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「こちら、まやかし課でございます」企画書

キャッチコピー(50文字まで):地図に載らない町の役場の裏に、あるんです。

あらすじ(300文字まで):
18歳まで、「普通の」人間だと思って生きていた安井優(やすいまさる)。しかし高校卒業後に目撃した母の死や、会社員として働き一人暮らしを始めてから起こる自分の体の変化に戸惑いを覚える。そんな時、たまたま入った居酒屋で同郷の人間に出会い、自分は「普通の」人間ではないことを知り、さらに故郷の町が「普通の」町ではないことを知る。そして自分のことを知るためにも故郷の「妖間町(ようまちょう)」に戻り、町役場の離れにある「まやかし専用」といわれる「まやかし課」の受付担当として働くことになる。

第1話のストーリー(1000文字まで):
嫌な記憶、思い出したくないあの日を何度も夢に見るようになっていた安井優(やすいまさる)、27歳。
高校卒業後から、故郷から少し離れ、ある程度栄えた街で就職し、一人暮らしをしている。
今は亡き母が願っていた「安定した生活」を送れているはずだったが、数年前から体の異変に戸惑っていた。安井は、生まれつき鼻の穴だけがあいた状態、さらに首がほとんどないという特異な身体的特徴を持って生まれたためか、故郷の「妖間町」には安井のかかりつけの主治医が存在していて、何週間に1回ほど通院し薬をもらって生活をしていた。さらには太陽の光に異常に弱く幼い子供の頃は、外で遊んだ記憶がないほどだったが、徐々に治療のおかげか他の人と変わりばえなく生活することができていた。主治医が「特別に調合している」という薬をもらう頻度も落ち着いていて、1人暮らしを始めて少ししてからは仕事が忙しかったのもあり、薬を飲まずにも生活できていた。
しかし20歳になった頃、急なめまいと吐き気に襲われ、緊急搬送される事態が起こり、職場のある街で診察を受けたが体に異常はなしと診断されるが、なぜか神妙な面持ちで「お話があるので、少しお持ちいただけますか?」と医師に言われる。そして待合室で待っていた時に、またまたなぜかすごい形相でかかりつけの主治医が走ってやってきて「すぐにここを出なさい」と促される。そして数ヶ月分の量の「いつもの特別調合された薬」を説明つきで渡され、「次に何かあった時には私の元に連絡をよこしなさい」と言われるという変な体験をする。
あの日、あの病院の医師は何を伝えたかったのか?なぜ連絡もしていないのに故郷の主治医がやってきたのか?そんな疑問を抱きながらも、また仕事に忙しい日々を送っていた。幸い「特別調合の薬」を言われた通りに飲み、何か異変があった時には主治医に伝えるという生活を送ったために、あの日のようなめまいや吐き気に襲われ倒れるということはなくなっていた。
ただその後も、いくつかの不可思議な出来事や体の異変に伴い、主治医のアドバイスを素直に聞いた結果、職場で孤立するようになっていった安井は、仕事にのめりこんだが、いつまでも出世の話がないことや、たまたま聞いてしまった同僚たちが裏で安井を「バケモノ」というあだ名で悪口を言っているのを聞いたのをきっかけに、溜まっていた有休を使って故郷へ戻ることに。そこで安井の転機となる出会いが待っていた。

第2話以降のストーリー(3000文字まで):

故郷に戻り、たまたま入った寂れているが雰囲気のいい居酒屋で、たまたま隣の席に座った蛙のような顔の男と体調の話になり、男は安井よりも年上らしく「腰が痛い」だとか「肩が上がらなくなった」という話をした。それに合わせて安井も何の気なしに、数年前にあったおかしな体調不良の話をした。
安井が23歳の年に新しく職場に入ってきた女性に一目惚れをする。なかなか奥手ではあったものの仲良く話す距離にはなってきた頃に、またあの日のようなめまいと吐き気に襲われる。薬を飲んでもそれは治らず、その症状は職場にいる時に度々訪れるようになる。何かがおかしいと主治医に電話で相談すると「好きな相手がいるのか?」と聞かれ、的中されたことと治療に関係のあることなのか戸惑っていると「その相手とは適切な距離をとって過ごしなさい」と言われ電話が切られる。
言われた通り適切な距離というのを心がけたところ、彼女とはよそよそしくなったが体調は崩れることはなくなっていた。
25歳の頃、やっぱり一目惚れの彼女を忘れられなく、久しぶりに声をかけた時、最初はよそよそしい態度を見せていた彼女が、仲良くしていた頃のように笑ってくれた時、今までに感じたことのない体の疼きと鼓動の高まりを感じた。これが恋というやつだろうと体の異変を無視していたが、鼓動はどんどんせわしなくなり、少しばかりの吐き気を感じて、主治医の言葉を思い出し、それとなく彼女と離れ、家に帰り着替えようと服を脱ぐと服を着ていた部分に人間では有り得ないような毛が生えてきていて、爪も知らぬまに10cm以上伸びていたことがあった話をした。
自分で話をしながら、やっぱり自分は「普通の」人間とは違う気がしてきて、不安になり、隣に座る話し相手の男を見ると、なんでもない顔で酒をちびちびと飲んでいた。少し安心して、安井も酒を口に運ぶと、隣の男が無言で安井の方に名刺を差し出す。そこには「妖間町役所 まやかし課 課長 加藤清美」と書かれていた。
「普段、あんまりこういうことはしないんですが…うちで働いてみません?」
そう男は口にした。

地図には載らない、載せられない不思議な町、「妖間町(ようまちょう)」の町役場に出勤する安井優(やすいまさる)。かと見せかけて町役場の職員しか入れない通路を抜けて、裏口から外に出て鳥居のある道を入った、少し離れた小屋に入っていく。ここが安井の勤務先の「まやかし課」。人ならざるものとも呼ばれる、人間と妖怪やモンスターと呼ばれる、動物とは明らかに違う別の生き物たちの間に生まれ、人間界で暮らしている人や人間界で暮らす「まやかし」たちの生活の支援を主に行なっている。
なぜかこの「妖間町」にはそうした生き物が多く住んでおり、人に紛れて暮らしている。そのため安井のように人間として育てられたが、実は摩訶不思議な生き物と人間の間に生まれた子だという人も少なくない不思議な町なのである。
「まやかし課」に勤務する同僚や上司たちもまたそうした出生の人たちから成り立っている。ただ妖間町にそうした特殊な出生の人たちが少なくないにもかかわらず、理解は得られず、町の中ではいまだに「人ならざるもの」という呼び方で差別し、存在を撲滅するべきだと動く過激な団体もいれば、そんなものはそもそも存在しない、迷信だという人の間でかなり生きづらさを感じている人も少なくない。
そういった特殊な出生の人たちをひとまとめに「まやかしさん」と呼び、住みやすい工夫やアドバイスをする「まやかし課」は特殊な鳥居を「見る」ことができ、さらにその中に入って小屋を見つけられた人しか入れない特殊な作りになっている。これも過激な団体の抗議や間違って人間が入ってこないようにするための工夫である。そして今日も、「まやかし課」の情報を聞きつけて、相談者がやってくる。
時には町長を決める選挙で「まやかし課」が窮地に追い込まれたり、相談者の依頼の解決方法が見つからず苦戦したりしながらも、安井は自分らしく生きることの難しさを感じながら、自分の出生と向き合い、職場の人たちや町の人たちとの交流の中で、自分が生きる意味を再度見つめ直す。


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