、袖で控えるユニゾンに「おーい、今からカバーするぞー!」と、『ライドオンタイム』の再演をぜひ!(笑)
せっかくの素晴らしいガチアレンジだったので、今回限りというのはもったいない。
両バンドの今年の対バンツアーのラインナップを見ても、こうして互いが互いをゲストに呼びあっている相思相愛は唯一、この2組だけ。
予想が当たっても外れても、また特別な夜になることはきっと間違いない。