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2023年 第69回全国高等学校演劇大会(鹿児島大会)

出場校について

 北海道ブロック代表
北海道網走南ケ丘高校 19年ぶり2回目
「スパイス・カレー」網走南ヶ丘高校演劇部・新井繁作
全道大会に5年連続出場と、近年のオホーツク支部を代表する高校。顧問の新井先生は池田高校や北見北斗高校で全国出場経験のある名指導者である。
今年は2004年に「チキン・カレー」で優秀賞に輝いて以来の全国出場。今作はそのオマージュ作品で再び全国の切符を手にした。
全道大会では役者の一人がコロナに感染し大会に出られないというハプニングがあり、新井先生が急遽代役を務めたという。全道大会は顧問の出場が認められているが、その規定を活用しての全国出場は極めて珍しい快挙である。

 東北ブロック代表
岩手県立水沢高校 初出場
「空に響け!」多田知恵子作
創立100年を越える伝統校。県大会からも4年間遠ざかっていたが、昨年は顧問多田先生の作品で15年ぶり2度目の東北大会へ。そのまま初の全国出場を決めた。
岩手県の学校がブロック大会で最優秀賞に輝くのは2年ぶり3回目。県南地区からは初の夏の全国となった。

 北関東ブロック代表
埼玉県立秩父農工科学高校 2年連続12回目
「群白残党伝」コイケユタカ作
全国大会では優秀賞5回。昨年は3度目の舞台美術賞に輝いた。
今大会で春夏通じて3年連続の全国出場。夏の全国大会12回、春夏通算15回の全国出場はいずれも全国最多タイ記録である。
夏の全国への連続出場が多い学校でもあり、前任の若林先生の指導時から数えてこれが4回目となる。          

 南関東ブロック代表
東京都立千早高校 2年連続2回目
「フワフワに未熟」櫻井ひなた・髙森美羽・樋口璃媛作
2020年度に関東大会初出場でいきなり春フェスに推薦。翌2021年度には都大会で最優秀賞に輝き、開催県代表として夏の全国出場を果たした。その勢いは留まるところを知らず、一年生だけで大会に臨んだ昨年度は南関東大会で初の最優秀賞。春夏通じて3年連続の全国出場の偉業を成し遂げた。
余談だが秩父農工科学高校も2021年春フェス、2022~23年に夏の全国と出場しており、3大会連続で2校が顔を会わせるという極めて珍しい事態となった。

 関東共通代表
(東京都)立川女子高校 2年ぶり2回目
「あのこをさがして」立川女子高校演劇部作
2019年から4年連続で関東大会に出場。2021年の全国大会では優秀賞を受賞し、東京勢22年ぶりの入賞を果たした。
昨年は都大会で優秀賞1席ながら2年に1度東京にもたらされる北関東大会への出場枠で関東大会に参加。北関東大会では優秀賞1席と創作脚本賞のW受賞で全国へ推薦された。

 中部日本ブロック代表
(愛知県)大同大学大同高校 初出場
「ヒッキー・カンクーントルネード」岩井秀人作
創作が盛んな愛知において、プロの既成脚本で4大会連続中部日本大会に出場(愛知県大会が行われなかった2020年を除く)。通算6度目の出場で初の最優秀賞に輝いた。
春フェスの出場権も過去2度手にしたが、初出場で優秀賞1席となった2008年は出場辞退(当時の校名は大同工業大学大同高校)。2019年には優秀賞2席ながら持ち回り枠により出場権を得たが、新型コロナウイルスの影響で春フェスはオンライン開催に。いずれも舞台に立つことは叶わなかった。今回の全国大会での上演は15年越しの悲願となる。
作者の岩井秀人氏は劇団ハイバイで活動する劇作家。2013年には演劇界の芥川賞とも称される岸田國士戯曲賞を受賞している。

 近畿ブロック代表
(兵庫県)滝川第二高校 9年ぶり3回目
「リセマ達(ら)」いぐりんとその仲間達作
2014年に「志望理由書」で優秀賞と創作脚本賞をW受賞。2019年には春フェスにも出場している。
「志望理由書」は役者が4人と少人数での上演だったが、今回は20人を越える部員を活かした舞台になっている。タイトルの元となっている「リセマラ」とはリセットマラソンの略称で、スマホゲームにおいて目的のアイテムを手に入れるまでアプリのインストールとアンインストールを何度も繰り返す行為のことである。

 中国ブロック代表
島根県立三刀屋高校 2年連続8回目
「ローカル線に乗って」亀尾佳宏作
掛合分校に転勤後も長く同校の指導を続けていた亀尾先生が2022年3月限りで転勤。既に全国出場を決めていた「永井隆物語」が最後の作品になるものと思われた。ところが夏の全国まで指導を続けた流れで昨年の大会も亀尾先生の作品で出場。2年連続の夏の全国出場を果たしたことで亀尾先生との旅は続いていく。
実は中国大会での2年連続最優秀賞は三刀屋高校にとって初めてのこと。今作は雲南市の市民劇で上演された「鉄人56号」が基となっている。
昨年は同じく亀尾先生の指導下で中国大会にアベック出場した三刀屋高校掛合分校も優秀賞2席に輝く活躍をみせた。

 
四国ブロック代表
徳島県立城東高校 19年ぶり5回目
「21人いる!」よしだあきひろ作
1977年~81年にかけて、浅香寿穂先生の作品で3度全国大会に出場した伝統校。2004年には田上二郎先生の作品で23年ぶりの全国出場を果たしている。
その後再び全国から遠ざかっていたが、近年は吉田晃弘先生の指導下で2019年から4年連続で春フェスに出場。昨年はついに最優秀賞を受賞し夏の全国出場を決めた。吉田先生にとっては前任の阿波高校以来、7年ぶりの夏の全国となる。
タイトルは萩尾望都によるSF漫画「11人いる!」のパロディであろう。

香川県立観音寺第一高校 9年ぶり2回目
「事情を知らない風間さんがぐいぐいくる」豊嶋了子と観一演劇部作
2014年に持ち回り枠で出場して以来の全国大会。
丸亀高校で全国出場・最優秀賞受賞も果たした豊嶋先生が2019年に同校へ赴任。以来4年で3度の四国大会出場。2019年、21年と優秀賞2席を受賞するなど全国に迫った。昨年は優秀賞1席ながら持ち回り枠のチャンスを再び活かして夏の全国の切符を掴んだ。
こちらのタイトルは川村拓の漫画「事情を知らない転校生がグイグイくる。」のパロディ。

 九州ブロック代表
(福岡県)久留米大学附設高校 9年ぶり5回目「戯王【gi:oh】」附設高校演劇部・岡崎賢一郎作
2014年に「女子高生」で福岡県勢初の最優秀賞。優秀賞も2回ある。
近年は3度の春フェス出場を果たしており、今年は春夏通じて3年連続の全国出場となる。
九州代表は2017年の向陽高校から初出場校が続いており、全国経験のある学校の出場は7年ぶりとなる。

 開催県代表
(鹿児島県)津曲学園 鹿児島高校 12年ぶり7回目
「本当の朝」谷崎淳子作
九州で最多の全国出場を誇る鹿児島の名門。全国での優秀賞は2回、春フェス出場も2回ある(試行大会を含む)。
顧問・谷崎淳子先生の作品で大会出場を続けており、1990年には「からす」で創作脚本賞も受賞している。
九州大会からは2016年を最後に遠ざかっていたが、昨年は鹿児島大会で最優秀賞。開催県代表として全国出場を決めた。

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高校演劇の全国大会・春フェスについて、大会ごとの概要を纏めた記事。 出場校の紹介、大会における記録・トピックス、上演作品について等。 20…

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