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2023年 第17回春季全国高等学校演劇研究大会(大分大会)


4年ぶりの通常開催。水上恒司さんによるトークセッションも。

第17回春フェスは3月24~26日、大分県大分市のJ:COM ホルトホール大分で開催された。

出場校について

 北海道ブロック代表
札幌北斗高校 5年ぶり2回目
「イチゴスプーン」須知英生作

2018年に春フェス初出場。今年度は再び顧問須知英生先生の作品で春フェスに推薦された。この間2019年にも全道大会に出場している。
新型コロナウイルスが全国的に猛威を振るう中、同校も一度もオリジナルキャストで上演が叶わぬまま春フェスへと到達した。

 東北ブロック代表
山形県立鶴岡中央高校 初出場
「明日は救世主」木村麻由子作
直近5年で東北大会に3度出場と近年の山形を代表する高校。今年度は同じ山形代表の置賜農業高校と東北大会でアベック入賞。顧問木村真由子先生の作品で、春夏通じて初の全国出場を果たした。
山形県の学校による春フェス出場は2016年の山形東高校以来、7年ぶり2校目の快挙である。
同校には生徒が企画運営を行い自作のドレスを披露するシルクガールズプロジェクトというファッションショーがある。これは地元の名産である鶴岡シルクの魅力を伝えるためのイベントであり、今回の作品にも取り入れられている。

 北関東ブロック代表
埼玉県立芸術総合高校 初出場
「Midnight Girlfriend」モリエール原作、稲葉智己翻訳・翻案
4つの芸術系学科からなる単位制の高校。
2016年には全国大会に出場し、優秀賞を受賞している。
今年度は新座柳瀬高校時代に全国出場を果たしている稲葉先生の指導下で、17世紀のフランスの劇作家・モリエールの作品に挑戦。初の春フェスに推薦された。

 南関東ブロック代表
千葉県立松戸高校 初出場
「ある海が見える丘の物語」阿部順作
2015年の全国大会初出場を皮切りに、4度の全国出場・2度の優秀賞を誇る南関東の名門校。
1919年開校の伝統校で、芸術科を有する高校としても知られている。
顧問の阿部先生は全国経験豊富な指導者だが、今回は初の春フェス出場となった。

 中部日本ブロック代表
愛知県立松蔭高校 初出場
「フートボールの時間」豊嶋了子と丸高演劇部作、藤澤順子潤色
39年ぶりの中部日本大会で春夏通じて初の全国出場。同作は2018年の全国大会で最優秀賞を受賞した作品。全国大会で最優秀賞を受賞した作品が春フェスで再演されるのは2020年の新潟工業高校「女子高生」以来のこと。

 近畿ブロック代表
大阪府立岸和田高校 初出場
「オドリ・バリデ・ジュー」鈴木研太作、井原一葉補作
近畿大会では上演が果たせず映像上映となってしまった。しかし審査対象になるとの判断が下され、優秀賞1席と創作脚本賞の両手に花。春夏通じて初の全国出場を果たした。
新型コロナウイルス感染拡大の中で映像上演も審査対象になるとの方針が全国的に広まっているが、実際に全国へ出場を果たしたのは偉業と言えよう。

 中国ブロック代表
(岡山県)岡山学芸館高校 初出場
「骨を蒔く」柳雅之作
2018年に念願の中国大会初出場を果たし、優秀賞2席と創作脚本賞をW受賞。今年度は4年ぶりに中国大会へ出場すると当日の朝に代役を余儀なくされるアクシデントがあったものの、優秀1席に輝き全国出場を決めた。
岡山の学校による春フェス出場は2014年以来9年ぶりのこと。
顧問の柳先生はかつて愛媛の新居浜南高校で指導をしていた。2008年には春フェスに推薦されたこともあったがその時は出場辞退。今回は15年越しの春フェスとなる。

 四国ブロック代表
香川県立高松桜井高校 初出場
「Gifted」川田正明+高松桜井高校演劇部
2014年に同好会として発足した新しい部活。当時の指導者だった新谷政徳先生と共に2016~18年にかけて3年連続で四国大会に出場し、2016年には優秀賞2席を受賞するなど全国目前まで迫った。
今年度は入賞こそ逃したものの評判は高く、全国大会への持ち回り枠と松山東高校の出場辞退によりついに春フェスへの出場を掌中にした。
顧問の川田先生は高松工芸高校時代に全国大会や春フェスに出場したこともあり、今回は12年ぶりの全国となる。

 九州ブロック代表
宮崎県立宮崎南高校 初出場
「誰かのための、芋けんぴ」河原美那子と宮崎南高校演劇部作
俳優・堺雅人さんの母校としても知られる高校。彼が在学中の1990、91年には創作作品で九州大会に連続出場を果たしている。
今回は顧問、河原美那子先生の脚本で春夏通じて初の全国出場。偉大なる先輩の思いは引き継がれていた。
宮崎の学校としては直近6年で3校目の春フェス推薦で、層の厚さが窺える。

 開催県代表
大分県立大分豊府高校 2年ぶり4回目
「エールの時間」中原久典作
近年の九州を代表する高校。2015年には「うさみくんのお姉ちゃん」で全国大会最優秀賞に輝いている。
顧問の中原先生は昨年度限りで転勤となってしまったが、同校のために新作を書き下ろし提供。大分県大会で最優秀賞を受賞し、開催県代表として春フェス出場を決めた。
春フェス出場4回は青森中央高校に次ぎ、光高校・城東高校に並ぶ2位タイである。(2011年の推薦時は出場辞退しているが上演記録に残っていることから出場回数にカウントしている)


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