気付いたら自分の部屋がお祭り会場だった

気付いたらシリーズものみたいになってるけど、Base Ball Bearの配信ライブについて、3回目のnote。

前回の「LIVE IN LIVE ~(IN YOUR) HOME PARTY~」の記事で、2021年1月11日にようやく現場に観客を入れてのライブ開催が発表されたと書いたが、その後無情にも、コロナの感染再拡大により、配信のみでの開催となってしまった。

やっとベボベと久しぶりの再会を果たせると思っていたから、流石に落ち込んだ。
だけど、「配信でも皆さんが観てくださる以上、それは紛れもなく有観客」「2021年を良い年にしたいという思いに変わりはなく、祭りというタイトルにふさわしいライブにしたい」といった小出氏のコメントを読んで、下を向いてばかりはいられないなと、配信を楽しみに待つことにした。

そして年が明け、2021年。
とうとう都市圏では再び緊急事態宣言が出され、依然として予断を許さない状況が続いているけれど、配信ライブ前日、一筋の光が差し込んだような嬉しい一報が入る。

新曲『ドライブ』が、この配信ライブ当日に配信され、しかも「モヤモヤさまぁ~ず2」のエンディングテーマ曲になるというもの。
自分も度々地元が紹介される度に観ていたりと好きな番組だったし、堀くんもさまぁ~ずの大ファン。
その上で日曜日の夜、お茶の間で皆が観るさまぁ~ずの番組にベボベの曲が使われるとあって、ファンとメンバーの双方にとって、新年早々テンション爆上がり案件!

実際、発表その日の夜に番組の放送があり、配信に先駆けて曲を聴くことができたけれど、モヤさまのゆるりとした旅の雰囲気にぴったりな優しい曲調だった。

そして、いよいよ日を跨いで配信開始。
同時にMVも解禁され、ベボベには珍しいレコーディング風景とともに曲を聴くと、こんな時代でもBase Ball Bearの3人が音を鳴らし続けてくれているという事実をまざまざと幸せに感じさせられた。
最後の劇的なアウトロとMVの衝撃展開にもまぁやられました。笑

そんな、まさしく前夜祭のようなハッピーな1日を経て、いよいよ配信ライブ当日。
新年一発目のお祭りということで、普段は酒を飲まない(飲めない)自分も、おつまみと一緒に檸檬堂とビールを用意したりなんかして、画面の前にスタンバった。

この日も既にチャットが飛び交う中、いざ配信が始まると、金屏風や門松が据えられたセットに、スーツ姿やパンツスタイルといった正装で座っている3人の姿が。
いつもと違った始まり方で不思議な空気になり、笑いがこぼれる中、「新年、あけましておめでとうございまーす!」と挨拶からスタート。

早速そんな空気を作り出したスタッフやメンバーの格好をいじり合うトークから始まるユルさは、やっぱり2021年も通常運転でなんだか安心する。笑

そしてZepp DiverCityのステージに移動し、景気よく!と一曲目は『ポラリス』からスタート。
今や3ピースバンド・Base Ball Bearの代表曲であるこの曲は確かに、令和3年の幕開けにふさわしい。
自分も個人的にはそんな令和3年に30歳を迎えるとあって、実は元旦に一番最初にiPodで聴いた曲もこの曲である。

そんなシンパシーも嬉しく感じながら、祝砲のように鳴り響く"ギタードラムベース 輝くフレーズ"に胸を高鳴らせ、続く『すべては君のせいで』でさらに心が♯(シャープ)していく。
昨年の「LIVE IN LIVE ~(IN YOUR) HOME~」と同じアレンジで、本来は同期も入ったこの曲ですら3ピースで完結させてしまうベボベの無敵感。

そんな3人の、隙間も活かしたソリッドなサウンドと、だからこそ歌詞が一つ一つ、砂をこぼさぬように丁寧に手渡されていくように聞こえる『いまは僕の目を見て』がより綺麗に響いてくる。

でもMCになると、普段は半袖の堀くんもジャケットを着ている姿が新鮮だな~、ポケットチーフが邪魔だな~、"どうせ"最後は椅子に昇るんだから、そのときにハンカチ投げてよ~、とユルくなるこのギャップはマジでなんなんだろう…(笑)

ベボベもちょうど結成20周年を迎えるので、今年でバンド的にも二十歳になるが、この日、1月11日は成人の日。
そんな日にちなんで…と披露されたのは、なんとインディーズ曲『メタモルフォーゼ真っ最中』。
恐らく演奏されるのはかなり久しぶりで、自分もライブ映像は観たことがあったが、配信とはいえリアルタイムに演奏されているところを目撃したのは初めてだ。

日に日に心も身体も変化していく、まさに"メタモルフォーゼ真っ最中"な若者の恋模様を疾走感あふれる音で走らせていくこの曲は、20年間ずっと進化を続けてきたベボベが歌うからこそ響くし、二十歳を迎え、これからまたさらに変わっていく新成人にもぴったりかもしれない。

アウトロから間髪入れずにドラムがリズムを刻み続け、曲は『short hair』へ。
"変わり続ける君を、変わらず見ていたいよ"という歌詞も、こうした曲の並びで聴いていると、また前曲のアンサーソングのように聞こえてくる。

続けてGuitar! Drum! Bass! Tourぶりの『Stairway Generation』、正装に見合う大人なサウンドが映える『「それって、for 誰?」part.1』と、次々とパワーのある歴代のシングル曲たちを畳み掛け、久しぶりのライブでも一切衰えないバンドの地肩を見せつけてくれた。

その後のMCではいよいよ『ドライブ』の話に。
なんでもこの曲、お蔵入りもあり得たようで、堀くんと関根嬢の猛プッシュで日の目を見ることになったというから驚きだ。
小出氏的には「もっと複雑なことがやりたかった」とのことで新たなアイデアを捻り出そうとしていたようだけど、「いや良いのあるじゃん」「シンプルなのでいいんだよ」という2人の言葉に後押しされ、『ドライブ』配信シングル化に至ったという。

ベボベは小出氏の作詞作曲が牽引している部分が大きく見えがちだが、ここ近年は、特に3ピースとなってからは、リズム隊の2人が両脇からずっしり支えてくれている感じが凄くグッとくる。
小出氏がトーク中にピックを落としてしまったときも、「いいよ話し続けて」とフォローする、そんなさりげない部分からさえも、今の3人の均等な関係性が見てとれて、バンドっていいなと改めて思う。

ちなみに先ほど紹介した『ドライブ』MVのレコーディング風景は、かつてベボベのサポートギターを務めてくれたフルカワユタカ氏とコラボした『コトバとオト』のMVから着想を得たらしい。
加えて衝撃のラストシーンも小出氏発案。
当日に聞かされた堀くん関根嬢もかなり驚いたとのことだが、たしかに彼の柄にはないアイデアだ。

そんな『ドライブ』から、いよいよライブはハイライトへ。
実際に演奏で聴くと、"生きている 音がする"という歌詞とともに、ベボベが音を鳴らしてくれているという実感がより強く湧いてきて、あのエモーショナルなアウトロも込み上げるものがある。

そして、続けて『新呼吸』へ。
こちらも昨年の「LIVE IN LIVE ~(IN YOUR) HOME~」で初めて3ピースver.が披露されたが、徐々にアップテンポになり開けていく展開は一切迫力を損なっておらず、2021年こそは良い年にしたいんだ!という気概が演奏に乗っかって全力で畳み掛けてくるようだった。

そんな勢いそのままに突入した次の『changes』では、こんな状況でもベボベは今年も止まらず駆け抜けていくんだなということを確信させてくれる。

自分自身も昨年は何気ない日常の幸せを実感した一年だったから、そんな日々を大切にしていきたいからこそ、今年も頑張らねばなぁと思い、そんな気持ちでこの3曲の流れを観ていたら、なんだか泣けてしまった。

あっという間にここまで来てしまったが、次の曲でラストだという。
予定していた観客を入れてのライブは叶わなかったけれど、ライブハウスでデカい音を出して演奏できるということ自体が楽しいということで、この日のライブはきっとベボベの励みになったことと思う。

観てるこちらも配信とはいえ、全力で届けようとしてくれていることが伝わってきたし、ベボベが良い意味で変わらずにライブをしてくれたことが本当に嬉しかった。

あとはもう、PCやスマホの画面という隔たりが無くなるだけ。
そんな日がさっさと来やがれ…!!!
という強い意思を示し、新春のお祭りの最後に披露されたのは『祭りのあと』。
これまで何度もライブの最後を飾ってきた曲だが、この日の演奏は一段とみなぎっていた気がして、そんな3人に応えるように、こちらもハイ!ハイ!とPCの前で拳を突き上げた。

演奏のラスト、予告どおり堀くんが椅子に昇ってハンカチを取り出し、最後の一音とともにバーン!と投げて見事、綺麗に決まって幕。
これで、今年は良い一年になることが確定した。

- Base Ball Bear
新春ベースボールベアーちゃん祭り2021 セットリスト -

01.ポラリス
02.すべては君のせいで
03.いまは僕の目を見て
04.メタモルフォーゼ真っ最中
05.short hair
06.Stairway Generation
07.「それって、for 誰?」part.1
08.ドライブ
09.新呼吸
10.changes
11.祭りのあと

駆け抜けていった11曲、もう終わってしまったのか…という一抹の寂しさもあったけれど、それは次会えるときの楽しみに変えてその日を待ちたい。

気付いたら自分は気持ち悪くなってしまうほど飲み過ぎてしまい、新成人に示しがつかないぐらいにぐでんぐでんになってしまったけど、そんな風に家の中がお祭り会場になってしまうのも、心から大好きでライブを観ているのが楽しいベボベだから。

2021年11月11日でBase Ball Bearはいよいよ結成20周年。
笑ってその日を迎えられるように、今年も頑張っていきましょう…!!