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無王群

一昨日の晩に出戻って来た群は、おそらく無王群だろう。

この群の場合は女王が動物の襲撃で食われてしまったのだが、何らかの原因で女王が居なくなってしまった群を「無王群」という。

極端に働き蜂の出入りが少なくなり、巣盤の成長が無く、蜂数の減少が明確、蜂が攻撃的になる、蜂の体の色が黒っぽくなる(黒光りして縞模様が目立たなくなる)、飛び方が迷走気味でフラフラする…などが無王群の特徴。

群は女王の不在を察知して、働き蜂として生育している幼虫を新たな女王として育て始める。

この急場に仕立てた女王候補の巣房「変性王台」から無事に新女王が孵って交尾し産卵が始まれば、群は安泰。

ウチの出戻り群のように有児域(卵や幼虫の居るエリア)も失った場合、働き蜂が産卵を始める事もある。

特徴は、一つの巣房に複数の卵が産みつけられている事。

しかし、働き蜂は交尾していないので無精卵しか産む事ができず、無精卵からは雄蜂しか生まれない。

群を救うための対応策としては…

●他の群から取って来た有児域を与える→変性王台を作り、新女王が誕生。

●王台を与える(蛹の状態の女王を無王群に移植)→蛹から孵って交尾に成功すれば新女王が誕生。

●女王を与える→群が受け入れれば新女王の誕生となるが、与える際に群から攻撃されないように隔王籠に入れて、序々に慣らすなどの方策が必要。西洋の養蜂用に道具がいろいろと揃っている。

群をあきらめて蜂だけを救うのであれば、他の群に「合同」させるという方法がある。蜜蜂は匂いで群の違いを認識しているので、合同させる群と無王群両方に日本酒・泡盛・ウイスキー・酢等の香りが強い物をスプレーし、触覚が麻痺している間に一緒にする。合同させる群は大きい方が良い。

ウチの出戻り群には、別の群に出来ていた王台を与えた。


(女王が誕生したあとの王台)

女王誕生までの日程は…卵:3日→幼虫:6日→蛹:7日→羽化→(交尾)産卵開始まで10日程度。

昨日王台を与えたので、10~2週間程度後の6/20前後に成功か否かがわかるが、王台を与えてすぐに蜂が反応して王台を取りまいて世話を始めないと温度が下がって蛹が死んでしまうので、明日にも内検して放置されているようならもう一度、今度はもう少し広範囲に巣盤を移植して、それでもダメなら合同に挑戦。

あまり時間を置き過ぎると、働き蜂が元に戻る事も出来なくなってしまうという事なので、今度こそ後手後手にならぬように。

(タイトルの画像は健全な群の巣。複数出来た王台が見られる。横穴が開いており働き蜂が食い破って蛹を処分されたようだ。様々な方針を群が決定しているという…女王からの命令ではないのだが、どうやって判断しているのか、不思議。)



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