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百人一首でときめきを…②
あなたが死ぬ前に会いたい人は誰ですか。
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に
今ひとたびの 逢ふこともがな
もう古典文学の中での色女といえば、和泉式部さん。恋多き彼女の晩年の歌。
《現代語訳》
私は死んでしまうでしょう
(来世の) 思い出になるように
もう一度(あなたと) 会えたらなぁ
《和泉式部の恋愛遍歴》
①橘道貞…数年で破局
②為尊親王…結婚して一年で病死
③敦道親王…為尊親王の弟、結婚して僅かで病死
④藤原保昌…とりあえずこの人で最後っぽい
って感じ。だから、この時代をときめく藤原道長さんから「浮かれ女」って言われたり、お父さんから勘当されたり、和泉式部さんって凄く大変な人生だったのよ。(チマチマしたのはもっとあったかもしれないけれど考察してたらキリがないわ)
《語句解説》
あら…動詞「あり」の未然形で「生きている」
む…推量「〜だろう」
あらざらむ…「生きていないだろう」
この世…現世 なので この世の外 は 現世ではない他の場所 つまり死後の世界ということ
今ひとたび…もう一度
もがな…願望の終助詞で「~だったらなぁ」
この歌は、色々な可能性が考えられる歌になっていて、和泉式部が会いたいと願っている相手は誰…?って話なのよ。
①橘道貞…娘と共に和泉式部の元から去った彼に許しを請いたい
②藤原保昌…自分が病床にあるのに、他の女性のもとに行って帰ってこない旦那に想いを乗せている
③和泉式部の先立った娘…橘道貞に連れられて離れ離れになった娘を思った
まぁ有力な説は①らしいですけど、本当のことは和泉式部しかわからない。
この歌の面白いところは「あらざらむ」で最初に言い切っちゃってるところ!「悲しくて死んでしまう」とか「愛おしくて死んでしまう」とか歌の最後に読まれることは多々あっても、「私は死んでしまう」って最初に言って、死ぬことに関しては深く触れないところが潔くってかっこいい。
何が悲しいって「自分が死ぬかも」ってことじゃなくって「もうあなたに会えないかも」ってことなのよ。生々しいよね。でも、こういう風に思える相手がいること!それはすごく羨ましい。死に心が崩されていないってとこ。かっこよすぎるわ。和泉式部、リスペクト。
こんな風に「愛に生きる」ことができたら…。
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