見出し画像

荒野を走る兵、B'z

8月1日に突如として発表された、「B'z presents UNITE # 01」。
なんと、B'zがMr.Children、GLAYとそれぞれ共演する対バンで2年ぶりの有観客ライブをするという驚愕の内容だった…。

いずれも30年前後のキャリアを重ねながら今も尚、日本の音楽シーンのトップを走り続けているグループだ。
特にB'zとミスチルを学生時代から今もずっと聴き続け、2年前まで両者のライブに行き続けていた自分にとっては本当に夢のような話。
この対談がYouTubeで公開されただけでもめちゃめちゃ興奮したので、今回の発表はまぁ死ぬほどハチャメチャに興奮した。

この2組の共演が観られるプラチナチケットは流石に全ての抽選に敗れ手に入らなかったけど、後日配信もされるというから本当に嬉しい。
ついにこの2組が相まみえるところを観られるのかと。

でもいつかはリアルに現場で目撃してみたい…。
そんな夢の共演が叶ったのも、それぞれがずっと歩みを止めないどころか、走り続けてくれているからだし、そうやってこれからも続けていてくれたら、やがては自分も目の当たりにすることができるかもしれない。

そこで今回は、8月25日にリリースされたB'zの映像作品について。
以前2020年に観たライブをまとめたnoteから改めてレポを引用する形で振り返りながら、改めて未だにこの音楽シーンという荒野を30年以上にわたり走り続ける、B'zという"兵"にスポットを当てます。

1988~2020年の楽曲を5つの時代に分け、毎週土曜日、各時代ごとにセトリを組んでZepp Hanedaで行ったライブを5週連続で配信したライブ、B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-。
つまり5回ともセトリが一曲も被らず全部違うということである。
最初に発表されたときは、凄いこと言ってるよこの人達…と大変なコンセプトに驚いたが、毎回見せ方も違って工夫されていたのが本当に凄かった。

10/31に配信されたDay1は1988~1993年の曲で構成され、デビュー曲『だからその手を離して』からスタートし、『BLOWIN'』や『恋心(KOI-GOKORO)』『ZERO』といったライブ定番曲から、『星降る夜に騒ごう』『快楽の部屋』といった20数年ぶりに演奏された超レア曲まで、興奮と驚きで盛り沢山な初日となった。

客席となるエリアもステージにして炎をくべたり、別セットを作って弾き語りコーナーを設けたり、皆で合唱する曲は過去のライブ映像から観客の声を拾ったりと、随所に趣向も凝らされていた。

終盤の『RUN』や『裸足の女神』はこんなご時世でも生きている自分達を讃えてくれているようだったし、稲葉さんはパンツに、松本さんはギターに、各々"PCR"と書かれたステッカーを貼っていて、検査を経て万全の体制で臨むプロ意識と、コロナには負けないぜ!という強い意志を感じさせてくれた。

11/7配信のDay2は、1994年~1998年までの曲でセトリを構成。

\プルルルルル…/\ガチャ/「ハロー?」

もうこのオープニングですべてを悟って発狂した。
「もちろん今でもバリバリプレイしてるよ、さらに進化してて最高だぜ!30年以上続いてるバンドで、B'zっていうんだけど…」と内容も2020年ver.にアップデートされた通話が終わると、『LOVE IS DEAD』でライブがスタート。
そう、これは1994年のアルバム「The 7th Blues」Disc1一曲目の完全再現だったのだ!
曲の前に、固定電話の着信音が鳴り、外人どうしの通話が聞こえてくるというもの。
長年のファンなら垂涎の始まり方だろうが、切なくて女々しい歌詞がたまらない『YOU & I』やこれぞ90年代サウンド!な郷愁感たっぷりな『夢見が丘』と次々に名曲が投下されていくので油断ならない。

『love me, I love you』でZepp Haneda中を歩き回りながら歌って、感染対策をしなければならないこの状況を皮肉るようなシーンもあったり、『もうかりまっか』で途中からコントが始まったり、春にリモート演奏動画も話題になった『HOME』でステイホームの話をしたり…。
この日もコロナ禍の配信ライブならではの演出が盛りだくさんだった。

11/14配信のDay3は、1999年~2003年の曲たち。
この5ERASでは、海外のサポートメンバーを迎えた普段のツアーと違い、オールジャパンのサポートメンバーでライブを届けてくれているのだけど、日によってメンバーが変わっていて、この日も約20年ぶりにDr:黒瀬氏、Ba:満園氏がB'zのサポートに参加。

この日はレア曲ラッシュなDay1・2とうって変わって、『ギリギリchop』を皮切りにシングル曲を多目に畳み掛ける王道セトリだったが、それだけにLIVE-GYM感がグッと増して、特に久々にB'zでプレイした先述お二人のテンションがまぁ最高で。
周りをスクリーンに囲まれてメンバー全員が向かい合い、ビル群や夜景、過去のライブ映像の観客たちをバックに、『juice』ではしゃぐようにコール&レスポンスしながら演奏する様はマジでライブ感抜群でめちゃめちゃ楽しそうだった。

そんな中、終盤で『ONE』『Brotherhood』を畳み掛けられた頃にはもう…。
「ぜったい会いましょう」「生きていくだけだよ」というフレーズは、今このご時世を何とか生きている自分らファンへのメッセージにしか聞こえなくてグッときた。

11/21配信のDay4は、2004年~2009年の曲たち。
この日もシングル曲を中心にひたすら畳み掛けてくるセトリで、アツかったDay3のライブ感をそのまま引き継いだものだった。

しかしやはり初っぱなからライブで滅多にやらない『ARIGATO』からライブが始まるスペシャル感はたまらないし、『ゆるぎないものひとつ』はアコースティックver.でしっとりと始まったり、今やウルトラソウルに次ぐアンセムの『イチブトゼンブ』でも、イントロで増田さんが名探偵コナンのテーマ曲をさりげなく混ぜてきたりと、随所でアレンジも。

そして『永遠の翼』『OCEAN』『衝動』あたりは、思えばこの辺の時代からリアルタイムでB'zを聴き始めた自分にとってドンピシャで、ひたすら画面の前で懐かしんだ。

終盤『BANZAI』では、Day3の「皆で盛り上がっちゃいましょー!」と言わんばかりの空気感がスタッフの皆にまで拡大していたのが最高で、一層ライブ感が増していく中でのラスト、『いつかまたここで』は、生きていればまたライブで会える…という希望を乗せて歌ってくれているようで、めちゃめちゃ沁みた。

最終日・11/28に配信されたDay5は、2011年~2020年、つまり最新のB'zの曲たちで届けられた。
巨大なスクリーンが頭上に斜めに掛かるカッコいいセットが露になり、『GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-』で徐々に高まっていく始まり方。
そして『さよなら傷だらけの日々よ』で一気にライブのギアが入るのだが、最新モードのB'zを見せる最終日とあってカメラワークもドローンを駆使し、まさにB'zの周囲を目まぐるしくグライドしていく様にテンションもどんどん上がっていった。

『HEAT』も、このとき発売されたベストアルバムのツアーが自分的・初LIVE-GYMだったのでエモさ爆発で嬉しかったし、『マジェスティック』や『WOLF』では逆に、直近で参戦した2019年「NEW LOVE」のツアーも蘇った。

そして"-8820-"とサブタイトルにもあるので、当然2020年の曲=新曲(『YES YES YES』)も披露され、この時代でもB'zは止まらず走り続けてくれていることを証明してくれた。
終盤『C'mon』『兵、走る』でも、「もう一度笑いあおう」「ゴールはここじゃないまだ終わりじゃない」という力強いメッセージが、そんなB'zの今とこれからを物語ってくれているようだった。

あっという間に駆け抜けていった、Day1~Day5の5週間・全5回毎回セトリの違う配信ライブ。
事前収録とはいえノーカットの一発撮りが徹底されていて、「毎回ツアー初日がやってくる感じ」という増田さんの言葉からも大変さが伝わってきたけど、おかげでこちらも毎回Zepp Hanedaの最前でB'zを観ているようなライブ感を味わえた。

稲葉さんも、毎回観てくれている視聴者の存在を感じてくれていたようで、そんな意識で歌を届けようとしてくれる中で「無観客ライブは無観客じゃなかった」と気付けたと言ってくれた。
最初は「90年代B'zこそ至高」なんて思っていた自分だけど、常に新たな試みで道を開きながら、ずっと走り続けてくれているB'zはどの時代もずっとカッコいいんだなと気付くことができた。

こうして改めて振り返ってみると、改めて5つの時代すべてにおいて褪せない名曲が揃っているからこそ、1曲も被りの無いセットリストを成立させることができるんだろうし、そんな曲たちを生み出し続け、また5日間とも演出やセットも全て変えて臨む、稲葉さん・松本さんの探求心は、一体どこから来るんだろうか。

それは先述もしたけどやっぱり、ファンの存在が原動力になってくれているからに他ならないと、自分で書くのも気が引けるが、そう思う。
無観客ライブを事前収録しているときですら、自分たちに話しかけるようにMCをしたり、煽って盛り上げてくれているのを見れば、痛いほど伝わってくる。

思えば自分がこれまで参加してきたライブやライブ映像のMCでも、特にPleasureのような節目となるタイミングでことあるごとに、「あなたたちが走り続けるための原動力です」と言ってくれていたのを思い出す。

そして追加されたドキュメンタリー映像も観て改めて、無観客の配信ライブですら、PCR検査のスタッフさんを設備や機器ごと会場に呼び、その場で検査する徹底ぶりに驚いた。
そこまでしてでも、最高の状態でライブを届けようとしてくれていたのかと、改めて胸が熱くなる。

そして全く衰えを知らない2人のバイタリティーと、進化し続ける歌唱力、演奏力。
Day2の『love me, I love you』で、Zepp Haneda中を歩き回りながら一切息を切らさないで歌う稲葉さんには改めてぶったまげた。
歌いながら階段を登り切った後、サビ前のインターバルでも休まず「ヘイッ!」と叫んでるの見て、いやいや、嘘だろ………と(笑)

そんな稲葉さんよりもさらに4つも歳上で、今年還暦を迎えた松本さんも、未だに変わらずどっしりと構えて、時折ダイナミックなギタープレイを見せてくれる。

そんな2人を観ていたらまだまだ希望が湧いてくるし、同様にミスチルもまだまだ続いていくんじゃないかと嬉しくなる。
今はこんな世の中の状況だけど、きっとそんな彼らと共に自分も歩みを止めずに走り続けていたら、また彼らがUNITEする瞬間に立ち会えるはず。