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~地域に住む人々がよろこぶ活動で愛と笑顔をひろげる~If(イフ)の活動と軌跡

2018年に発生した西日本豪雨の被害が大きかった愛媛県宇和島市について、次のような思いを持っている方々へ。

「地域が元気になるために、なにかチカラになりたい」
「まちで、どのような団体さんが活動しているのかを知りたい」

hitonari magazineでは今回、宇和島市のまちづくりに関わっている地域活動団体さんをインタビューしました。

記事中で、以下を紹介しています。

・団体の活動内容
・団体のこれまで
・参加方法

今回は、地域に住む人々が笑顔になれるよう、音楽を中心に活動をしている「If(イフ)」

地域活動に参加するためにぜひ、ご参考ください。


地域に住む人々の心をケアする活動


インタビューに向かった先は、宇和島市内にある商店街の一角。

こちらの学習塾・音楽教室「il fiore(イルフィオーレ)」が、団体の活動場所です。

今回、取材にご対応いただいた方は、宇和島市NPO団体If(イフ)代表の薬師神理子(やくしじん みちこ)さん。

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普段は、学習塾と音楽教室を経営されています。

薬師神さんに、If(イフ)がどのようなご活動をされているのか、お聞きしました。

子どもを中心に、地域に住まう方々の心のケアが主な活動ですね。

教室を開いていることもあって、本業の音楽に関係したイベント開催をしています。

ハンドベルやフラダンス・ウクレレバンドなど。他にも、足湯や傾聴のボランティアをしてきました。

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子どもたちが集まるクリスマス会では、市内の各所を訪問。

参加した方々に癒やしのひと時を提供しました。

ボランティア活動をはじめたキッカケは、宇和島市を襲った西日本豪雨の発生でした。

「子どもたちの様子がおかしい」
「子どもたちが精神的なショックを受けている」
と、被災地のミュージックケアをされている先生からうかがって。

学習塾や音楽教室などで、長く子どもに関わっていたので「わたしに何かできることはないかな?」と思いました。

被災地で活動するため、元々社協などでいっしょに子育てボランティアに関わっていた先輩方へお声がけしました。

そして、その方々とIf(イフ)を立ち上げ「子どもたちの笑顔を取り戻す」がテーマのイベントを開催させていただいたんです。

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地域の子どもたちが暗くうつむいているときに、黙ってはいられなかった薬師神さん。

……インタビューの最中、薬師神さんからいただいた名刺に書かれたIf(イフ)の活動テーマを思い出します。

それは「愛と笑顔をひろげる」こと。

代表の優しいお人柄が、地域に笑顔を灯す活動へつながり始めます。


傷ついた地域の笑顔を取り戻すためにイベント開催

豪雨災害直後の7月中に、先輩方と共同で「『きさいや』に来さいや~♪」というイベントを開催しました。

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宇和島市内のきさいや広場で開催された「『きさいや』に来さいや~♪」では、読み聞かせや腹話術、バルーンアートなどを実施。

このイベントが、団体として最初のボランティア活動。

・各所から集めた物資を、イベント参加者が手に入れるコーナー
・子どもの遊び場
・保護者のための無料マッサージ

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など、生活物資も足りず、心も疲れた方々が元気になる出し物となりました。

好評だった「『きさいや』に来さいや~♪」はその後もつづき、合計3回の開催に。

2回目は、前回よりも大きなイベントにしました。

ステージを用意して、ヒップホップやよさこいの団体さんにダンス・踊りを披露していただいたんです。

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被災地でじっとしているしかなかった人々にとって、観るだけでエネルギーが湧いてくる力強いダンス。

広場では、ヨーヨー釣り・スーパーボールすくい・わた菓子・ポップコーンなどのお店が並びました。

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なぜ、1回目よりも、大きなイベントになったのでしょうか?

実は、この年の夏祭りは、豪雨災害で中止になっていました。

被災に加えて、お祭りまでなくなると、子どもたちの心は沈んだままに……


「わたしたちのまちに笑顔を取り戻したい!」という思いから、チャリティーイベントをお祭りにしたのでした。

地域のボランティア団体さんと共同開催した1~2回目の「『きさいや』に来さいや~♪」。

つづく、3回目は、If(イフ)独自で開催。

お年寄りにも喜んでいただけるよう、今回は和太鼓の演奏グループを呼ぶなど音楽が楽しめる内容に。

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市内の小学生が書いた、おじいちゃん・おばあちゃんへの「感謝の手紙」のステージ発表と表彰も。

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災害で暗く沈んだ人々の気持ちが、徐々に明るく変化してきました。

「地域の人々のため」の活動を、懸命につづけてきたIf(イフ)。

しかし、ときには活動に対して、心ない声を浴びたといいます。

被災から、そんなに日数が経っていない時期で開催されたイベントだったので……
一部の人からは「チャラチャラしてる」「自分たちばかり目立つためにやってるんじゃないか?」と見られることがありました。

地域の人のため、できることを必死でやっていただけだったんですけど。

そう見えてしまったことは、ある意味失敗だったのかもしれませんね。

わたしたちの活動を否定的に見ていた人たちも、味方になるぐらいの活動になっていけたらいいなと思います。」

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どんな言葉を向けれられても、わたしたちは、あくまで「愛と笑顔をひろげたい」から活動しているーー

そんな想いに共感して、If(イフ)にチカラを貸す、頼もしい人々がいました。


被災した宇和島に笑顔が灯りはじめた

愛と笑顔をひろげたいーー

そんな思いをカタチにするため、ボランティア活動を本格化させたIf(イフ)に、地域の先輩NPOさんが手を差し伸べました。

宇和島市内の先輩NPO「うわじまグランマ」さんには、本当にお世話になりました。

「『きさいや』に来さいや~♪」も、グランマさんのチカラをお借りして開催できたんです。

人脈から、運営方法から……影響を半端なく受けています(笑)」

リーダーシップあふれ、そして優しい地域の先輩が導いた、NPO団体への道ーー

西日本豪雨の被災から時間が経っても、むしろ活動はますます盛んになりました。

足湯ボランティアは、東京から来たNGOの講習を受け、被災地で実施。

地域のお年寄りから子どもたちまで、温かい足湯の心地よさに癒やされました。

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被災で身うごきが取れない子どもたちのために、If(イフ)は遊び場をつくります。

吉田公園という、子どもたちに人気の遊び場が豪雨で使えなくなったんです。

でも、子どもたちを外で思いっきり遊ばせてあげたいし、もっと笑顔も戻ってほしくて。

2019年4月からは月に1回、外遊びができるプレーパークを開催しはじめました。

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プレーパークとは、固定遊具のある公園とはちがい、自分の「やってみたいこと」を、自分たちで選ぶ遊び場。

原っぱに用意した、ダンボール遊び・しゃぼん玉遊び・ビニールプールで水遊びーー

けん玉・お手玉・コマ回しなど昔懐かしい遊びーー

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毎回、ちがう遊びが用意されていて、子どもたちも好奇心にあふれる様子。

宇和島市内の各地をめぐるクリスマス会でも、創意工夫を凝らしました。

子どもたちが、いろんなモノを工作するクリスマス会にしました。

豪雨でとても辛いことがたくさんあったけれど、いい思い出を残してもらいたくて。

つくったモノを見るたび「あのときのクリスマス楽しかったね!」と思い出してもらえるように。

当日は、工作を教えるボランティアとして市内の吉田中学校の生徒たちが参加。

中学生たちが小学生たちへ、丁寧につくり方を教えてくれました。

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【生徒たちが子どもにつくり方を教えるシーン 写真】

子どもたちがクリスマスの日につくったモノ――

・スノードーム       ・押し花のしおり
・松ぼっくりのツリー    ・お手玉
・プラバンのキーホルダー  ・手書きのメッセージカード
・ドングリや落ち葉の工作  ・紙コップの工作(サンタさん・トナカイ)

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多くの子どもたちが、記憶に残る楽しいひと時を過ごしました。

地域のために優しく寄り添ってきたIf(イフ)。

その思いは、少しずつ、たしかに地域に届きはじめていました。


If(イフ)の今後の活動予定


傷ついた宇和島の人々を笑顔にしてきたIf(イフ)。

薬師神さんへ、これからのご活動について尋ねてみました。

将来的な展望は、変わらず「宇和島に愛と笑顔を増やすこと」です。

1人でも多くの方が幸せでいてくださるよう、お手伝いできればと。

そのための活動を、つづけていきます。

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これまで通りの活動、そして、新しい活動も――

いま突き動かされるがごとく「やろう!」としているのがフリースクールなんです。

学習塾でも、子どもたちや親御さんの悩み相談に乗らせていただくことがあって。

学校に行きたいけど行けない子たちへ「あなたは、あなたのままでいいよ」と知ってほしい。
それぞれの子が「自分たちらしく生きて、幸せでいてほしい」というのが願いなので。

事情あって、塞ぎ込んでしまった子どもたちが笑顔でいられるようにーー

If(イフ)の今後のご活動が、楽しみです。


If(イフ)がいっしょに活動したい新規メンバー

最後に「新規メンバーを募集するなら、どのような人物がいいか?」と尋ねてみました。

お人柄としては、人の幸せを願える方ですね。

そして、もし何かの失敗・問題があったとき。
「なぜその失敗・問題が起きたか?」を考えて、前向きに諦めず、いっしょに取り組んでいただける方がいいな……と。

自分自身、学んでいる最中なので、まったく偉そうなことは言えないんですけど(笑)

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年齢・性別は問わないとのこと。

あくまで人を「笑顔にしたい」「幸せにしたい」と思える方なら、どなたでも。

スキル面で探し求めている方はいるのでしょうか?

やっぱり事務できる人が欲しいなぁ。

忙しいときは、事務作業がなかなか滞ってしまうので……!

Word(ワード)・EXCEL(エクセル)が使える人と、団体の活動をSNS発信できる人もいてくださると助かります!

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メンバーは宇和島に住んでいなくても大歓迎。

「活動メンバーとして参加する」
「自分ができることで、団体をサポートする」

などなど、どのようなカタチでも。

地域を笑顔にする活動へ、あなたが加わることを心待ちにしています。


執筆:櫻庭 航(さくらば わたる)

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