~リンパケアとアロマで傷つくまちを癒やす~「わなか」の活動と軌跡
2018年に発生した西日本豪雨の被害が大きかった愛媛県宇和島市について、次のような思いを持っている方々へ。
「地域が元気になるために、なにかチカラになりたい」
「まちで、どのような団体さんが活動しているのかを知りたい」
hitonari magazineでは今回、宇和島市のまちづくりに関わっている地域活動団体さんをインタビューしました。
記事中で、以下を紹介しています。
・団体の活動内容
・団体のこれまで
・参加方法
今回は、リンパケアとアロマで癒やしの活動をしている「わなか」
地域活動に参加するためにぜひ、ご参考ください。
アロマトリートメントとリンパケアで癒やしを提供してきた
取材にご対応いただいた方は、わなかの代表をつとめる中田 幸(なかだ さち)さん。
本業が看護師の中田さんは、リンパケアの資格を保有。
自宅につくったサロンで希望者へ施術してきた「癒やし」の技術の持ち主です。
今回は、団体のチームユニフォームを着てご活動をPR。
早速、わなかがどのようなご活動をされているのか、お聞きすることに。
アロマトリートメントやリンパケアで、被災地の支援、子育て中のお母さんのサポートをしています。
ほかにも、スキンケアやルームフレグランスに使う「フローラルウォーター」や、虫除けスプレーをお渡ししたり。
わなかは、心身をリラックスさせる「癒やし」を提供してきた団体。
中田さんが、仲間とともにNPOをはじめたキッカケは、2018年の豪雨災害への遭遇でした。
被災地の吉田地区は主人の実家で。
わたし自身もかつて住んでいた場所なんです。
その吉田で、主人の同級生や知り合いが亡くなったと知って、
「なんとかしないと!」
「わたしには、なにができるんだろう?」
という気持ちになりました。
凄惨な災害を目の当たりにして、被災地のため、自分にはなにができるか悩んだといいます。
被災地支援の方法を決めたのには、とあるキッカケがありました。
ちょうど被災直前に、宇和島で開催予定だったアロマの講座が豪雨で中止になったんですよ。
そこで、現地の人たちに向けて、改めてアロマを届けようと思ったんです。
キッカケを説明しながら、被災地へのボランティアで使った道具を見せてくれました。
数種類のハーブを用意ーー
ひとつのサシェ(袋)に詰めていきます。
ハーブを詰めたら、アロマオイルの出番。
袋にオイルを数滴垂らしーー
できあがり。
手に持った袋から、艶やかで上品な香りがーー
いつまでも持っていたくなる癒やしのアイテムです。
テーブルに並ぶアロマの道具が、被災地で疲弊する人たちを癒やしていきました。
豪雨直後の避難所でアロマセラピー・リンパケアを提供
被災直後には、折りたたみベッドを担ぎ、車に乗っけて現地へ向かいました。
宇和島市内の三間地区や、吉田地区のいろいろな施設でボランティアを受け入れてくれて。
豪雨から3ヶ月のあいだに、10か所くらいの避難所を回りましたね。
数多くの避難所を回って、アロマセラピーやリンパケアを提供する日々。
訪れた会場の数は、災害のあった2018年だけで20か所にのぼりました。
訪問先では、メンバー間のコミュニケーションに苦労したといいます。
土地勘がない故、遠方から参加するメンバーが道に迷ってしまったり……なんてこともありましたね。
また、現場では、支援に使う物資や金銭面で苦労したことも。
リンパケアなら、ベッドひとつと身体ひとつがあればできるんですけど、アロマは多くの道具が必要で。
松山から自分のセットを持って行ったり……
アロマの教室をしている人から寄付いただいた道具を使ったり、という状況だったので。
苦労を重ねながらも、被災地のために続けるメンバーの活動は、やがて正式なNPOの結成に発展していきました。
多くの人に癒やしを提供するためにNPOを立ち上げ
アロマセラピーやリンパケアという、心身を癒やす技術で、被災地を支援しはじめたメンバーたち。
「傷ついた地域を癒やしたい」という思いが大きくなるにつれ、NPOの結成を考えるようになりました。
宇和島に「おかあさんといっしょ」という子育て活動をしているNPOさんがあって。
以前から知り合いだった、代表者の方に「わたしも公民館とかで活動したいんだ」っていったんです。
そうすると「NPOにすると、公民館を無料で借りられるよ」とか「手伝ってくれる人が増えるかもよ?」とアドバイスをくれて。
オススメされて「NPOをやってみようかな?」って思ったんです。
いままでボランティアだった活動をNPO化するキッカケは、まちで活躍する先輩の一声。
そして、災害発生から約3ヶ月後の2018年10月にNPO「わなか」を結成。
NPOとして始動してからも、復興イベントなどでリンパケアやアロマトリートメントという「癒やし」を提供しつづけます。
わなかが提供している「さとう式リンパケア」とは――
なでるような優しいタッチで、痛みを感じずに身体の「こり」改善や、フェイスラインを整える技術。
日ごろから「肩がこり、腕が上がらない」「頬の筋肉が硬く、出っ張っている」という悩みがあるわたしも、中田さんの施術を受けてみました。
感想は……
「腕をゆるく振るだけで肩が柔らかくなり、腕が上がった」
「指で耳の下を”そっと”なでられるだけで、アゴがシャープになった」
信じられない!
まるで錆びついた遊具のような腕が……
「ゴリゴリ!」と強く押さず、痛みなく、しなやかでシャープな身体を手に入れてしまいました。
リンパケアで身体を軽くして、アロマの香りでリフレッシュ。
そんな癒やしの力を持ちながらも、スタートした当初は、まだ知名度が少なかったわなか。
活動の舞台へ導いたのは、地域の先輩団体さんたちでした。
市内で活動している「うわじまグランマ」さんが手を貸してくれて。
グランマさんが開催している子ども食堂やイベントで、わなかの活動をさせていただいたんです。
本当に、地域のNPOさんたちに感謝ですね。
地域の人々の協力を得ながら、活発になる癒やしの提供は、会場で好評を得ました。
わなかのメンバーはみんな、ちっちゃい子がいるような子育て世代で。
おなじような世代のお母さんたちや子どもには、よく活動を届けられたかなと思います。
たとえば、フローラルウォーターも、お子さんに汗疹(あせも)ができたときに、たくさん使ってもらいました。
わなかの癒やし活動は、さらに多世代から評判をいただくように。
施術は、幅広い世代が受けに来てくれます。
猫背になったおばあちゃんも「楽になった~」といって、姿勢をよくしてから帰っていきました。
ほかにも「重たいものを持ち運びつづけて、肩も手もパンパンなんよー」という人が、施術後には「身体がほぐれて、よかった!また来てやー!」おっしゃってくれて。
いまでは、ご高齢の方から10代の高校生まで施術に来てくれるようになりました。
わなかの今後の活動予定
多世代へ癒やしを提供するわなか。
今後の活動について尋ねてみました。
これからは地域の人たちが、自分自身でケアできるような方法を教えていきたいです。
たとえば「避難所で精神的に辛いとき、オイルの香りを嗅いだら心が落ち着くよ。
なので、好きな香りのアロマオイルを1個、避難バッグに入れましょう」と伝えるとか。
「被災地で肩を痛めている人がいたら、こんな風に優しく触れてあげたら落ち着きますよ」とレクチャーしたり。
メンバーが現場に向かうだけでなく、徐々に「教える」分野にも団体の役割を広げたいとのこと。
続けて「地域の大きなNPO団体ができないこともやりたい」と、中田さんはお話してくれました。
大きな団体が支援していない場所にも、活動しに行こうと思いますね。
わたしたちが、小さな団体だからこそ。
被災した土地がどこであろうと、仮設住宅にいる人たちが新しい家に戻って、災害に遭うより前の、その人らしい気持ちに戻れるまで。
最後の一人まで。
わたしたちは、癒やしの支援を続けたいです。
たとえ時間がかかっても、被災地の人たちに「寄り添いたい」という気持ちが伝わる言葉をお聞きできました。
わなかが一緒に活動したい新規メンバー
最後に「新規メンバーを募集するなら、どのような人物がいいか?」と尋ねてみました。
まず、健康な方ですね。
年齢は問いません。
性別も問いません。
現在はメンバーの中に男の人はいないんですけど。
わたしの主人にも荷物運びとかを手伝ってもらっていて。
力仕事には、男性の助けが必要なので。
性別や年齢の制限はないので、お子さんでも加入できるそうです。
メンバーの中には、自分のお子さんを連れてくる方もいて。
子どもがまだ小さいと、家で留守番させられないとか、学童に預けにくいので。
小さい子がいると、その日の現場はすごい和みますね。
笑顔になることが多い(笑)
中田さん自身も、お子さんを現場に連れて、アロマの道具づくりなどを手伝ってもらっているのだとお話してくれました。
加入時には、スキルを持っていなくて大丈夫です。
メンバーになってから初めて、資格取得を目指してもOKだと思っているので。
強いていうなら、在庫管理や会計のような事務仕事を手伝ってくれる方がいると助かります!
本当に!
わなかは現在、リンパケアやアロマトリートメント以外でも、メンバー探しをしている最中。
性格の面では、どのような人が活動に向いているのでしょうか?
一緒に活動を楽しめる人がいいですね。
そして、ボランティア団体なので、自分の利益を追求するよりも「他者の心に寄り添える」人が向いていると思います。
今回は、宇和島市を中心に活動する癒やしのNPO「わなか」をご紹介しました。
参加は、宇和島市以外からも大歓迎。
「活動メンバーとして参加する」
「自分ができることで、団体をサポートする」
などなど、どのようなカタチでも。
地域を笑顔にする活動へ、あなたが加わることを心待ちにしています。
執筆:櫻庭 航(さくらば わたる)
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